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宮本勝昌は父の前でシニア初優勝 目を潤ませ「ちょっとは親孝行できたかな」

家族で記念撮影。左から父・勝雄さんさん、宮本勝昌、妻・朋美さん、長男・翔太郎さん(撮影:米山聡明)

<ファンケルクラシック 最終日◇20日◇裾野カンツリー倶楽部(静岡県)◇6993ヤード・パー72>

最終日、宮本勝昌はトップの細川和彦と2打差でスタート。9番からの3連続バーディで細川をとらえると、その後は一進一退の攻防が続いた。終盤15番のバーディで宮本がリードを奪うと、16番の細川のボギーで2打差、17番のバーディで3打差と突き放し、シニアツアー初優勝を挙げた。

「振り返ると、きょうはパッティングが決まっていたと思います。やはり自分のストロングポイントでもあるミドルパットが決まってくれると、ビッグスコアが出るんだなと思いました」。本人がそう言うように、3番の5メートルを皮切りに、5メートル前後のチャンスを次々と沈めて、8バーディ・1ボギーの「65」。初日に細川がマークした今週のベストスコアを出して、鮮やかに逆転した。

昨年シニアデビューして5試合、今年に入って3試合を戦い、2位2回を含むすべてでトップ10に入るも、勝利には手が届いていなかった。念願のシニア初優勝には「シニアだろうがレギュラーだろうが、アメリカのシニアだろうが、同じ気持ちで臨んではいます。とはいえ、やはりシニアツアーの1勝目は記録的にも残りますし、シニアに限っていえば、自分にとって最初の一歩だと思っているので感慨深いものがあります」と語る。

ウィニングパットを決めた瞬間、地元・静岡のギャラリーから大きな声援と拍手が宮本を包んだ。それに手を挙げて応えると、グリーンの近くで待っていた師匠の芹澤信雄と兄弟子の藤田寛之が出迎えて握手。その後、歓喜のウォーターシャワーを浴びた。レギュラー時代から苦楽をともにしてきた仲間に加え、近くには妻の朋美さん、高校3年生になった長男の翔太郎さん、そして、80歳の父・勝雄さんの姿もあった。

「(優勝した)4年前の中日クラウンズのときもそうだったんですけど、家族がたまたま見に来てくれていた。それこそ、父親の前で優勝できたのはいつ以来なのかな? この暑い中で毎日一生懸命応援してくれていた。ちょっとは親孝行できたのかな」。そう話す宮本の目は少し潤んでいた。

2019年の「中日クラウンズ」でレギュラーツアー12勝目を挙げたときには、妻と子供たちと優勝を分かち合った。それから4年が経ち、再び家族の前で節目の勝利を挙げることができた。家から通い続けた一週間。「いつもとかわらぬ夕食にはなるとは思いますけど」。宮本はそう照れたが、家族で囲むきょうの晩ご飯はきっと特別なものになるだろう。(文・下村耕平)

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