九州大学サッカーで、年間約100人の学生審判が誕生する理由。

九州から全国へ、審判の育成を広げていく

ー九州の学生サッカーにとっても、大きな変化が生まれますね。

現在、九州学連ではリーグを3部制にする議論がなされているのですが、そこでも審判不足が問題にあがります。今回の取り組みは、そういった課題をクリアすることにも繋がると期待しています。

例えば、台風などで延期になった試合を平日に実施するとき、学生自身が審判をすることができるのは大きなことです。現在は各大学5人の育成を目標にしています。審判の育成は、サッカーに関わる我々にとって大切なこと。3級で経験を積んだ学生が、2級、1級と、さらに高いレベルを目指すようになったらいいなとも思っています。実際そういった人材がどれくらいいるかといえば、我々もそこまで多くはないと認識しています。それでも、この講習会をきっかけに、そういった学生が1人でも誕生してくれたらいいなと思っています。

真剣な表情で講習を受ける選手たち

ー部活動などでレフェリーを担当することを嫌がる学生も少なくありませんからね。

そうですね。ただ、学生のほうが向いていると感じる部分もあります。実際に自分もプレーしているので、判定に対して文句を言われても知らん顔をしているんです。逆に審判に意義を唱えるチームメイトに「そんなこと言うなよ」という声も聞きます。ルールを厳密に理解することは、選手としてのプレーにもいい影響があると思います。

ー選手と審判、お互いのコミュニケーションも大切な要素ですね。

そうですね。レベルが上がっていくとルールの理解や技術はそこまで変わらないので、選手やベンチといかにコミュニケーションを取ることができるか、という部分を見ることが多いです。

ー平日の試合開催は会場だけではなく、審判の問題があるのですね。

逆に会場はいくらでもあるんですよね。大学のグラウンドもありますし。より深刻な課題となっている、審判問題を解決する手段になると期待しています。大学そして審判委員会が、お互いに負担を掛け合うことなく運営を進められるのがメリットです。

ー現在は審判も若い人材が増えたと感じます。

選手として活躍するとなれば才能がなければ難しい部分もありますが、たとえ才能がなくても努力でトップレベルまで上り詰めることができますからね。レフェリーとして突き詰めることができれば安定した収入を得ることもできます。

ー最後に、審判の育成について今後の展望を聞かせてください。

まずは九州サッカー全体の審判不足という課題を解決するために、この取り組みを継続することが大切です。今は九州という括りで開催していますが、今後は全国に広げていければいいなと思います。そのうえで審判の育成という部分を考えると、学生の金銭的な負担を軽減してあげる仕組みができればいいなと思います。そのためには審判委員会側も支援を続けていこうと考えています。

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