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夏の猛暑の影響でグリーンにダメージも 「パタパタ叩く」グリーン調整の秘密兵器が大活躍

今回のコースセッティングについて説明をした大会ゼネラルプロデューサーの戸張捷氏(右)とコースセッティングコミッティ・チェアマンの山中博史氏(撮影:米山聡明)

<日本オープン 事前情報◇11日◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7315ヤード・パー70>

「日本オープン」開幕前日の11日、大会ゼネラルプロデューサーの戸張捷氏と、コースセッティングコミッティ・チェアマンの山中博史氏が今回のコースセッティングについて説明を行った。

山中氏は「コースはティ、フェアウェイ、ラフ、バンカー、概ね我々が望んでいた状態にはなっているかと思います。ラフもかなり難しくなっている」と今回の仕上がりにも自信を見せる。ただし、この夏の猛暑はグリーンにダメージを与えた。「なんとか試合にいい状態で臨めるようにと懸命に努力をしてきたのですが、残念ながらグリーンは完璧な状態でないことは認めざるを得ません」と悔しさをにじませる。

グリーンはところどころまだら模様で芝の少ないところがあり、転がりが不安定な場所も。この問題は茨木CCだけではなく、全国的に起こっている。

今日の時点で「スピード自体は9フィート強、コンパクションは20くらい」。三甲ゴルフ倶楽部 ジャパンコースで行われた昨年大会の初日は、『スティンプメーターは13フィート、コンパクションは22.5』で硬くて速く仕上がっていたことを考えると、「やわらかくて重たい状態」だと山中氏は語る。特に傷んでいるのは3番、14番、18番ホールで、月曜日の練習日と火曜日のプロアマでは3番と14番のグリーンは使用せず、急ピッチで補修作業が進められた。

あすの開幕に向けて、救世主となりそうなのは、「グリーンを軽くパタパタと叩いて芝を張り替えたところの目地を消すローラー」(戸張氏)。茨木カンツリー倶楽部にはなかった機械だが、今回の事態を受けて、昨年大会が行われた三甲ゴルフ倶楽部と宝塚ゴルフ倶楽部から1台ずつを借りている。

「三甲のグリーンキーパーさんがオペレーターを連れて一緒に来てくれました。昨日かけたところ、8フィートくらいだったスティンプメーターが、9フィートまでスッと上がった」と戸張氏。今日の朝、そして練習ラウンド後にも、芝刈り機とグリーン面をなめらかにするローラーと合わせて3台の機械がグリーン上を動いていた。

そんな努力もあって、「目地でボールが跳ねることがほとんどなくなったので、なんとかなるかなと思います。日本オープンとして耐えるグリーンコンディション、表面の硬さになってきた。明日からよいかたちでできると思います」と戸張氏は語る。今週の天気は安定している予報で、「風もあり、乾燥しているということですので、少しずつ改善していくのではないかと期待している」と山中氏もいう。

選手たちはそんな遅いグリーンに合わせて、「飛ぶパター」に急きょチェンジする選手がいたり、「どのパターでも同じ」と信頼するエースで臨む選手もいる。それでも条件はみんな同じ。グリーンは止まりやすいといっても、距離が長く、ラフが深いセッティングはメジャー仕様。戸張氏は優勝スコアを「1ケタアンダーだろうと思います。2ケタはなかなか。そう簡単にピンをデッドに攻められない」と予想する。やはり総合力の高い選手が日本一の栄冠に輝くのは間違いない。(文・下村耕平)

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