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第1回リランキングの“生き残り”たち 木下彩は全米へ弾み「待ってろペブルビーチ!」

左から木下彩、鶴岡果恋、東浩子(撮影:米山聡明)

<ニチレイレディス 最終日◇18日◇袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(千葉県)◇6621ヤード・パー72>

今大会終了時点で出場優先順位が入れ替わる第1回のリランキングが実施される。シードを持たない昨年のメルセデス・ランキング51~55位の選手、昨年末のQTを経てツアーに出場していた選手たちにとっては、大きな区切りとなる一戦だった。安定してツアーに出られる目安はリランキング30位以内。ここから順位を落とすごとに出られる試合は限られてくる。

QTランク65位と自力でのツアー出場が厳しい位置から、8試合でリランキング27位に食い込んできたのは鶴岡果恋。今大会は最終日に「68」をマークし、トータル10アンダーの5位タイで大きくポイントを稼いだ。「今大会で15位以内なら次のリランキングはクリアできるかなと計算していたので、それよりも上位で終われて良かったです」と安どの表情を浮かべた。

今季は毎試合、新たな課題を見つけることをテーマにしており、直近の課題は2.5~3メートルのチャンスを確実にものにすることだった。試合がなかった先週はメトロノームを使ってリズムを一定にしながら、ストレートの2.7メートルを徹底的に練習。今大会ではラウンド前後にも、この距離の練習に時間を割いた。「後半の5バーディのうち、4つはこの距離でした。前半は全くパットが入らなかったんですけど、後半は練習の成果が出たと思います」。ここからは毎週、試合に出ながら、常に新たな課題に取り組んでいくこととなる。

一方、QTランク2位の木下彩はリランキング36位にポジションを落としながらも、ツアーに出場できる位置はキープした。今大会はトータル6アンダーの22位タイ。ホールアウト時点で順位は確定していなかったものの、大会前の暫定リランキング40位から順位を上げることは確実になり「『危ね』って感じですよね」と苦笑い。「周りからも言われて、どうしてもリランキングを意識してしまう状況だったけど、目の前のゴルフに集中しようと思ってプレーしていました」とこの1週間を振り返った。

4~5月に7試合連続予選落ちを喫するなど、一時は精神的にも追い詰められたが、その7試合目となった「リゾートトラスト レディス」で1W、アイアン、ウェッジとクラブを替えると、翌週の月曜日に行われた日本地区最終予選で海外メジャー「全米女子オープン」(7月6日~)の出場権を獲得。「あれが自信になっていると思います」とその後の3試合はいずれも予選通過を果たした。

リランキングを乗り越えたことで気持ちも前向きになったようで「試合に出られるとなったら、シードが欲しいですよね」。続けて、初出場の海外メジャーに向けても「まだ本調子ではないけど、今の私って、上手いと思うんですよ。パスポートも取りに行ったし、『待ってろペブルビーチ』(全米女子オープンの開催コース)って感じです(笑)」。ちなみに木下は試合に限らず、海外に行くこと自体が初めてだという。

また、予選会から出場の東浩子は今季レギュラーツアー初戦ながらトータル9アンダーの8位タイに食い込んだ。これにより、QTランク133位からリランキング44位に。試合数は限られるが、レギュラーツアー出場のチャンスは一気に広がった。早速、次戦の「アース・モンダミンカップ」の出場が決まり「全く考えていませんでした。今日、岡山に帰るんですけど、大丈夫ですよね?」とうれしい悲鳴だ。

オフに結婚したことで、ゴルフ以外にもやること、考えることが増えたのが、プラスに働いているとのこと。直近のステップ・アップ・ツアー(下部ツアー)では12位タイと徐々に調子を上げて臨んだ今大会だった。「夫はゴルフ業界とは全く関係がないけど、すごく理解があって、時々アドバイスもくれるんです。100を打つ腕前なんですけどね(笑)」。好成績に舌も滑らか。幸せいっぱいといった様子でのろけた。(文・田中宏治)

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