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“シャフト”で潜在能力を最大限引き出す 新進気鋭のメーカー「Arch(アーチ)」が目指すもの

「Arch」がリリースした最新シリーズが『Natural9』。バカラ最強の手札で“幸運を手繰り寄せる”と言う意味を持つシャフトにはどんな性能が秘められているのか

徹底した性能・精度の追求で“最高のシャフト”をアマチュアゴルファーに届ける

「Arch(アーチ)」と言うメーカーをご存知だろうか? 福岡で生まれた新進気鋭のシャフトメーカーで、ギア情報に敏感なゴルファーの間で大きな話題となっている。名前の由来は、“天高く、いつまでも落ちてこないボール、美しい飛球線”。つまり、大きな弧を描くようにボールを飛ばせるシャフトを目指して、開発・販売を続けているメーカーなのだ。
 
実際、「Arch」シャフトを使用することで、飛距離アップに成功したゴルファーは数多くいると言う。そこにはどんな秘密が隠されているのか。今回は「Arch」を展開する株式会社HopeFulのCEO浅井淳一氏にシャフト作りへのこだわりや製品について直撃してみた。
 

「ゴルフの素晴らしさは、年齢や国籍に関係なく、同じフィールドで楽しめて、勝負もできることです。70代の人が20代の人に普通に勝てるスポーツなんて他にないですよね? そんなことが起こる理由の1つが、ゴルフにおいて道具の役割が非常に大きいスポーツということなんです。つまり、しっかりした性能を持ち、信頼して使える道具があればゴルフをより一層楽しむことができる。そこで重要になるのがシャフトだと考えています」(浅井氏・以下同)

浅井氏がシャフト作りのモットーとしているのが、“特注仕様を当たり前にアマチュアゴルファーに届けること”だ。

「車を例にすると分かりやすいでしょう。一般道を走る車とF1レースに出場する車では、あらゆる面で性能、品質が全然違います。より高速で走れるように細かなチューンナップが施され、安全のために厳格な品質管理がされているのです。「Arch」では、それと同じことをシャフトでもやっているわけです。高品質な素材を使い、設計や製法にとことんこだわることで性能を追求。そして、製品誤差を極限まで減らすために業界トップクラスの厳しい検品を行なっています。そうすることで特注仕様のクォリティに仕上げ、ゴルファーのポテンシャルを発揮できるようにしています」

まず「Arch」シャフトの特徴として、素材・製法への強いこだわりが挙げられる。鋭いしなり戻りを生む高弾性シートを使用することはもちろん、設計や製造工程を工夫することで、その素材の良さを最大限に引き出している。

「高価な素材を使えば必ずしも高性能なシャフトが作れるわけではありません。むしろ、扱いがシビアでデリケートになる分、設計や製造が難しくなりますし、製品誤差も大きくなりやすいのです。「Arch」ではしっかりコストをかけて専用の設備を準備し、1本1本のシャフトを丁寧に、焼きムラが出ないように製造しています。高価な素材を生かす設計のノウハウも持っていますので、高性能かつ均一なシャフトを作ることができるのです」

丁寧にシャフトを作り上げながら、製造後の検品にも余念がない。

「工業製品である以上、必ず狙った性能やスペックに仕上がらないシャフトが出てきます。そこで、何段階にもわたる厳格な検品を行うようにしています。例えばシャフトを手元側で固定し、全方向にしならせて硬度をチェックする工程では、製品のクォリティをチェックすると共に、シャフトが“真っすぐしなる向き”も同時に調べています。この工程をクリアしたら、今度はセンターフレックス計でシャフト中央の硬度をチェックします。これらの工程で独自の審査基準をクリアしたシャフトだけが製品として世に送り出されます。厳しい検品を行うからこそ、自信を持ってお客様に「Arch」シャフトをお勧めできるのです」

そんな品質管理への自信が表れているのが独自のフレックス表記だ。通常、シャフトのフレックスはS(スティフ)やR(レギュラー)と表記されることが多いが、「Arch」では「24」、「25」といった数字で示される。これはシャフトの硬さを示す“振動数”を表したもので、「24」が「240cpm」ということになる。
 
「振動数の誤差が±5あったら、この表記はできないんですよ。理論上、「24」の硬めと「25」の柔らかめが同じ硬さになってしまいますからね。「Arch」では素管と塗装後の2回に分けて検品をしていますので、振動数で10cpm刻みに製品を用意することができています。これだけ細かくフレックスを分ければ、より各個人にフィットしたスペックを選びやすくなりますし、違ったモデルを試す際も比較がしやすくなります」

