• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 松山英樹は首痛でドラディス50位、パーオン率29位も… 神業アプローチ連発

松山英樹は首痛でドラディス50位、パーオン率29位も… 神業アプローチ連発

歴代覇者・松山英樹は苦しみながらも神アプローチで踏ん張った(撮影:GettyImages)

<マスターズ 最終日◇9日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>

最終日、松山英樹は首に痛みを抱えてラウンドしていた。きょう12番グリーンから再開された第3ラウンド。昨晩まで降り続けた雨の影響でフェアウェイはやわらかくなりランは出にくい。だとしても、13番パー5のドライバーでのティショットは261ヤードしか飛ばなかった。気温が低かったこともあり、首にはネックウォーマーを巻いたままだった。

15番パー5のドライバーは265ヤード。結局13番も15番も7割くらいのスイングでいつもよりスピードを落として振っている印象だった。それでもオーガスタ後半の2つのパー5は、3打目勝負のウェッジショットを見事にピンに絡めてバーディを奪取した。

追撃の流れを切らさなかった16番パー3のバンカーショットも見事だった。ティショットは不安そうな顔でボールを見送り、グリーン右手前のバンカーの右サイドへ。ピンは右サイドの近い位置だったが、これを見事に寄せてパーをセーブした。

17番をパーとして迎えた第3ラウンド最後の18番。フェアウェイ右サイドから打ったボールはまたしてもピンサイドの右手前のバンカーに入るも、左足上がりからアゲインストに打っていくバンカーショットを上手く寄せてパーでしのぐ。首位と6打差に縮めて、午後からの最終ラウンドに突入した。

ここで、第3ラウンドのドライビングディスタンスを見ていくと、278.8ヤードで53人中40位。1位のホアキン・ニーマン(チリ)は318.5ヤードをマークしている。パーオン率は18ホール中10回(55.56%)で20位タイ。ボギーとした1番ホールを除いて、7回アプローチでしのいでいたことになる。

同じ日の午後に始まった最終ラウンド。その序盤、ティショットは同組のラッセル・ヘンリー(米国)のほうが飛んでいる場面が目立った。ちなみに昨シーズンのドライビングディスタンスはヘンリーが298.7ヤードで106位、松山が304.7ヤードで62位だった。だが、午後になって気温が上がってきたこともあり、松山にスイッチが入る。520ヤードの11番パー4では341ヤードかっ飛ばし、ヘンリーを約40ヤードアウトドライブした。

スピードを出して振るようになり、最終ラウンドのドライビングディスタンスは298.6ヤードで32位まで上がった。14ホール中13回フェアウェイをとらえながら、パーオン率は18ホール中10回。いくつかいいアイアンショットをみせたが、首位に迫るほどの調子までは戻らなかった。

最終ラウンドの9番では、セカンドショットをグリーン右サイドにいたパトロンに当てて、ボールはグリーンの下まで戻ってきた。約40ヤードのアプローチを奥から戻して1メートルに寄せてパーセーブ。そのあと、ボールを当てたパトロンにボールかグローブをプレゼントし、2度大きな拍手を浴びた。

結局、勝負所のパッティングを外したことでスコアを落としたが、厳しい位置からのアプローチはほとんどワンピン以内に寄せていた印象がある。21年のマスターズ覇者は、ドライバーの飛距離が落ちて、アイアンが思い通りにコントロールできなくても、オーガスタで絶対に外してはいけない場所を避け、アプローチで止めやすいアゲインストになる風向きまで考えながらスコアを作った。

「体の状態を考えればよくそこの位置にいられたなと、最終ラウンドは思い切り振れていたけど、なかなかコントロールがうまくいかなかった」と本人は振り返る。これまで日本勢が絶好調に近いゴルフをみせても、オーガスタの壁に跳ね返され、なかなか上位に食い込むことが難しかった。しかし、アジア人初のマスターズチャンピオンは、満身創痍で本調子とはほど遠いなか、バーディチャンスをいくつも外しながら16位タイ。体が万全ならば、2度目の制覇が近いことを予感させた。(文・下村耕平)

関連記事