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「覚悟を持って」金谷拓実は来年、欧州ツアーで2年前のリベンジへ 短いオフは「練習あるのみ(笑)」

金谷拓実は久常涼と星野陸也に刺激を受けながら欧州ツアーへ(撮影:鈴木祥)

シーズン終盤まで中島啓太と抜きつ抜かれつの賞金王争いを繰り広げた金谷拓実。最終戦で優勝した蝉川泰果に2位の座も奪われ3位となったが、「いいシーズンだったと思います」と振り返る。

海外ツアーに腰をすえて戦った昨年、金谷は自信を失い、メンタルはどん底な状態だった。米ツアーではマッチプレーでベスト16に進出したものの、メジャー3試合を含む7試合で予選落ち。メジャーとWGCを除くDPワールド(欧州)ツアーでも、7試合で予選通過は1度だけだった。
 
「結果が伴わないので、右のバンカーに行ったらどうしようとか、左の池に行ったらどうしようとか、曲がることが怖くて自信を持ってティショットを打つことができなかった。賞金をもらえないと不安になることも多かったし、プロになって少し怖い部分も感じていた」
 
転機となったのは今年2月のアジアンツアー「インターナショナルシリーズ・オマーン」での優勝。ホアキン・ニーマン(チリ)やセルヒオ・ガルシア(スペイン)も出場したフィールドで結果を残したことで、「2月にアジアンツアーで優勝できて、そこで自信も生まれたと思う」という。日本ツアーでは、6月の国内メジャー「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」に優勝すると、9月の「フジサンケイクラシック」にも勝ち、シーズン2勝を挙げた。
 
ルーキーだった2020-21年シーズンに賞金ランキング2位。『平均ストローク』、『パーキープ率』で1位となり、飛んで曲がらないティショットの指標となる『トータルドライビング』で2位となった。海外を飛び回った22年シーズンは、出場6試合で賞金ランキングは29位、無冠に終わったが、今年は賞金ランキング3位に入り、2度目の『パーキープ率賞』を獲得。2002年に谷口徹が作ったツアー記録「90.060%」を更新する「90.863%」で、ボギーを打たない金谷が戻ってきた。低い球を多用するようになり、『トータルドライビング賞』も受賞した。
 
賞金ランキング3位に入ったことで、2023-24年シーズンの欧州ツアーの出場権を得た。とはいえ、賞金王の中島に比べると出場優先順位は低く、出られる試合は限られる。試合によってはウェイティングで現地に滞在し、結果出られないことも予想される。「この2年間、なかなかチャンスを掴むことができなかった。そこは腹をすえて、しっかり覚悟を持って掴みたいなと思います」。たとえウェイティングで出場できなくても、2年前は跳ね返された欧州ツアーを軸に戦っていく。

今年は欧州ツアーを主戦場に戦っていた久常涼が、9月の「カズー・フランスオープン」で優勝し、ポイントレース上位10人の資格(すでにツアーカードを保持している者を除く)で、24年シーズンの米PGAツアーの出場権を獲得。さらに、2週前、先週とオーストラリアで行われた欧州ツアー2連戦で、星野陸也が2週連続で2位に入り、優勝まであと一歩まで迫っている。金谷が目指す米ツアーへの具体的な道筋が示された。
 
「久常選手の活躍だったり、オーストラリア2連戦の星野選手の活躍だったり、本当にみんなやる気になっていると思う。上を目指して戦っている選手が結果を残して、いろんな選手を巻き込んで、上に目指していくというのは、いいサイクルなんじゃないかと思います」
 
早ければ年明け1月の中東シリーズから金谷は欧州ツアーに参戦する。そう考えると、オフは1カ月ほどしかない。その間にやりたいことを聞くと、「練習あるのみ(笑)」と即答。国内男子ツアーは前週の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」をもって全日程を終了し、きのう表彰式を終えたばかりだが、金谷の新シーズンはすでに始まっている。(文・下村耕平)

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