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史上最難関の声も 牙をむくシニアメジャーで藤田寛之が感じたステージクリアのための“アイテム不足”

<全米シニアオープン 初日◇29日◇セントリーワールド(米ウィスコンシン州)◇7218ヤード・パー71>

最終ホールのボギーも悔しければ、前半の上がり3ホール連続ボギーも防げたかもしれない。そんな思いはあるが、藤田寛之は“ギリギリ”踏みとどまった。「ボギーが多すぎますね」と初日は3バーディ・7ボギーの4オーバー。数字だけを見れば厳しく見えるが、過酷な戦いのなかで、41位タイと予選通過圏内は死守した。

10番からスタートし15番まですべてパー。「バーディチャンスがなかった」というなかで、耐えに耐えた。流れが変わったのは16番パー3。「3パットをしてしまって」とはじめてスコアが動くと、続く17番もボギー。18番でもフェアウェイからのセカンドが「ダフってしまって」とグリーン手前に落ちた。ピンは手前の傾斜を上がってすぐのところで、「(全米)らしいピン位置ですよ」とぴったりを狙って少しでもショートすれば花道を転がり落ちる位置。ここで藤田はパターで3打目を打つも5メートルオーバーしてしまう。結果、3連続ボギーと流れを食い止められず後半に入った。

「このへんからショットがちょっと悪くて」。ティショットはフェアウェイを捉えても、グリーンを狙うショットがことごとく合わない。1番ではグリーン右手前に外しながら2メートルに寄せてパーを拾うが、2番、3番と左へのミスが続き連続ボギー。一気に5オーバーまで後退した。

「持っている武器に対して、戦うステージが違うんですよ」とゲームに例えてみる。ステージをクリアするにはアイテムが足りないともいう。それでも立ち向かう努力は続けるが、相手は「パワーがあるから圧倒されて」と形容するほどのモンスター。「ちょっとずつコースと自分のズレが出てきてしまって」と、何度もやられそうになっていく。

5番の短いパー5では「古いディボット跡だったけど、『狙うしかないだろう』とバーディを取りに行った」と2オンに成功しバーディを奪うが、直後の6番では右ラフ、左ラフと渡り歩きまたもボギー。踏ん張りがきかなくてもおかしくないなかで、この後、ようやく相手にダメージを与えることになる。7番パー3ではピン手前13メートルにオン。これをしっかりと打ち抜くと勢いよくカップインした。一矢報いると、両手を突き上げ天を仰いだ。

これだけでは終わらない。続く8番は“エグい”ピン位置。短いパー4ながら、ピンの右に落ちればすべて傾斜でグリーン外へ転がり落ちる。そんな藤田のセカンドはフェアウェイから76ヤード。「あのバーディはいい攻めでした」。ピン左5メートルに乗せ、下りのラインを読み切り計算通り。ステージクリアに迫った。

ところがそう簡単にはいかないのが「全米シニアオープン」というステージだ。最終ホールのピン位置は左サイドでクリーク越え。138ヤードのセカンドを9番アイアンで放ったが、これが無情にも奥のバンカーへ。そこから1.5メートルに寄せたが、下りのラインを沈められずにボギーフィニッシュ。“ラスボス倒し”は、2日目以降に持ち越しとなった。

ホールアウト時は50位台だった順位も終わってみれば41位。苦労したのは藤田だけではない。この日の平均ストロークは「77.32」で6.32オーバー。アンダーパーがわずかに4人の初日をみれば、4オーバーはまだまだ“圏内”だ。「やっぱり押され気味なんです。まだキャラクターが弱いんですよ(笑)」。やられた感は拭えないが、クリアに向けての戦いはここからが本番だ。(文・高桑均)

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