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合格圏外から18位まで急浮上 23歳・政田夢乃が克服した“昨年の悪夢”

合格圏内にジャンプアップした政田夢乃。残り2日間、気を引き締めて戦う(撮影:福田文平)

<JLPGA 最終プロテスト 2日目◇1日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)◇6419ヤード・パー72>

初日を1オーバーの58位タイで終えていた23歳の政田夢乃が、強い風が吹いたコースで見事なカムバック劇を演じた。5バーディ・1ボギーの「68」をマークして、トータルスコアを3アンダーまで伸ばすことに成功。順位も、20位タイに設定されている合格ライン圏内の18位タイまで押し上げた。

裏街道から発奮したかのような快進撃は、残り105ヤードを1メートルにつけバーディを奪ったスタートホールの10番から始まった。なかでも本人が流れを作るうえで「よかった」と振り返ったのは、この日2つ目のバーディとなった14番パー4。ここで8メートルのパットをねじ込んだ。「ショットは昨日の方がよかったけどパターのおかげ」とグリーン上でリズムを作り、リーダーボードを駆け上がった。

初日も序盤の6ホールで3つのバーディを奪う幸先のよい滑り出しだったが、「しょうもないボギーを打った」という7番から、潮目がガラリと変わった。9番では池に入れてダブルボギー。さらに後半も3つボギーが続き、一時は3オーバーまでスコアを崩していた。それでも16番、18番のバーディで2つ戻してのフィニッシュ。それが「きょうにつながりました」と持ち直すきっかけになった。

古江彩佳や西村優菜らと同じ2000年度生まれの“プラチナ世代”は、地元北海道の北海学園札幌高在学時に「全国高等学校ゴルフ選手権」、「北海道ジュニア選手権」を制するなど注目アマのひとりとして活躍。レギュラーツアーで2度のローアマ経験も持つが、2019年から受けてきたプロテストでは結果を出すことができなかった。今年は19年、そして昨年に続く最終テスト進出を果たしただけに、5度目の挑戦でなんとか合格をつかみとりたい。

茨城県の大洗ゴルフ倶楽部で行われた昨年の最終は、3日目を終え14位と合格圏内にいたが、最終日に「78」と失速。2打及ばず涙を飲むことになった。その原因となったのが風。そして苦い経験を糧に、この1年間は風対策も十分に行ってきた。「元々、高い球を打つんですけど低い球を打つように。ティを低くしたり、ボールの位置を調整したり」。ここに1年間の成長の跡もうかがえる。

プロテストを待つ期間は、「マイナビ ネクストヒロインゴルフツアー」で試合勘を養ってきた。「試合数も多くなって2日間の競技も増えた。それがこういう試合に生きていますね」。こんなことも実感できる。先月27日には同ツアーで今季4勝目を挙げたが、それも「少し自信を持ってプレーできている気がします」と力になっている。

初めてプロテストに失敗したのが、今回と同じJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部だっただけに「リベンジ」の思いも強い。課題については、初日にダブルボギー、そして2日目もボギーを叩き「苦手意識がある」という9番の攻略を挙げる。「きょうみたいな感じで、リズムよく回れるのが一番。そこ(9番)をどうにか乗り切りたいです」。困難をひとつひとつ乗り越えながら、この地を歓喜の場所に変えたい。(文・間宮輝憲)

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