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「あれ、意外といけるんじゃない?」 “窮地のホステスプロ”大里桃子が球筋変更で復調の兆し

ホステスプロとして参戦の大里桃子。土俵際から逆襲はなるか(撮影:福田文平)

<伊藤園レディス 事前情報◇9日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6741ヤード・パー72>

現在のメルセデス・ランキングは86位。ツアー通算2勝の大里桃子だが、今年は苦しいシーズンを送っている。それでも「調子自体は良くなってきている。あとは自信を持って、それを試合で出せるかどうか」と、復調の兆しも感じながら、所属先の伊藤園が主催する大事な試合を迎えることができた。

2018年7月のテストに合格し、8月の「CAT Ladies」ですぐさまツアー初優勝。プロ転向初年度に初シードを手にして以降、一度もフル出場権を喪失したことがない。だが、今年は大きな危機にさらされている。33試合に出場し、トップ10入りしたのは6月の「リシャール・ミル ヨネックスレディス」の3位タイのみ。予選落ちは22試合を数える。その原因になったのは、「ティショットとアプローチ」だと振り返る。

直近も4試合連続で決勝ラウンドに進むことができていない。苦しい結果は続くが、それでも大里が前を向くことができる要素がティショットの改善にある。「夏頃に、球筋をフェードにしてから安定してきたんです」。もともと一貫してドロー系のボールを操ってきたが、「こだわりすぎて、右プッシュが出た時にどうしようもなくなることが多かった」と、それが首を絞める原因にもなった。そして“こだわりすぎて”いたものを、一度捨てると決めた。

転機になったのは、8月に出場した「日本女子オープン最終予選」。1日36ホールを回るこの予選会で大里は「ティショットが振れなかった」と、最初の18ホールを「77」で終えた。通過は絶望的ともいえる中で、「スコアも関係なくなった時に、右ドッグレッグのホールがあった。思い切ってフェードを打とうと決めたら、すごくいい球が打てて。『あれ、意外とフェードいけるんじゃない?』って思えた」。

これまでは「向いていない」と思っていた球筋だが、「これ以上悪くなることはない」という開き直りが、行き先を少し明るく照らすことになった。

今年のフェアウェイキープ率は54.5622%(85位)。もともとアイアンの精度で勝負するショットメーカーだが、ティショットが「振れない」状況では勝負にならない。それでも最近はバーディチャンスも増えてきた。あとはそれが決まらないから流れに乗れない、というケースが展開を悪くもしているが、キャディからは『ちょっとパターが入れば上位にいけそうだよね』と声をかけてもらえるまでに回復している。

「予選カットラインばかりを意識しているのは情けないけど、夏前はそこすら見えないくらい下のほうだった」。あとはさらにかみ合っていくことにも期待しつつ、クラブを振るしかない。

シード入りのラインであるメルセデス・ランキング50位以内に入れなくても、「QTに向けて自信を持ってやれるように」と腹をくくって、終盤のシーズンを戦っている。現時点で出場権がない今季最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」の週からは、最終QTが行われる静岡県(葛城ゴルフ倶楽部 宇刈C)入りし、じっくりと調整することもスケジュールに組み込んでいる。

「最近は予選通過ができてない。ホステス大会ではまずはそこを通過して盛り上げたいのが第一。流れに乗れる試合ができたら」。確定している残り2試合で、人事を尽くして天命を待つ。復調の兆しをさらに強く感じられるような一週間にしたい。(文・間宮輝憲)

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