「もうひとつ、Archの特徴として、どのモデルも手元をあまり硬くしてない事が挙げられます。近年、軽硬や、先調子といった手元の硬いシャフトが多くありますが、その理由は手打ちの人でも当てやすくなるからです。練習器具を例に取ると、今も昔も重く柔らかいものはあっても、軽く硬いものはないですよね?これはスイングを良くするにはしなりが必要だからです。つまり、シャフトも手元でしなりを感じることが必要で、だからこそARCHも手元側をあまり硬くしないわけです。使い続けるうちにどんどん飛ぶようになる、そんなシャフトを目指しています。プロはこの特徴があるから振り心地の良さを感じてもらっていますし、初・中級者の人でも最初は当たらなかったとしても、使いながらスイングが良くなり、飛距離を伸ばしています」

ゴルフにおけるシャフトの重要性を理解し、真摯にモノ作りと向き合ってきたのが「Arch」なのだ。ここまでのこだわりを持つと大量生産を行うことは困難だが、だからこそ高性能で、高品質なシャフトを提供することができているわけだ。

「Arch」を愛用するプロゴルファーが最新モデルをインプレッション

「Arch」では2023年の最新シリーズとして『Natural9』をリリースし、『ROSSO(ロッソ)』と『NERO(ネロ)』という2つのモデルを発売している。この2つの最新モデルはどんな特性を持っているのか、「Arch」シャフトを実際に愛用している奥山ゆうしプロにテストしてもらった。
 

まずは“スピードで飛ばす”がキャッチフレーズの先中調子シャフト『ROSSO』だ。
 
「『ROSSO』は先中調子らしい鋭いしなりが特徴で、インパクト前後にパン!と強烈にヘッドが走ってくれます。重量が41〜54グラム(※フレックスごとに重量が変化)と軽量なこともあって、「TRACKMAN」で計測しても、ヘッドスピードが1〜1.5m/sは上がる印象です。そして、面白いのが何回振っても同じしなり方をしてくれることです」(奥山プロ・以下同)
 
先中調子というと、上手くタイミングが合えば飛ぶが、ボールが散りやすいというイメージがある。奥山プロ自身もそういったイメージを持っていて、今までは先中調子のシャフトは敬遠してきたようだが、『ROSSO』には明らかな違いがあったと言う。
 
「一定の範囲の中でシャフトが動いてくれて、動き過ぎたり、動かな過ぎるということがないのです。毎回同じタイミングでシャフトがしなってくれるので、先中調子でもタイミングが取りやすく、思い切って振っていけます。ヘッドスピードを上げて飛距離を伸ばしながら、球筋も安定するわけです。正直、今までになかった先中調子のイメージが変わるシャフトだと思います」
 

続く『NERO』は“真っすぐ飛ばす”がキャッチフレーズの元調子系シャフト。『ROSSO』とは特性的に対極なモデルになる。

「先ほどの『ROSSO』に比べると、落ち着いた挙動で、曲がりにくさ、方向性を確保できるのが『NERO』です。重量も60〜71グラム(※フレックスごとに変化)と重めになっています。しっかりしつつも適度にシャフトがしなってくれるので、ボールのつかまりも良いですし、フィニッシュまで気持ち良く振り切ることができます。先端がしっかりしていて当たり負けない強さがあるのでパワーのあるゴルファーとの相性は抜群で、振った分だけ飛んでくれるシャフトと言えます。また、挙動が安定しているので手打ちで悩んでいるゴルファーでも曲がりを抑えることができるでしょう」

まさに両極端な特性を持った2つのシャフトだが、共通点も感じたと奥山プロ。
 
「これは「Arch」シャフト全般に言えることですが、スイングしていて“芯”のようなものを感じます。モデルごとの特性に合わせて、シャフトがしっかりしなりつつも、その挙動は一定の幅の中で収まってくれるのです。今までいろいろなシャフトを試してきましたが、ここまで安定したしなり方をするシャフトには出合ったことがありませんでした。「Arch」シャフトは毎回しなるタイミング、量が一定するので思い切って振り抜くことができますので、ヘッドスピードが上がりますし、結果、飛距離も伸びてくれます。私自身、今はレッスン中心の日々で練習やトレーニングがほとんどできていませんが、「Arch」シャフトに替えてから、人生で一番飛んでいます。改めてシャフトの重要性を実感しています」

シャフトはスイングで生み出したパワーをヘッド、そしてボールに伝えるための重要なパーツだ。「Arch」はその役目を十二分に果たしつつ、しなり特性や思い切り振れる安心感によって、スイングも良い方向に導いてくれる。まさにゴルフそのものを変える可能性を持ったシャフトなのだ。

取材協力/ARCH TOKYO

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