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女子ゴルフ界に新星現る! 川崎春花が記録ずくめのツアー初V【日本女子プロ22年振り返り】

昨年大会は川崎春花がサンデーバックナインの猛チャージで優勝(撮影:GettyImages)

<日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 事前情報◇5日◇パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(長崎県)◇6755ヤード・パー72>
 
川崎春花が一躍注目を浴びたのは、ちょうど一年前の今大会だった。首位と4打差で迎えた最終日、8番パー4でのショットイン・イーグルを皮切りに、サンデーバックナインに入るとは4連続を含む6バーディを量産。首位だった山下美夢有を鮮やかに抜き去り、メジャーでツアー初優勝を達成した。

高校を卒業した年にルーキーとしてツアー参戦を果たした昨シーズン、前半は決して順調ではなかった。腰痛に悩まされ、日本女子プロ前の8月に出場したレギュラー3試合はすべて予選落ち。「思い描いたようなゴルフができなくて苦しかった」。
 
それが8月最後のステップ・アップ・ツアー、「山陰ご縁むす美レディース」の初優勝を機に好転する。「ステップで優勝する前までは逃げるようなゴルフをしていて、ステップで変えてからは良くなりました」と、攻めの姿勢を獲り戻して、地元・京都開催のメジャーに乗り込んできた。
 
「気持ち的には緊張もなく、いつもどおり頑張ろうという気持ちでやっていました」。予選ラウンドでは連日の「69」を並べ、トップと3打差のトータル6アンダー・8位タイと好位置で決勝ラウンドに進んだ。それでも首位には山下が君臨しており、ルーキーの19歳が優勝すると考える人は少なかった。
 
3日目は3バーディ・1ボギーの「70」で、首位・山下との差は4打となった。2位以下には森田遥、三ヶ島かな、ささきしょうこといったツアー優勝経験者がひしめく。そんな状況で運命の最終日を迎えることになる。
 
自宅からの通勤で川崎の背には4日間、地元の大声援が送られた。逆転にはビッグスコアが必要だったが、前半はしのぎながら7番ホールまではパーを並べる。「ぜんぜん優勝とか考えていなくて、とにかく自分ができる精一杯をしようという感じでした」。8番パー4でようやくスコアが動く。「若干ダフりました(笑)」というセカンドショットは、カップ右手前に着弾して、コロコロ転がって直接カップイン。起死回生のイーグルを奪った。
 
すると後半はバーディが止まらなくなる。残り7ホールから実に6つのバーディを奪い、「64」でホールアウト。「緊張というよりも、目の前の一打に一生懸命で、必死でした」。スコアを守ることなく最後まで攻めの姿勢を貫いた。結局、川崎のトータル16アンダーを誰も届くことはなく、その少しあとには、両親とともに優勝カップを掲げていた。
 
優勝会見では「信じられないですし、実感も湧いていないです」と笑顔で答え、女子プロゴルファー日本一のタイトルとツアー初優勝を手にしても、19歳に涙ははかった。
 
そんな本人の気持ちとは反対に様々な記録を達成した。女子プロゴルフ選手権では史上最年少の19歳133日での優勝、しかも史上5人目の大会初出場初優勝、畑岡奈紗に次ぐ10代でのメジャー優勝、2004年から始まった予選会通過者から初めての優勝、史上3人目の同一年にステップとレギュラー優勝などなど。さらに、毎年会場がかわる今大会で地元出身の選手が優勝するのも史上初めてのことだった。
 
そして川崎は、翌10月の「マスターズGCレディース」で早くもツアー2勝目を達成し、メジャー優勝がまぐれでないことをしっかり証明してみせた。

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