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鎌田大地が加入の名門ラツィオとは?カギ握る起用法を検証。期待される“先駆者”中田英寿に続くスクデット獲得

写真:鎌田大地(提供:なかしまだいすけ/アフロ)

今夏、6シーズン在籍したドイツ・ブンデスリーガ1部のフランクフルトを退団し、去就が注目されていた日本代表MF鎌田大地。ミラン、レアル・ソシエダなどさまざまなクラブが移籍先の候補に挙がったなか、4日にラツィオへの加入が正式に発表された。今回は鎌田が迎い入れられたイタリアの名門について紹介するとともに、想定される起用法や歴代日本人MFのセリエAでの挑戦についても振り返っていきたい。(文・井本佳孝)

1990年代に名手が多く在籍

ラツィオは1900年に創設されたクラブで、ローマを本拠地とする。ASローマとは同じスタディオ・オリンピコをホームスタジアムとしており、この両者が戦う“デルビー・デッラ・カピターレ(ローマ・ダービー)”はイタリア・セリエAでも屈指の注目度を誇る。この2チームに加え、ユベントス、ミラン、インテルの“3強”、さらにパルマ、フィオレンティーナ(またはナポリ)も加えた7クラブは「セブンシスターズ」と呼ばれ、上位を争うクラブとして名を刻んできた。

ラツィオにはセリエAが“全盛期”と呼ばれた1990年代にスター選手が多く在籍し、1992-93、1993-94、1995-96シーズン と3度のセリエA得点王に輝いたFWジョゼッペ・シニョーリ、現在はイタリア代表の監督を務めるFWロベルト・マンチーニ、DFながらフリーキックでハットトリックを決めた伝説を持つDFシニシャ・ミハイロビッチらがプレー。ファン・セバスティアン・ベロンに代表されるアルゼンチン人の名手も多く所属してきた。

チームの実績は1973-74年に優勝。さらに、ユベントス、ミラン、インテルなどスクデットを争うライバルが多く競争力の高かった1999-00シーズンにもセリエAを制覇した。その後、2000年代に入ると財政難による主力の放出や、“カルチョ・スキャンダル”としてイタリア中を騒がせた不正疑惑にも関与。2桁順位が続き低迷した時期も経て、近年は再びカップ戦出場権や優勝を争うクラブに。2022-23シーズンはナポリに続く2位に入り、欧州チャンピオンズ・リーグ出場を決めている。

セルビア代表MFの穴埋め役として期待

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鎌田大地(Photo by Masashi Hara/Getty Images)

そんなラツィオに加入した鎌田だが、気になるのはこのチームでの起用法。クラブは2015年から在籍し、中盤の中心選手に君臨してきたセルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチを今夏サウジアラビアのアル・ヒラルへ放出。鎌田はインサイドハーフとして、このセルビア代表MFの穴埋め役としての役割が期待される。フランクフルトでは最終年にボランチとしてレギュラーを張っており、日本代表でも経験したこのポジションは問題なくこなせるだろう。

ラツィオを率いるのはマウリツィオ・サッリで、これまでナポリやチェルシー、ユベントスといった名門を渡り歩いてきた戦術家。64歳のイタリア人指揮官の代名詞が“サッリ・ボール”と呼ばれるポゼッションサッカーで、ナポリ時代には世界一美しいサッカーと称賛を浴びた。ボールを保持しながら縦横への揺さぶりや緩急でスペースを生み出し、相手ゴールへと一気に迫っていくこのスタイルへの理解と適応が鎌田にはまず求められてくるはずだ。

監督への適応に加えて、鎌田にはチームメイトとの新たな関係性構築も新天地での活躍に向けてはカギを握ってくる。中盤でコンビを組むことが予想されるスペイン人のルイス・アルベルトはチームの背番号10を背負う存在で、リーグ屈指のテクニシャンと鎌田による新たなラツィオのMF陣は注目。さらに、前線には4度のセリエAに輝いたイタリア代表FWチーロ・インモービレが控える。鎌田が大黒柱であるこの大エースへどれだけ決定的なチャンスを演出できるかは期待される。

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