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絶望、どん底…欧州3週間で味わった転戦の“リアルなつらさ” 迷ったプロテスト受験も…結論が出ました!【ゆり’s ROAD】

井上コーチ(左)も帯同したオランダでの一コマ。笑顔の裏に苦悩も隠されていた(写真:本人提供)

独自の道を切り開き、プロゴルフの世界で戦っているひとりの選手がいる。26歳の女子プロゴルファー・識西諭里(おにし・ゆり)がその人だ。日本でのツアー生活を目指すも、これまでに7度挑戦したプロテストで合格をつかみ取れず、今年は米国、欧州と世界各国を股にかけて転戦を続けている。“未知の世界”に飛び込んで奮闘する姿を追う。先週までアイルランド、オランダ、スイスと3週間の欧州転戦をしていたが、そこではこれまでにはなかった“苦悩の時間”を過ごすことになった。その時の心中を打ち明ける。

みなさん、こんにちは! 先週は「これからどうしていこう」、「何を話せばいいのか分からない」…そんな状態で、連載も1週間のお休みをいただきました。スペインの試合(7月、ラ・セラオープン)から4試合連続で予選落ちしたのですが、特にアイルランド、オランダは“どん底”。正直ショットがどこに行くか自分でも分からない、という感じでした。もともとスペイン、北アイルランドで違和感を覚えながらプレーしていたのが、悪化してプレーに出てしまった。これまでたまに出ていたミスが、毎ショット続く…そんな状態でした。

2週前のオランダ(ビッグ・グリーン・エッグオープン)の初日には、17番のパー4で『8』を叩いたのですが、この時は初めて「同伴競技者に申し訳ないから棄権しようかな」とも考えました。林から出した球が、また別の林に行くという状況。時が止まったような錯覚に陥りました。これまで私は棄権したことはなく、ましてや調子が悪くて棄権するなんて考えたこともなかった。この週はコーチ(井上透氏)が帯同してくれたのですが、『ここまでの状態は初めて見た』と言われたほどでした。

オランダ、スイスは“超絶練習”する2週間になりました。普段は毎週試合があるため、ペース配分を考えながらの練習ですが、それどころではないという感じ。毎日、練習ラウンド後に、みっちり球を打ち込んで、とにかく原因として考えられることをつぶしていきました。頻繁にコーチに見てもらえるわけではないので、ひとりでプレーしている間にズレが生じる…そんなことも改めて痛感する時間になりました。

もちろん転戦するなかでは『いい時も悪い時もある』。それは開幕前から分かっていました。ただ、実際に“悪い時”に陥ると、やっぱり苦しかった。スイスでは、徐々にですが自分が打ちたい球も出るようになってきましたが、“練習場ですら打てない”という経験は本当に初めてのことでした。でも、オランダでは仲がいいマイちゃん(タイのトリチャット・チェーングラブ)が優勝したんです! そのシーンを見るためコースに行ったのですが、元気をもらいました。最悪の状態でも『頑張ろう!』という励みになったのも、大きかったですね。

日本ツアーを見ていた時も、いつも上位にいるような選手がたまに下位にいるのを見て『連戦の難しさ』を感じていましたが、その時は第三者的な視点でした。当事者になると、こんなに苦しいんだなというのも知ることができました。また、この経験をしたことで次に同じような状態になった時の対処法も学んだ気がします。ショットが悪い中で、アプローチ、パターの成長も実感できたし、今はプラスにとらえたいと前を向くこともできています。少しずつですが自信も取り戻すことできています!

今週は日本に戻っています。迷っていたプロテストですが、今年も受けることを決めました! 2次を三重の会場(10月10~13日、ジャパンクラシックCC クイーンC)にすることで、最少の欠場で欧州の試合にも出られるので決断しました! 帰国してすぐに三重に行き、水曜日から2日間コースも回ってきました。また日曜日には、次の試合のためフランスに発ちます。地元(福岡県)でも調整して、しっかり気持ちを切り替え頑張ってきます!

■識西諭里(おにし・ゆり)
1997年4月16日、福岡県出身、26歳。福岡第一高卒。9歳でゴルフを始め、2015年の福岡県民アマチュアゴルフ選手権優勝などの実績を残す。昨年は予選会を突破し6月の「全米女子オープン」に出場。米国、欧州ツアーの予選会にも挑戦し、現在は欧州を主戦場にしている。身長166センチ。株式会社梅の花所属。

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