• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 最下位から躍進した2球団、日本ハム主砲の不祥事に新人大豊作――2021年プロ野球5大ニュース!<SLUGGER>

最下位から躍進した2球団、日本ハム主砲の不祥事に新人大豊作――2021年プロ野球5大ニュース!<SLUGGER>

ヤクルトの「2年連続最下位からの日本一」は史上5例目。しかも球団では15年に続く2度目の達成で、これは史上唯一だ。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)
2021年もプロ野球は盛りだくさんの話題で我々を楽しませてくれた。今年も残り僅かとなった今、改めて今季のプロ野球5大ニュースを振り返ろう。

1位:前年最下位の2球団がリーグ制覇
11月20日から行なわれた日本シリーズで対決したのは、ヤクルトとオリックス。両軍の顔合わせは26年ぶり3度目だったが、同時に“史上初”のカードでもあった。前年最下位からリーグ優勝を果たしたチーム同士の対戦だったのだ。

オリックスは中嶋聡監督の育成手腕が光った。高卒2年目でリーグ2位の防御率2.51を記録した宮城大弥ら若手が台頭し、遅咲きの大砲・杉本裕太郎も本塁打王を獲得する活躍。山本由伸は投手五冠、吉田正尚は2年連続首位打者と従来の主力も例年通りの活躍で、投打ともに大きく戦力を増して激戦のパ・リーグを勝ち抜いた。

一方、19~20年は2年連続最下位だったヤクルトは、高津臣吾監督の制球力重視の方針が実を結び、与四球はリーグ最少の363。チーム防御率も前年の4.61(6位)から3.48(3位)と大幅に改善されたことで、自慢の強力打線と噛み合った。前半戦こそ阪神と巨人に先行を許したが、9月以降に26勝16敗7分(勝率.619)と猛追して二強を追い抜いた。

下剋上の勢いそのままに両軍は日本シリーズでも激闘を演じ、実に6試合中5試合が1点差の好ゲーム。投手力で僅かに上を行ったヤクルトが4勝2敗でオリックスを下し、20年ぶりの頂点に立った。
2位:ルーキーたちが躍動!
今季はコロナ禍で外国人選手の来日が遅れたこともあり、各球団が積極的に新人選手を起用。その結果、史上稀にみるルーキー豊作年となった。

まず話題をさらったのが、昨年のドラフトで4球団競合の末に阪神へ入団した期待のスラッガー、佐藤輝明。オープン戦で12球団トップの6本塁打を放って開幕からスタメンを勝ち取り、前半戦だけで20本塁打を量産した。

佐藤だけでなく、栗林良吏(広島)や伊藤大海(日本ハム)といった新人投手たちも序盤から躍動した。当初から抑えを務めた栗林は、開幕22登板連続無失点のルーキー記録を樹立。伊藤の開幕23イニング連続奪三振も新人最長で、2人そろって東京五輪日本代表にも選ばれた。

後半戦に入って佐藤の勢いが落ちると、代わって牧秀悟(DeNA)が存在感を増してきた。新人二塁打記録を更新し、3割20本塁打もクリア。新人王こそリーグ2位の37セーブ
防御率0.86を記録した栗林にさらわれたが、新人特別賞を受賞した。また、佐藤や伊藤をはじめ、盗塁王に輝いた中野拓夢や2ケタ勝利の伊藤将司(ともに阪神)ら史上最多6選手に特別賞が与えられたのも、“ルーキーの年”を象徴する出来事だった。
3位:侍ジャパンが東京五輪で悲願の金メダル
1984年に野球が五輪正式競技に採用されて以来、金メダルは日本代表の悲願だった。しかも今大会の開催地は東京。稲葉篤紀監督率いる侍ジャパンは、まさに頂点のみが至上命題だった。

ドミニカ共和国との初戦では先行を許したが、土壇場の9回裏に追いつくと、2死満塁で坂本勇人(巨人)がサヨナラタイムリーを放って劇的なサヨナラ勝ち。アメリカ戦では田中将大(楽天)が打ち込まれて一時窮地に陥るも、延長10回に甲斐拓也の一打でふたたびサヨナラ。負けなしで迎えた決勝はまたもアメリカとの対決だったが、今度は5投手の完封リレーで強敵を下して金メダルを手にした。

大会MVPには全5試合に出場して7安打7打点の山田哲人(ヤクルト)が選ばれ、山本由伸(オリックス)、甲斐、坂本もベストナインに名を連ねた。

4位:中田翔が不祥事で巨人へ電撃移籍
8月11日、日本ハムの生え抜き主砲だった中田翔が突如出場停止処分を受けた。4日のエキシビションマッチDeNA戦の最中に、チームメイトへ暴力を振るったためだ。16日になって栗山英樹監督(当時)が年内の一軍復帰を否定した上、「このチームでは難しい」と退団を示唆。その4日後に無償トレードで巨人への電撃移籍が発表された。

同日、日本ハムではなく巨人の球団事務所で“謝罪会見”を行った中田は、即座に出場停止処分が解除。たった9日間で禊が済んだかのような処置には批判もあった。復帰2戦目となる22日のDeNA戦では5番・一塁でスタメン出場して本塁打も放ったが、見せ場はそこまで。結局、移籍後は34試合で打率.154、3本塁打とほとんど貢献できなかった。
5位:東北にマー君帰る! しかし「ムエンゴ」に泣く
昨オフ、史上最高額となる年俸9億円でヤンキースから楽天へ復帰した田中将大。渡米前年の13年には24勝0敗、防御率1.27の歴史的快投で球団初の日本一をもたらした右腕の帰還に東北のファンは沸いたが、終わってみれば4勝9敗とまさかの結果に終わった。

だが、この成績は田中の責任ではない。13年には1試合平均6点以上もあった打線の援護が、今季はわずか2点そこそこと不運だったのが原因。防御率3.01はリーグ5位、QS率73.9%は3位タイと安定感は健在で、12月には残留を表明してまたもファンを喜ばせた。

▼その他の主なニュース
西武ひと筋20年の栗山巧が通算2000安打を達成したことも大きなニュースだった。9月4日楽天戦の9回、元チームメイトの牧田和久が投じた外角のカーブにうまく合わせ、レフト前へと落とす渋い一打で快挙達成。球団の生え抜きでは初の偉業だった。

その一方で悲劇もあった。8月3日、中日の投手だった木下雄介が急逝。7月6日の練習中に息苦しさを訴えて突然倒れ、愛知県内の病院で賢明な治療が続けられたが、意識が戻らないまま1ヵ月後に亡くなった。4月にトミー・ジョン手術を受けたばかりで、復帰を心待ちにしていたチームメイトやファンの悲しみは大きく、9月5日のDeNA戦では追悼試合も行われた。

スキャンダルでは、ある意味中田以上の存在感を発揮したのが元ロッテの清田育宏だ。年明け早々に週刊誌で不倫が報じられ、「部外者との会食禁止」の規則を破ったことが発覚して謹慎処分に。4月末にいったん処分が解除されたものの、5月にふたたび不倫デートをすっぱ抜かれてついに契約解除。その後はG.G.佐藤の支援を受けてNPB復帰を目指していたが、11月に「解雇権の濫用」で突如ロッテへの訴訟を提起。現在も係争中だ。

構成●SLUGGER編集部

【日本シリーズPHOTO】20年ぶりの日本一!燕戦士“歓喜の瞬間”を厳選ショットで振り返り!

関連記事