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「家族のためにありがとう」 母・ファジャさんがイ・ボミに送った“愛のことば”

ボミのママが喜びとうれしさ、感謝と寂しさのコメントを寄せた(撮影:福田文平)

<NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 2日目◇20日◇マスターズゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6495ヤード・パー72>

日本での最後の試合は悔しい予選落ちとなってしまったが、雨に濡れたコースは愛であふれた。最後の瞬間を見届けようと大勢の選手、関係者、ギャラリーがボミを囲んだ。笑顔と涙が入り交じるフィナーレとなった影で、静かにボミを見つめる目があった。母のファジャさんだ。

ボミとともに戦ってきた一人。サポートの大変さは計り知れない。そのファジャさんがコメントを寄せた。「すごくありがとうと伝えたい。そしてお疲れ様でした。家族のためにありがとう」。14年に父が他界してからは、ボミが大黒柱となって家族を支えた。日本ツアーで13年間。心からの言葉が、ボミとともに過ごしてきた時間の喜びと苦労を物語る。

日本のファンからこよなく愛されたボミの最後のシーンを見ようと詰めかけた大ギャラリー。そんなシーンを見て、ファジャさんも感動の気持ちを堪えきれなかった。「18番パーでうれしかったし、それですごく涙が出ました。大変な時期もあり、成績も悪かったのに皆さんに支えられて」。ここ数年間の苦しみを隣で見てきたからこそ、最終ホールをパーで締めくくり、拍手喝采を浴びた娘を、涙なしで見ることはできなかった。

「ボミを愛してくれて、皆様ありがとうございます」。この一言に感謝の気持ちが集約される。これまでともにしてきたツアー転戦という時間は今後なくなるが、娘が残した功績は、ファンの心にも、ファジャさんの心にも宿り続ける。

ホールアウト後は引退セレモニーも行われ、何百という人から盛大に見送られた。「幸せで、ストレスなく、旦那様と幸せだけを考えて過ごしてほしい」。ツアーを離れ、これから始まる第二の人生。母として幸せを願う優しさが言葉にこもる。

常に娘のそばで見続けてきたファジャさんにとっても、この景色は見納め。そして、これまで作り続けてきた“アレ”も終わりだ。「キンパを作りながら『これで最後なんだ…』と、表現できない感情が湧きました」。ボミにとって、試合で食べる母お手製の韓国海苔巻きも最後の1本となった。親子の愛が紡いできた物語が、ついに閉幕した。

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