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ゴルフカートの運転で重大事故が発生! 訴訟問題に発展するケースも

ゴルフカートといえどクルマ。運転操作を誤れば重大な事故につながる(撮影:ALBA)

2023年のこの国のゴルフカート普及率は、ほぼ100パーセントになったと言われています。表向きは歩きゴルフオンリーの名門コースでも、高齢など条件次第で乗用カートでゴルフができるケースがほとんど。

30年前の乗用カートの普及率は、10パーセントを越えるかどうかという程度だったことを考えると夢のようです。乗用カートでゴルフができるようになって、オールドゴルファーの寿命が延びたことは書くまでもありません。歩けなくなったらゴルフ引退という時代は終わったのです。また令和のゴルフブームも、“乗用カートで気軽にゴルフができる魅力”が原動力のひとつになったと考えられています。

とはいえ、良いことばかりではないのが現実です。
ゴルフの乗用カートの事故は、日本各地で頻発するようになってきていて、年に1件ぐらいの割合で死亡事故も起きているのです。直近でも2023年8月18日、長野県の“木曽カントリークラブ”で、4人が乗った乗用カートがカート道路から逸れ、斜面で横転する事故が発生しました。後部座席に乗っていた男性が肋骨を骨折する重傷。カートの下敷きになったらしいのですが、5月には別の県でカートの下敷きになった死亡事故も起きていますので、本当に紙一重なのです。また運転ミスによる死亡事故は、ゴルフコースや遺族などとの訴訟までに発展する場合もあり、一般道路での交通事故と何ら変わりはないという認識を持つべきでしょう。

「自分で運転するタイプは危険だけど、リモコンタイプは安全だから大丈夫」と言う人もいますが、リモコンタイプでも事故は起きています。電磁誘導の埋め込まれたカート道で立ち止まったり、横切ったりしたときに、走ってきたカートにぶつかってしまうのです。

実際に、一度ぶつかったことがありますが、ボヨーンという感じで前に飛ばされて、運良くやわらかいラフに飛ばされて転がったため怪我はしませんでしたが、もし、カート道などの硬い地面に飛ばされたら、救急車を呼ぶような怪我になった可能性があるとゾっとしたのです。

リモコンタイプの乗用カートは、人がいたら止まるというセンサーがないのが普通なので注意が必要。止まるように設定されている場所以外は、リモコンで止めなければ走り続けてしまうのです。乗用カートの走行速度はゆっくりに見えますが、重量があるためかなりの破壊力を持っています。

運転するタイプの乗用カートは、酔っ払い運転でカーブを曲がりきれなかったり、アクセルとブレーキを踏み間違えたりする事故が多いようですが、しらふでもほんの少しの油断で大事故になります。特に、全員が乗った状態でホール間を移動中が危険。話に夢中になってよそ見をして、崖から落ちた例もありますし、下り坂で止まれずに、前の組のカートに衝突した例もあります。

高齢者の事故が多く、次に免許を持たない人や未成年が続くそうです。運転に自信がある人が、安全最優先でドライバー役になるように、スタート前にお願いしているゴルフコースもあります。最近ではカート道路のみの走行ではなく、フェアウェイ乗り入れが喜ばれる傾向にあるため事故の危険性はより高まっていると肝に銘じましょう。ゴルフのカートといえど同じ車。操作を間違えれば大事故につながります。

ゴルフコースの決まりを守り、安全を意識して慎重に扱えば、乗用カートの事故のほとんどは防ぐことができると言われています。ひと昔前まで、歩きのゴルフがホンモノでカートのゴルフはゴルフにあらず、という啓蒙をしている人たちもいましたが、便利で快適にゴルフができる文明の利器を使わないのはもったいない、という考え方が大多数になり、乗用カートのゴルフのほうが当たり前になりつつあります。

ボールを打つだけがゴルフではなく、カートを上手く使えることも含めて、ゴルフという時代になったのです。運転できない人は、運転できるゴルフ仲間と仲良くする知恵と工夫も必要です。運転できる人は、飛ばしたり無謀な?チャレンジを冒すのはプレーだけで十分なので、カート運転では安全を徹底して仲間を守りましょう。

(取材/文・篠原嗣典)

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