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なぜシャツは襟付きじゃなきゃいけないのか? 女性は襟なしOKなのに男性はNG?

ゴルフプレーではポロシャツなどの襟つきが基本とされるが、最近では襟なしタイプも増えている。Tシャツタイプの襟は判断に迷うところ(撮影:ALBA)

ゴルフのドレスコードは、ローカルルールです。だから、ゴルフルールを熱心に調べても、ゴルフウェアについて明確に書かれた部分ありません。

2019年のゴルフルールの大改正には驚きました。そして、ゴルファーの順応性の速さにも驚かされました。例えば、旗竿を抜かないでパッティングをするのは違和感があるとか、抜くのと抜かないのでは、どっちが得かとか、議論になっていたのは遙か昔のような気がします。4年半しか経っていないのに、まるで、もう何十年もそうしてきたように、旗竿を抜かないままプレーしています。

ドレスコードも、実は何度も大変革を繰り返して現在に至ります。

着物文化の国と言いながら、この国では、着物を自分だけで着られる人は少数派。しかし、洋服が日常化しただけで、着こなしという部分では、恥ずかしいほど遅れていて、明治の文明開化の頃と、あまり変わっていないという説もあるほど。

ゴルフコースのドレスコードも、欧米のウェアの専門家が、「これはジョークではないか?」と勘違いして笑い出す内容のものが、日本のゴルフ場では正々堂々と採用されています。

ここで欧米の正装について解説すると、男性はやせ我慢の美学を競うもので、女性はその逆、というのが基本。女性は裸に近いような肌を露出するドレスでも、紳士は興奮することなく、動きづらい服装を我慢し、涼しい顔をして社交の場で過ごせることが格好良さなのです。

この伝統があるため、襟が邪魔でも、襟ぐらいはなんでもない、というのがゴルフでも採用されているわけです。ただし、これは男性の場合。女性は自由であって良いのです。作業着を連想させるということで、デニム地のものはダメですが、カワイイと感じた素敵なゴルフウェアを楽しめば良いはずなのです。しかし奇妙なことに、この国のゴルフコースでは、昔の不勉強な慣習を伝統だと信じてしまう愚行を続けているケースが多いのが実情。

最近ではさまざまなメーカーから、いわゆる襟のあるポロシャツタイプとは違う、襟のないシャツ(モックネックやヘンリーネックなど)が発売され、一般ゴルファーにも普及していますが、いまだ襟なしのシャツを推奨しないコースがあるのも事実です。

若い人たちがゴルフを嫌いになるから、ドレスコードを改革しないとダメだ、という声が業界内でも大きいのですが、実際のゴルフコースでは、だらしのない格好をしてたがっているのは、実は一部の中高年の男性ゴルファーだけで、若いゴルファーほど、ゴルフウェアをカチッと着こなしていて、ウェアを楽しむゴルフを謳歌しています。

特に女子ゴルファーは、ゴルフコースだから着ることができるコスプレ感覚で、ゴルフウェアで変身できる面白さもゴルフの魅力だと語っています。今後は、男性ゴルファーでも、襟なしシャツで何の問題なくプレーできるようになっていくはずです。

襟のあるなしだけに関わらず、ドレスコード改革は確実に進んでいます。
ゴルフ業界の重鎮たちや、楽をしたいだけの中高年ゴルファーを置き去りにして、若いゴルファーたちが新しい伝統になるドレスコードを作り出していくことでしょう。安心して、認めるのが残された老兵の唯一の仕事なのです。

(取材/文・篠原嗣典)

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