【日本女子代表】“須賀ジャパン”初の国際大会はタイ代表を破って優勝

9月9日、女子フットサルの国際大会「NSDF Women’s Futsal Championship 2023」の決勝戦が行われ、日本女子代表とタイ女子代表が対戦した。今大会、ここまでの3試合で圧勝劇を演じてきた日本は初めて先制を許す立ち上がりとなったが、第1ピリオドのうちに同点に追いつくと、その後は落ち着いて試合を進めて5-2で勝利を収めた。女子代表チームにとって5年ぶりとなる国際大会の出場ながら、須賀雄大監督の下で強化を重ねた成果を示し、見事に優勝を果たして大会を締めくくった。

メンバーの多くが初の国際大会でも慌てず逆転

9月3日から9日の7日間で開催された「NSDF Women’s Futsal Championship 2023」は、日本、タイ、中国、バーレーン、インドネシア、キャピタル・フットサル(オーストラリア首都選抜)の6チームによる国際大会。ホスト国であるタイの首都バンコクから北東へ約259キロメートルのナコーンラーチャシーマーの会場「ターミナル21ホール」で行われた。

3チームずつに分かれたグループステージでグループBに入った日本は、初戦でインドネシアに8-0、第2戦で中国に8-0といずれも完封勝利を収め、グループを首位で突破。続く準決勝のバーレーン戦も9-1で危なげなく勝利し決勝へと駒を進めた。

一方、ホスト国のタイは、初戦でキャピタル・フットサルを3-0で破ると、続くバーレーンには2-0と、こちらも無失点でグループを首位で突破。準決勝は中国に2-0で勝利し、3試合で失点を許すことなく決勝へと勝ち上がってきた。

迎えた決勝、序盤はホスト国の勢いが上回っていた。日本は立ち上がりから決定的な場面をつくられたものの、守護神・井上ねねの好セーブでピンチを凌ぐ。しかし7分、相手陣内でボールを失うと、カウンターのピンチを今度は防ぐことができずに失点。今大会、4試合目にして初めて相手に先制を許す展開となった。

1点を追う日本は9分、キックインから追野沙羅が左足で枠を狙うも、GKに弾かれる。その後、ゴール前で伊藤沙世が押し込んだ場面でもGKの決死のブロックに阻まれてしまう。さらに14分、左サイドから網城安奈が右足のトーキックによる鋭いシュートを放つと、これは右ポストに当たってゴールならず。日本にとっては嫌な空気が流れ始めていた。

そのムードを打ち破ったのは松本直美だ。15分、宮原ゆかりが右サイドからのカットインを放つと、相手ディフェンスに当たったボールがファーサイドに詰めていた松本のもとへ転がり、これをきっちり流し込む。日本は同点で試合を折り返した。

迎えた第2ピリオド、流れをつかんだのは日本だった。22分、左サイドの伊藤果穂がピヴォの位置に入った筏井りさに預けると、3人目の動きで右から中央へ走り込んだ宮原が落としををもらって左足を一閃。強烈なシュートを右隅に突き刺し、待望の勝ち越し点を挙げた。さらに31分、伊藤果穂のピヴォ当てから、筏井が反転シュートを決めてリードを広げた。

33分に1点を返され3-2と迫られるも、日本に焦りはない。34分、追野のミドルシュートのこぼれ球を江川涼がゴールに流し込むと、35分には、江口未珂がダメ押しの5点目を決め、試合は終盤へ。残り5分を切ったところでタイはパワープレーに踏み切ったが、日本はGK井上を中心にきっちりと守り抜き、最終スコア5-2でタイムアップを迎えた。

女子代表にとって、トーナメント形式の国際大会は2018年に行われたAFC女子フットサル選手権(アジアカップ)以来、約5年ぶりとなる。須賀雄大監督が2021年に就任してからは、2022年にスペイン遠征を行なって以来となる海外での戦いであり、カップをかけた大会は初めてのことだった。今回のメンバーのうち、2018年のアジアカップ出場経験をもつのは江川だけであり、2018年のユースオリンピックの出場メンバーを含めても、その多くが国際経験の少ない選手で構成されていた。

それだけに、若い選手たちが国際舞台を経験できたこと、その大会で優勝できたことは大きな自信となるに違いない。当初、11月に予定されたアジアインドア&マーシャルアーツゲームズは2024年2月に延期となったが、その先のアジアカップや、世界で初めて開催が検討されているというフットサル女子ワールドカップなど、さらなる大舞台へつながる成果を収めた。

なお、大会MVPは江川が受賞し、4試合で5得点を挙げた松本が大会得点女王に輝いた。

■NSDF Women’s Futsal Championship 2023

<最終順位>
優 勝:日本女子代表
準優勝:タイ女子代表
3 位:バーレーン女子代表
4 位:中国女子代表

<大会MVP>
江川涼

<得点女王>
松本直美(5得点)

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