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【日本代表/WEB取材】圧倒的な強さのわけは?木暮賢一郎監督がチームに植え付けた「代表として戦う1試合の重み」

フットサル日本代表の木暮賢一郎監督が、AFCフットサルアジアカップ2022東地区予選の総括を行った。

5月18日の香港戦から4日連続で試合が行われる超過密日程のなか、4連勝で本大会出場を決めた日本代表。4試合で42得点(3失点)、さらには選出された14選手全員がゴールを奪う快挙を達成するなど、東アジアで圧倒的な強さを見せつけた。

最終戦となったチャイニーズ・タイペイ戦の翌日、木暮賢一郎監督がオンライン会見に出席。今大会を振り返って選手たちのパフォーマンスを称えている。

空気感を知ることで代表の底上げに

木暮賢一郎監督(フットサル日本代表)

──過酷な環境での連戦を4連勝で終えて本大会の出場権を獲得しました。東地区予選を終えての感想はいかがでしょうか?

4連戦という通常のFリーグでも体感することのない状況のなか、選手たちはタフに戦ってくれました。サポートしてくれたメディカルスタッフ、コーチングスタッフ、全てのスタッフには感謝の気持ちでいっぱいです。全員の力がなければ勝ち取れなかったと思っています。

──木暮ジャパンの一歩目。東アジアの戦いを勝ち抜く上で、選手たちにどうアプローチしましたか?

常に伝えてきたことは、どんな対戦相手、どんな状況でも代表として戦う1試合には重みがあるということ。そういうかけがえのない時間であることは理解して欲しいと伝えました。

今回は東地区予選でしたが、これがワールドカップの1試合であっても、アジアカップでも、親善試合でも、クラブチームとのトレーニングマッチでも、その1試合はとても重いものです。今大会は4試合とも大差になりました。相手に関係なく、しっかりとやるべきことをやるスタンスであることを示すことができた結果です。

とはいえ、選手たちに口で伝えても伝わらない部分もあります。例えば、フットサルの違いです。普段のFリーグや今回の東地区、アジアカップで戦う東南アジアや中央アジアの国では、それぞれが異なるフットサルをします。W杯で戦うヨーロッパや南米のチームも異なるスタイルです。普段とは違うフットサルを前にして、色々なストレスや戦う難しさを感じる。それは実際に選手が体感しないとわからないものです。

今回でいえば、慣れていない戦い方で、なんとなく攻めるのが難しい、得点差があって勝ってもすっきりしないなどのストレスがあったと思います。そういうものを体験することで、彼らの成長につながる。そういう空気感を知っている選手が増えてくることで、代表チームの底上げになる。試合の後にそういう話もしました。

アジアにおいて、今回のように点差がついても、なんとなくいいプレーができずに、ゴールできなかったとか、そういうストレスはついて回るものです。ただ、どんな相手でもどんな状況下でも、代表チームの誇りを持って戦うことは忘れないで欲しいと伝えました。

──今回は環境面でもかなり厳しい戦いでした。空調がない体育館やレフェリーのレベルも普段と違う。慣れない戸惑いを感じて敗れるリスクもあったと思いますが、それでも大幅に選手を入れ替えていい内容で勝ったのは自信になるのでは?

それは間違いなくFリーグが歴史を築いてきた成果の1つです。リーグ戦だけではなく、育成に力を入れていくクラブが増えたり、代表としてもアンダー世代の活動が始まったり、U18の全国大会が開催されたりと、Fリーグの下部組織だけでなく町クラブでもフットサル選手の育成に力を入れているクラブが増えてきました。

高校や中学のサッカー部の指導者の方たちのなかにも、フットサルに興味を示してくれる方が増えました。フットサルに転向してくる選手を排出してくれている学校もあります。この15年くらい、Fリーグができてから積み重ねてきた効果を証明していると思います。その時にたまたま監督が私だったということ。1つの成果として示せたのは、フットサル界全体での成果です。

──その象徴の1人は原田快選手。初めての国際大会に17歳を選ぶのは勇気がいる。彼の評価は?また怪我や強度など慎重にマネジメントしていたが?

