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パリ五輪も見据え新天地へ 稲見萌寧、米国での“照準”は東京五輪金メダリスト「トップ選手とのプレーはいい経験に」

親友の菅沼菜々(左)とニッコリ(撮影:福田文平)

今年11月に行われた、日本開催の米国女子ツアー公式戦「TOTO ジャパンクラシック」を制した稲見萌寧が、新天地・米国ツアーへ挑む2024年への思いを明かした。20日には、都内のホテルで行われた『JLPGAアワード』に出席。今季優勝者のひとりとして、会場を彩った。

20-21年シーズンの賞金女王は、今年、苦しい時間を過ごした。開幕戦こそ2位で滑り出したが、歴代覇者として臨んだ「ヤマハレディースオープン葛城」からは自己ワーストとなる4試合連続予選落ち(棄権1試合を挟む)も経験。特に春頃はコースで苦しい表情を見せることも多かった。「苦しい試合がたくさんあって、今年は勝てないかもと思っていた。練習は好きなほうだけど、やっても意味がないのかなとか考えたり」。やっとたどり着いた年末の晴れの舞台で、その時の苦悩を振り返る。

その原因のひとつが、着手したスイング改造がうまくいかなかったこと。新たなものを取り入れては壊し、また新たなことに取り組むー。今年だけで4回もスイングをいじった。そんな中、現在コーチを務める柳橋章徳氏の指導を受けることになったことが転機に。「6月に最後のスイング改造をしたときにやっとハマった」と、夏前にようやくフィットした感触を得ることに成功。あとはそれを体になじませる作業を繰り返し、ようやくシーズン初勝利を挙げたのが秋だった。

だがこの1勝は、新たな道を切り開く大きな勝利だった。米国ツアーの公式戦ということもあり、当然ながら勝者は米国で戦う権利が与えられる。もともと日本で永久シード(通算30勝、稲見は通算13勝)を目標にしてきたが、「自分で優勝して勝ち取った権利。チームとも相談して(決めた)。世界に飛び立ってゴルフができるなら」と、それを行使する決断を下した。

米国女子ツアーは来年1月に新たなシーズンがスタートするため、例年よりもかなり短いオフになる。さらに移動や食事、言葉の壁と不安要素も大きいが、「苦しいことが多いなかで、どれだけゴルフを楽しめるか」ということ自分に言い聞かせ、1月の半ばころに海を渡る。

“デビュー戦”は、1月18日にフロリダ州で開幕する「ヒルトン・グランド・バケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」。過去2年間の優勝者しか出場できない、エリートフィールドから第一歩を踏み出す。これについては、「きょう優勝した人しか出られないことを知った」と笑ったが、「世界で優勝しているトップ選手とプレーできるのはいい経験。何が足りないのか、どこがやれているのかが、やっとわかると思う。勉強もかねて行けると思うので、いい経験をしたい」と、やる気を大いに刺激したようだ。

『特に回りたい選手などはいるか?』という質問には、「みんないいところがあって、ひとりひとり違うと思う。全員見てみたいという気持ち」と前置きしつつ、個人名として、世界ランク1位にも君臨したネリー・コルダ(米国)を挙げた。「(東京)オリンピックでも同じ表彰台に立てたので、ぜひ一回はプレーしてみたい」。自身が銀メダルを獲った時の金メダリストとしのぎを削ることが、大きな“モチベーション”にもなる。

来年はパリ五輪の開催年でもある。「順位的(世界ランク)に厳しいところだったけど、TOTOで優勝してチャンスをつないだかなと思える。可能性はゼロではない。そこまでは全力で頑張りたい」。2大会連続出場、そして2大会連続のメダル獲得への闘志は燃やし続けている。

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