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海外挑戦へ追い風となるメジャー優勝の3年シード 気になる吉田優利の将来設計

吉田優利はいつ海外に行く?(撮影:米山聡明)

<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 最終日◇7日◇茨城ゴルフ倶楽部 西コース(茨城県)◇6780ヤード・パー72>

国内メジャーで2年ぶりとなるツアー3勝目を挙げた吉田優利。歴代優勝者の顔ぶれを見ると、2019年の渋野日向子、21年の西村優菜、22年の山下美夢有と、今大会優勝を機に飛躍を遂げた選手ばかり。

渋野はツアー初優勝となった19年大会のあと、同年の「全英AIG女子オープン」で優勝。昨年から米女子ツアーに主戦場を移している。西村は2020-21年シーズンに4勝を挙げて、メルセデス・ランキング4位。22年シーズンは2勝で同ランキング5位に入り、渋野と同様に今年から米国に渡った。そして山下は、昨年大会優勝を皮切りに、22年シーズンは5勝を挙げて年間女王に輝いた。将来は海外挑戦も視野に入れている。

メジャー優勝者には3年間の複数年シードが与えられるため、海外に挑戦しやすくなる側面もある。しかも何年から行使するかは選手の自由。米国から撤退したあと3年間は日本でのプレーが保証される。では、吉田は将来のプランをどう考えているのか。

昨年は5度の2位に入りながら未勝利に終わり、「優勝」を一番の目標にしてきた。次の目標を聞かれると「年間3勝以上できるように、まだシーズン長いので頑張っていきたいと思います」と、まずは国内での試合に重点を置く。続けて世界進出に対しては「これから考えようかと思います。自分の権利を考えるなかで、どうするべきかをこれから先、判断していきたい」と言うにとどめた。アマチュア時代、JGAナショナルチームでともにプレーした同い年の古江彩佳と西村は米ツアーで戦っていることから、きっと意識はしているに違いない。

優勝会見ではこんなことも言っている。「どれだけゴルフをできるかとか、第一線で活躍し続けるとか、考えることがいっぱいあって、まだ自分は23歳で何歳までゴルフをするかというプランはなかなか明白にできない。だからいま自分にできることをしっかりやりたいと思いますし、成長し続けるために、いまの場所に居続けないといけない」。国内ツアーで結果を残し、さらなる成長を求めたときに海外に目が向くのは時間の問題かもしれない。

吉田は5月3日時点での世界ランキング上位75名の資格で、7月にペブルビーチ・ゴルフリンクスで行われる「全米女子オープン」出場を決めた。ペブルビーチは米国男子ツアー「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」の舞台で、過去には6度「全米オープン」が行われた名門コースだ。

「私が最後に全米女子オープンに行ったのが4年前で、そのときはケガをしていてゴルフがまともにできる状態ではなかった。そのときに4年後のペブルビーチに出たいなと思っていました。4年越しで達成できたのはすごくうれしいこと。みんなが行ってみたいと思うコースで実際に自分がプレーできるのは本当に楽しみ」

19年の全米女子オープンでは予選落ちに終わり、しっかり先を見据えて真摯にゴルフに取り組んできた。ゴルフでは目の前の一打に集中しつつ、長いスパンで俯瞰(ふかん)して見ているところもある。それは「シーズンを通した上で、自分のピークの持っていき方だったりとか、広い視野で自分のゴルフを見ている」ことや、「18ホールでプランを立てている自分もいるので、ここで絶対に獲らないと負けるというのはなかった」という発言にも表れている。

きのうの時点で海外挑戦を明言しなかったが、吉田が選手としてピークを迎えたときに、どこで過ごすのかは考えているはず。全米女子オープンに出場したとき、何を語るのかも気になるところだ。(文・下村耕平)

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