快のように小さい頃からフットサルをメインに取り組んで、将来はフットサル選手になりたいという選手がでてきました。金澤空もU10世代でサッカーとフットサルを両立しながら、最終的にフットサルを選んでいます。

私たち世代は、20歳になってからフットサルを始めて、そこから学んでを繰り返してきました。今はそうではなく、育成年代からフットサルを理解している選手たちが増えています。そこは1つ大きなメリット。ただ単に年齢が若くて、ポテンシャルがあるだけではなく、そのポテンシャルを生かすためのフットサルの理解があるところは大きなメリットです。

また、自分が選手の時も若くして代表に選んでもらって、その当時の監督たちに信頼されて使われて飛躍できました。そういった自身の経験や、クラブを率いた時も若い選手を勇気を持って起用して、彼らの成長を実感してきました。これは監督としての自分のスタイルだと思っています。

ただ、選手にも伝えていますが、A代表は若くてポテンシャルがあるから選ばれる場所ではない。それに値するプレーをリーグ戦で示してくれたら招集する。プレータイムがなければ、どれだけポテンシャルがあっても呼ぶことは難しいと思っている。今から始まるリーグでも若い選手たちはいいトレーニングを積んで、努力して、しっかりとプレータイムを勝ち取って、その中でA代表に値するプレーをして欲しいと思っています。それが選考基準の1つです。

マネジメントについては4連戦で空調がなくて非常に暑いなか、チーム全員の総力戦で勝ち切るためのマネジメントをしました。個人的にFリーグの監督も経験し、この後オーシャンカップが控えていることや、プレシーズン中である背景を理解しています。そのなかで可能な限りマネジメントしたつもりで、うまくできていたかわからないですが、そのマネジメントは念頭にありました。

──GKを含めて、全員がゴールを決めた。1つの偉業。珍しいと思うが。

自分も記憶にないです。U20でコーチを務めたときは、第二GK以外はゴールした記憶はありますが、全員がゴールした記憶はないです。これが偉業かわからないですが、選手たちに攻撃的なフットサルをするというメッセージを発信し続けてきた結果だと思います。多くの選手が初めての国際試合、予選というプレッシャーのかかるなかで、全ての選手がゴールを奪えたというのはよくやってくれたと思います。それを裏付けるのは、色々な方々が努力して日本のフットサル界の歴史を積み重ねてきたからこそだと思っています。

──大会前に日本としてのプライドと試合を大事にするバランスが大事だと言っていたが、その目標は達成できた?

十分に達成できたと思っています。

──帰国するとU19日本代表がオーシャンカップに出場します。大会の展望は?

昨年も出場する予定でしたが、大会がなくなりました。引き続き、歴史のあるカップ戦に育成年代の代表として参加できる環境を作っていただきました。これは関係者やクラブの理解があってこそ。そこに感謝の気持ちを伝えたいです。

展望は、育成年代なので「優勝を目指します」ではないと思っています。オフィシャルの公式戦に出ることで、若い選手は他では得られないような経験ができます。

通常の二泊三日の合宿では、代表のやり方を身につけ、自分の課題を見つけ、同年代の選手から刺激を受けて意識が変わります。しかし今回のコンペティションに参加することは、その合宿以上の学びです。スタッフはベストな方法論を使って、しっかりと大会に臨む準備をします。

どの年代でも言っていますが、最初から学びに行くよりも、本気で臨んでこその学びがある。優勝するためにではなく、1試合目のゲームに勝ちにいく。学びにいくのではなく、目の前の試合に勝ちにいった結果いい学びがある。準備期間は短いですがそのなかでベストを尽くして最初の試合に臨みたいと思います。

今回の代表チームも育成のアンダー世代を経てA代表入りしている選手が増えています。そのメッセージが日本全国のフットサルの若い選手や育成に関わる指導者に伝わるように。

また今回はFリーグの監督たちも大会にいるので、新たな発見を目にしてもらいたい。クラブに残っていれば、クラブの選手としてオーシャンカップに出る可能性があった選手を送り出してもらっています。監督たちが見ていい選手だな、戻ってきたらもっと使いたいなと思ってもらえるように。そういう場にもなると思っています。若い選手が躍動するようなフットサルができたらいいなと思っています。

──9月末のアジアカップ、その前に親善試合が組まれる予定です。

アジアカップは8年間、優勝から遠ざかっています。8年ぶりの優勝が大きな目標だと選手にも伝えました。そこを勝ち取りにいきたいです。

国内での代表戦は久しぶりになると思います。若い選手や国内の試合を経験していない選手にとっては、ホームで大勢のお客さんの前でプレーできるのは、幸せなことです。

その経験から遠ざかっている現状のなか、選ばれた選手はそこでさらに代表への思いを強くしてもらって。また、アジアカップにいく前の壮行試合としてできることも大きなモチベーションになります。自分も選手の時はアジアカップ前の壮行試合で鳥肌が立って、エネルギーをもらって本戦に臨んだ記憶は今でも忘れられない。いいイメージを持っています。アジアカップ優勝に向けていい準備をしたいです。

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