• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • キーワードは「カップより奥」 パット巧者・勝みなみが急浮上できたワケ

キーワードは「カップより奥」 パット巧者・勝みなみが急浮上できたワケ

パットをすぐさま修正。勝みなみがバーディラッシュで急浮上した(撮影:上山敬太)

<CAT Ladies 2日目◇19日◇大箱根カントリークラブ(神奈川県)◇6638ヤード・パー72>

18位から出た勝みなみが7バーディ・2ボギーの「67」をマーク。首位と2打差のトータル8アンダー・4位タイに浮上した。今季から主戦場とする米ツアーにおいて、1ラウンドあたりの平均パット数で3位につけるパターの名手は「5~6メートルのバーディチャンスが入ったので、いい流れでプレーできました」。3週前の海外メジャー「エビアン選手権」から目印の位置を変えたことで、よりパッティングの調子が上がっている。

1番パー5でグリーン右からバンカー越えのアプローチを2メートルに寄せてバーディ発進を決めた勝だったが、直後の2番パー4ではティショットを右に曲げ、あわやOBの位置からボギー。さらに4番もボギーと序盤はややつまずいた。

それでも、初日に一時2オーバーと苦しみながら最終的に3アンダーでフィニッシュしたように、巻き返しはお手の物だ。5番パー3で8メートルのバーディパットを沈めると、6番も取って連続バーディ。さらに9番から3連続バーディを奪うなど、大きくスコアを伸ばした。

好スコアの要因はパッティング。「アドレスの感覚が良くなかったので」と前日のラウンド後にボール位置や手元の位置を調整した。「今日もいいわけではないですけど、初日に比べれば、しっくりきています」。9番4メートル、10番6メートル、13番5メートルと中盤はミドルパットをことごとくカップに沈めた。

シーズン序盤はパッティングが打ち切れないことに悩んでいた。「こすったり、手前で切れたり、イメージよりボールが前に進まないことが多かった」という。そんななか、エビアン選手権から目標となる目印を「ボールとカップの真ん中よりやや手前」から「カップより奥」に変更。「目印が手前にあると、そこを通すことに意識が行ってしまうんですけど、遠くにしたことで、そこに届かせようという感覚になりました」。体の動きが詰まる感じがなくなり、フォローが大きくとれるようになったという。

実際のルーティンではラインを読み、打ち出す方向を決めたら従来と同じ手前の目印にボールに書いた線を合わせる。その後はカップより奥の目標に目線を映し、なるべく目線を切らないままアドレスに入る。ストローク中はボールを見ているが、意識は遠くの目標に置いたまま。これにより、「3~4メートルに乗れば、入るんじゃないかと思えるようになりました」とパッティングへの自信が蘇った。

2打差を追う最終日に目指すのはもちろん優勝。「1番からバーディかイーグルを取って、いい流れに乗っていければいいなと思います。いいものをつかんで米ツアーに持って帰れるように、18ホールを大切に回りたいですね」。箱根の温泉が一番のお目当てだった5カ月ぶりの国内ツアー参戦だが、ツアー9勝目という大きなお土産が付いてきそうだ。(文・田中宏治)

関連記事