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「恥ずかしいんですけど…」 ツアー未勝利の29歳・照山亜寿美が“家族の夢”も叶えるため、上位で週末へ

29歳の照山亜寿美がボギーフリーの「68」で6位タイに浮上してきた(撮影:上山敬太)

<日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 初日◇8日◇パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(長崎県)◇6755ヤード・パー72>
 
通算9勝の小祝さくら、同5勝の西郷真央、女王・山下美夢有、歴代覇者・稲見萌寧…。現在、ツアーを代表する看板選手たちが上位に名を連ねる“女子プロゴルファーNo1決定戦”にふさわしい大会で、未勝利の29歳が健闘している。トータル5アンダー・6位タイで決勝ラウンドに進んだ照山亜寿美だ。

2016年のプロテストに合格してから、キャリアのほとんどを下部ツアーで過ごしてきた。QTランク34位で開幕を迎えた今季は、第1回リランキングを30位でクリア。初めて1年間をレギュラーツアーで過ごすため、生き残りをかけて戦っている。3月の「アクサレディス」で3位に入っているが、その時は最終日に「67」をマークして25位から浮上した結果。しかし今回は、しっかりと上位争いをけん引するひとりとして週末に入ることができた。
 
4つのバーディはもちろんだが、ボギーフリーというのもキラリと光る。「危ないところもパーパットを決められたのが大きかった」と、1.5メートルほどのパットを何度も沈めながら歩みを進めた。10番のバーディは8メートルを沈め、15番のパー5は残り100ヤードを50度のウェッジで1メートル弱につけて奪ったもの。ショットとパットがかみ合った。
 
茨城県水戸市出身。地元の岩瀬日大高卒業後は、知り合いの紹介もあって、計2カ月ほどの米国短期留学も行った。米ツアーで通算72勝を誇るアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が立ち上げた『アニカアカデミー』で、ゴルフを学ぶ生活。「ターニングポイントがここ。そのおかげでプロにもなれました」。4度目の挑戦でプロテストに合格し、すぐさまステップ・アップ・ツアーの「フンドーキンレディース」で優勝もしている。
 
鈴木愛、川岸史果らと同じ1994年生まれ。「時間は他の人よりかかったけど徐々に徐々に」とマイペースで進むプロ生活だが、来季のシード権が確定するメルセデス・ランキング50位以内、もしくは前半戦出場権が約束される51~55位以内を目指している。現在156.88ポイントで84位につけるランキングを大きく上げるチャンスどころか、首位と4打差と優勝も見える位置につけている。
 
「洋芝が得意。北海道の試合が続いて選手権に入れたので、いい状態です。クラブの抜けが全然違いますね。インパクトからフォロースルーにかけての感覚がいいです」など、試合を振り返り明るくハキハキと受け答えする。昨年春からティーチングプロの丹野宏紀コーチに師事。もともと感覚派だが、トラックマンなどのデータも駆使しての理論も注入中だ。「それからスイングも形になってきて、北海道の試合が多い9月くらいから『調子がよくなるかな~』と思ってたら本当にそうなりました」と、ニコニコと話す。
 
癒しはプロテストに合格した年に購入した2匹の愛犬。シェットランドシープドッグの「メル」と「ベンツ」だ。「恥ずかしいんですけど…、合わせるとメルセデス・ベンツになるんです(笑)。ベンツに乗せてくれないからって、勝手に家族がつけた名前です。いつか買えるようにって」。今週の副賞は、メルセデス・ベンツの『EQB250』で、それが18番グリーン横に飾られている。「ベンツに乗せたいなと思います」。車、ランキング…、すべての目標を叶える勝利を目指すことになる。(文・間宮輝憲)

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