【SC相模原】高佐華子×塩沢秋乃 HANAKO TAKASA AKINO SHIOZAWA Vol.1「かわいいで勝負する! SC相模原の広報術」
元日本代表の望月重良氏が2008年に立ち上げ、わずか6年でJリーグ加入を果たしたSC相模原。
このクラブで重要な役割を担う2人の女性がいる。広報担当の高佐華子さんとグッズ担当の塩沢秋乃さん。
入社前はサッカークラブで働いた経験はゼロながら、ユニークなアイデアを次々と生み出して、観客動員やファン数増加に貢献している。
SC相模原の女性スタッフが主導している、ファン・サポーターを夢中にさせるかわいい系ブランディングとは——。
「SmartSportsNews」の独占インタビューを3回に分けてお届けする。
ど素人からサッカー業界へ飛び込む
——高佐さんがSC相模原に入ったきっかけを教えてください。
高佐 私は2014年のJ3リーグ初年度の途中からです。きっかけは、スタジアムMCをしているDJケチャップさんとの出会いです。社会人向けにスポーツ業界で働きたい人に向けたセミナーに通っていたところに講師として来ていたケチャップさんに誘われて、ボランティアで手伝うようになりました。
——サッカークラブで働きたいという希望はあったんですか?
大学卒業後は一般企業で働いていたのですが、新卒1年目の時に好きだったサッカー選手の松田直樹さんが亡くなって。なぜか「私が代わりにJリーグに入ってサッカーを盛り上げなきゃいけない!」と思ったんです。この話をすると引かれることも多いんですが(笑)。
——それまでに広報として働いた経験はあったんですか?
高佐 まったく……。そもそも私が入った時の相模原には「広報」という役割がありませんでした。営業担当が広報も掛け持ちしているという感じで、広報が何をやるかを教えてくれる先輩もいない(笑)。ただ、Jリーグが広報研修をしてくれたので、そこで基本的なところは学んで、今はJリーグにいらっしゃいますが、横浜FCの広報だった方にもアドバイスをたくさんいただきました。
——失礼ながら、そんな素人に広報を任せるクラブもすごいなと思うんですが……。
高佐 本当にそうですよね(笑)。よく任せたなと思います。
——クラブの情報発信ではどんなことを心掛けていますか。
高佐 試合のところはかっこよくしてほしいですが、それ以外のツイッターやインスタなどSNSに挙げる画像については「ポップな感じにしてほしい」とデザイナーの東郷健峰さんにオーダーします。マスコットのガミティを前面に押し出すことも多いです。
——SNSで発信する選手の写真なども、ちょっとふざけてるというか、プライベート感のあるものが多いです。
高佐 他のクラブの方がどうしているかはわからないのですが……私は基本的にファン・サポーターの方たちと距離が近いと思うんです。今年はコロナの影響でできないのですが、いつもは練習場で見学に来ているファン・サポーターの方と意見交換、というか井戸端会議をしています(笑)。企画を考える時は「あの人だったら喜んでくれるかな」と顔を思い浮かべるんです。
——ユーザーの声に耳を傾けて企画に落とし込んでいくのはマーケティングの王道とも言えるものですが……。
高佐 そこまで狙ってやっているわけではなくて、一番楽しいからやっている感じです(笑)。ただ、ファン・サポーターの方と雑談している中で、どんなことを望んでいるのかは見えてきますし、すごく参考にはなっています。
見えないところを見せたい
——この「ゆるい」感じが、SC相模原らしさなのでしょうか。
高佐 よくそう言われるんですけど、私自身はゆるくしているつもりはなくて(笑)。例えば、「ファン感謝DAY」とかも私が全部やっているわけではなくて、選手が勝手に何をすれば面白くなるかを考えてくれるんです。田中雄大選手(ブラウブリッツ秋田)は自分で漫才ネタを作ってきてくれましたし、水野晃樹選手はアイデアをどんどん出してくれます。
よくメディアの方からは「他のチームでも取材しているけど、こんなに選手が協力的なところはありません」と言われたことがあります。他のチームにいた時は話さなかった人も、相模原に来たらそういう風になってしまうようです。なぜだかはわかりませんが……、もしかしたら広報が頼りないから選手たちがやってくれるのかもしれません。
——他のチームから移籍してきた選手を応援しているサポーターは、SC相模原の選手とファンの距離の近さに驚くようです。
高佐 そこの選手との距離はいちばんの強みだと思います。普通はサッカーをしているところだけを見せてかっこいいというので良いと思うんですけど、私が女性というのもあって、どちらかというと、見えないところを見たい。かっこつけていないところも本当は魅力的だと思うので、そういうところをファンの方にも見せたいなと思っています。
——選手紹介ページにユニフォームだけじゃなく私服の写真も載せているのは高佐さんのアイデアですか?
高佐 はい。先ほどの話ともつながるんですが、見えないものを見せたいというのがあります。私服の写真は練習場に来た時じゃないと見えません。ただ、ユニフォームよりも選手の個性が表れるところですし、見たいと思っている人も多いはずなので。
——イヤーブックには「一言メモ」という、その選手にまつわる小ネタが載っています。
高佐 はい。新加入選手とかのキャラクターはファン・サポーターの方にはなかなかわからないと思うんです。GKコーチの渡辺彰宏さんや、在籍年数が長い千明聖典選手などに協力してもらって、素のところを教えてもらっています。
Vol.2「1個からでもつくる! SC相模原のグッズ戦略」
(ハイパーリンクURL)
https://ssn.supersports.com/ja-jp/articles/5fdc1c5778153436c91aeb02
Vol.3「コロナがJクラブに与えた影響は?」
(ハイパーリンクURL)
https://ssn.supersports.com/ja-jp/articles/5fdc1dd9fe0298563f54f493
■プロフィール
高佐華子(たかさ・はなこ)
北海道函館市出身。青山学院大学卒業後、一般企業を経て、当時JFLだったSC相模原にボランティアとして関わる。2014年よりJ3に昇格したSC相模原に入社し、広報・ホームタウンをガミティ(マスコット)とともに担当する。通称「広報たかさ」。
https://twitter.com/SCSofficialPR
塩沢秋乃(しおざわ・あきの)
長野県上田市真田町出身。順天堂大学在学時にSC相模原でインターンとして関わる。卒業後はスポーツブランドを運営する会社を経て、2019年よりSC相模原に入社。事業部門のグッズ、ファンクラブ、チケット担当を主に担当する。通称「グッズ担当塩沢」。
SC相模原グッズショップ
https://store.jleague.jp/club/sagamihara/
■クレジット
取材・構成:北健一郎
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