電気自動車EQシリーズの第6弾はラグジュアリーSUV

優れた静粛性や走行性能、高級車としてのEQの資質は高い

メルセデス・ベンツの電気自動車、EQシリーズ第6弾として登場したのがEQS SUVだ。Sが付くことから分かるように、全長5mを超える7人乗りのフルサイズSUVとなる。そのボディサイズは全長5130mm ×全幅2035mm×全高1725mmで、セダンのEQSが5225mm×1925mm×1520mmと比較すると、全幅は110mm、全高は205mmそれぞれ大きく立派。ただし位置づけとしてはGLSのEQバージョンとなるが、実際に目にするとGLSほどの高さはなく、ラグジュアリーなクロスオーバーSUVといった印象となる。
 
電気自動車専用プラットフォームに合わせてデザインされたエクステリアは、ホイールベースが3210mmと長いのが特徴となる。フロントグリルにはEQシリーズ共通となる「ブラックパネル」を採用していて、ひと目で電気自動車であることがわかる。ちなみに、内部には超音波センサーやカメラ、レーダーなどの運転支援システムに関係するさまざまなセンサーが備えられている。
 
インテリアはインパネ全体に広がっている「MBUXハイパースクリーン」と呼ばれる巨大なモニターに目を奪われる。ダッシュボード全体を1枚のガラスで覆うワイドスクリーンで、エアコンや走りの設定などの各種操作をしたり、助手席では走行中でもさまざまなエンターテインメントを楽しむことができるもので、未来感が十分だ。
 
車内でセダンのEQSと大きく異なるのは、7人の乗車が可能なこと。広々とした空間にダイヤモンドステッチをあしらったナッパレザーのシートを装備していて、なかでも2列目はかなり広々としている。また、前後130㎜の電動スライド機能、電動リクライニング機能も標準装備されるなど、じつにラクジュアリーだ。
 
気になる3列目はフロアから起こして使用するため、簡易なものと思ってしまうが、実際に座ってみても窮屈さなどはなし。着座位置も自然で、こちらにもシートヒーターが標準装備されている。
 
ラゲッジルームは、3列目シートを使用した状態でも195Lものスペースを確保しているし、2列目を一番後ろで880L。2列目シートを倒すこともできて、この場合は最大2100Lにもなる。ゴルフ場への足としても最強のキャラクターと言っていい。

気になる走りも最新のシステムを採用

パワートレーンは前後にモーターを搭載する4WD。フロントとリアの電気モーターは連携していて、常に効率よくすべての車輪にトルクが伝えられる。 リチウムイオンバッテリーの容量はグレードによって異なっていて、450は最高出力265kW(360ps)、最大トルクは800Nmを発生。さらに580になると400kW(544ps)、858Nmにもなる。航続可能距離はそれぞれ593km、589kmとなるので、不満のない性能を確保している。
 
高級車らしい配慮としては、エンジン音がない電気自動車で問題になりがちな高周波の風切り音などについて、ボディのシールや通常目に見えないアンダーボディまでも徹底的に手が加えることで軽減。空気抵抗もスポーツカー並みに小さくて静粛性や燃費の向上に貢献している。
 
充電は200Vの普通充電と、急速充電(CHAdeMO規格)に対応していて、150kWの急速充電なら、わずか49分でバッテリー残量を10%から80%まで増やすことが可能だ。
 
また日本仕様で注目なのが、車外へ電力を供給できる双方向充電も採用していること。家庭の太陽光発電システムで発電した電気の貯蔵装置となるだけでなく、停電した場合などに電気を家庭に送る予備電源として災害時などにも威力を発揮してくれる。
 
肝心の走りだが、SUVを名乗るだけあって、荒れた路面で本領を発揮するオフロードモードも用意されていて、ラグジュアリーな車内と、本格的な悪路走破性兼ね備えているのはEQS SUVならではだ。また、ボディサイズから想像できない最小回転半径5.1mというのも特筆すべきポイントで、これは最大操舵角が10度もあるリア・アクスルステアリング(後輪操舵システム)のアシストも効いている。メルセデス・ベンツの伝統である取り回しの良さはEQS SUVでも健在というわけだ。

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