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10代で3勝目の櫻井心那、飛距離よりも強い武器は“毎回同じトップ” 【優勝者のスイング】

飛距離だけでなく、ショートアイアンもツアートップレベルと評される櫻井心那(撮影:GettyImages)

「ゴルフ5レディス」で、今季3勝目を飾った櫻井心那。最終日は1打差を追いかけてスタートすると、決めれば優勝、外せばプレーオフとなる最終ホールのパットを見事に沈め、力強いガッツポーズを見せた。そんな櫻井のスイングを見て「ドライバーからウェッジまで、すべての番手で同じスイングができていて、ショートアイアンはツアートップレベルの上手さがある。今週の「日本女子プロゴルフ選手権」は彼女の地元でのメジャーとあって、期待が高まります」というプロコーチの南秀樹に、われわれも真似したいポイントを解説してもらった。

166センチの長身で、ドライビングディスタンスは250ヤードを超えて現在第4位。ダイナミックなスイングから放たれるロングショットが魅力的だが、優勝を手繰り寄せた18番のセカンドでは、46度のウェッジでピン2メートルに付けた。「スイングを見ると、ドライバーからウェッジまで、どのクラブも同じように振れるのが彼女のスゴさ。クラブの長さが変われば、スイングの大きさや軌道など、多少は変わってしまうものですが、櫻井さんはどれも一緒。シルエットだけ見たら何番を振っているのか分からないくらい。そのポイントは、前傾角がキープされて、頭が動かないこと。これができれば、ドライバーは飛んで曲がらず、ショートアイアンの縦距離も合いやすくなります」。

「頭の位置を変えない」は、ゴルフレッスンでの一丁目一番地。誰もが意識することだが、われわれはそれによってスイングを乱していることも少なくない。「“頭を動かさない”を意識すると、体の動きも止まってしまうのが典型的なアマチュアのミス。体を動かすためには、頭は多少左右に動くもの。意識したいのは上下のブレなんです」。バックスイングで頭が下がれば、ダウンでは伸び上がり、腕が伸びてミートしにくくなってしまう。反対にバックスイングで伸び上がればダウンで沈み込む、元に戻ろうとするのが自然の動き。最初から高さをキープすることを心がけたい。

スイングを撮影したり、誰かと練習する機会があればクラブなどで頭を抑えてもらうのが練習方法だ。その際には、“懐を広くする”イメージを持つようにしたい。「アドレスでできた懐の空間を変えないように、または少し広くするくらいのイメージを持って体を右に回すのがバックスイングです。両手で持った重い荷物を右に移動させる、ゴリラのように前かがみのまま体を回転させる、右の脇腹を伸ばさないように懐を広く保ちましょう」。
クラブの長さが変わってもやることは同じ。手を上げるのではなく、懐を広くして体を回せば毎回同じトップができる。飛ばしよりも大事な“スイングの再現性”が高まるはずだ。

南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属

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