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“ファイナルラウンド・クイーン”の成績に珍現象 今季はトップ3か予選落ちのみ!?

申ジエは納得の2位フィニッシュ(撮影:米山聡明)

<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 最終日◇7日◇茨城ゴルフ倶楽部 西コース(茨城県)◇6780ヤード・パー72>

“ファイナルラウンド・クイーン”は健在だった。初日「76」、2日目「74」と18位タイで予選を突破すると、3日目はホールインワンを出すなど「70」をマークして、首位と4打差の3位タイまで浮上してきた申ジエ(韓国)。最終日は雨と風と寒さの厳しいコンディションのなか、トップの吉田優利に一時は1打まで迫り、手に汗握る優勝争いを演出した。

「きょうはコースコンディションが変わって、風を読むのが難しかった。きのうピッチングウェッジを打った場所でユーティリティを持ったし、けっこう距離が長くて厳しかった。頑張ってアンダーパーで回りたかったんですけど、最後は残念なボギー。でも、きょうだけじゃなくて4日間よく我慢した。頑張った一週間になりました」

17番を終えて1つ後ろの最終組を回る吉田とは1打差だった。勝負がかかる最終18番パー4のティショットは左のフェアウェイバンカーへ。しかもアゴが近い。ジエは必死にユーティリティを振り抜いたが、無情にもアゴに当たり、わずかにフェアウェイへ出ただけ。最終ホールはボギーとして、パープレーの「72」。3打差の単独2位に終わった。

1打差を埋めにいった勝負の18番セカンドショットについては「勝負にいったわけではないんですけど、ピンまで200ヤード以上あったので、できれば近いところに行ってほしかった。アゴに当たっても右のフェアウェイは広かったので、ボギーは狙うことができる」とミスも計算済み。「ボギーは4つありましたけど、きょうはフェアウェイを外したら目標をボギーにして」と最初から割り切っていた。

「少し気温も下がり、腕の状態も硬くなり、力も入りにくかったなかで、きょうのプレーには満足しています。頑張ったと思います」。ホールアウト後は寒さに震えながら取材エリアに現れ、タオルにくるまりながらの質疑応答。きょうのコンディションの厳しさが表れていた。しかし、ジエの顔は悔しさよりも満足感のほうが色は濃い。「吉田優利さんが4日間いいプレーをしたから」と笑顔で勝者を称える。

米ツアー参戦時代は最終日に強さを発揮することから“ファイナルラウンド・クイーン”の異名がついた。「4日間の試合だったから、初日、2日間はいろんなショットを試したり挑戦してみたりしながらコースを把握していきます。3、4日目は向かっていけるので、どんどん良くなっていく」と、その理由を教えてくれた。

ここでジエの面白い成績を紹介しよう。今季は国内女子ツアー7試合に出場しているが、開幕戦優勝のあとは、予選落ち、3位タイ、予選落ち、2位タイ、予選落ち、今回の2位と、トップ3と予選落ちを交互に繰り返している。するとジエは「恥ずかしいです」と小さくなる。そして、「予選は1年分落ちたので、今度は大丈夫」と冗談交じりにいう。

今季の決勝ラウンド平均ストロークは『70』で全体1位と納得の数字。“鬼門”の予選さえ通ってしまえば、必ず優勝争いに絡む。“ファイナルラウンド・クイーン”の異名は伊達じゃない!?(文・下村耕平)

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