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メジャーは年間2勝より2年連続Vがお得? 複数年シードにまつわる“意外な豆知識”【23年女子ツアー丸わかり】

メジャー2勝+年間女王=? 複数年シードのあれこれ(撮影:Getty Images)

3月2日から行われる「ダイキンオーキッドレディス」で幕を開ける2023年の国内女子ツアー。今年もこれまでと大きく異なる点、注目すべきポイントが存在する。ということで「23年の女子ツアーで知っておきたいこと」を予習・復習しておこう。今回は複数年シードにまつわる話。

プロゴルフトーナメントに身を置き、そこで稼ぐ選手たちにとって、何よりも大事になってくるのが『出場権』。いわば職場の確保。これが無ければ、どれだけ試合に出たくても出場することは叶わない。そのうえで全選手が目指していくのが、翌シーズンのフル出場が叶うシード権であるのは言うまでもない。

女子ツアーは、昨季から順位に応じて付与されるポイントで争われる『メルセデス・ランキング』(以下、MR)でシード権が争われている。シーズン終了後50位以内に入った選手が、翌年のフル出場権を手にできるわけだ。ほかにシーズン優勝者も翌年の出場権が確定するが、この両方に共通するのが“有効期間は翌年のシーズン終了まで”という点。そのため、毎年、毎年、シビアな戦いが続くことになる。

しかし単年ではなく、数年間のシードが確定するケースもある。これがいわゆる『複数年シード』だ。MRでシーズン1位になった年間女王には4年間のシードが付与されたり、公式戦(メジャー大会)優勝で3年シードなどの規定が設けられている。

国内女子ツアーにおいて、この複数年シードの価値は非常に高い。というのも19年に規定が変わり、『シードの開始年度を、獲得翌年から10年のうちに選手の任意で選択できる』ようになったから。それ以前は獲得した翌年から自動行使されたため、例えば賞金シードを持っているにかかわらず、重複的に複数年が使用されるというケースがほとんどだった。10年間であれば自分でスタートする年を決められることで、通常のシードを失った時の“保険”になったり、米国ツアー参戦への足掛かりになるなど、選手のキャリアに応じて使用できるのは大きい。

ただ、各種条件が複合するとかなり複雑になる。その一部を紹介しよう。まず同一年度の公式戦優勝は3年シードと書いたが、2勝すると単純に6年間の複数年が得られるかというと、そうではない。『年間で公式戦2勝の場合は5年シード』と規定されているのだ。例えば20-21年シーズンに「日本女子オープン」と「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を制した原英莉花はこれに該当する。

さらに同一年に公式戦2勝を挙げたのに加え、年間女王に輝いた昨年の山下美夢有のケースは、さらに複雑。一見すると公式戦の5年+MR1位の4年で9年シードになりそうだが、日本女子プロゴルフ協会によると、この場合は期間が長い5年シードが優先されるとのこと。稲見萌寧も21年に東京五輪銀メダルで5年シードが付与された後、9月に公式戦「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」を制したが、同様に5年シードのみが残る形になっている。

これを踏まえ見てみると、勝みなみのケースは興味深い。21、22年の「日本女子オープン」を連覇した勝のシード状況についてJLPGAに聞くと、3年シードを2つ保持しているという回答が返ってきた。つまり2032年までなら、行使するタイミングによって最大6年の出場権が約束される。それだけメジャー連覇の価値は高いということか。今後もさまざまなパターンでこの複合技が出てきそうだが、その都度、どのような扱いになるのかを気にかけるのも少しディープな楽しみ方になりそう?

■5年シード
【同一シーズン公式戦2勝】
・畑岡奈紗(獲得2019年→行使可能期限2030年)☆
・原英莉花(同21年→同31年)
・山下美夢有(同22年→同32年)
【東京五輪銀メダル獲得】
・稲見萌寧(同21年→同31年)

■3年シード
【公式戦優勝】
・渋野日向子(同19年→同30年)☆
・ペ・ソンウ( 〃 )☆
・永峰咲希(同20年→同31年)
・西村優菜(同21年→31年)
・勝みなみ( 〃 )
・三ヶ島かな( 〃 )
・川崎春花(同22→32年)
・勝みなみ( 〃 )
【19年賞金ランク1位】
・鈴木愛(同19年→同30年)☆
【21年MR1位】
・古江彩佳(同21年→31年)
※永峰咲希は23年シーズンから3年シードを行使。このほかにも、ツアーで通算30勝を挙げた選手にのみ与えられる『永久シード』がある。☆は20-21シーズン統合により行使開始期限を1年延長

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