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アウェーの洗礼、女子選手とルームシェア…過酷なスペイン卓球武者修行で北陸大2選手が得たこととは?

スペイン3部の過酷な環境で戦った信田旺介

――信田選手は別のチームだったんですよね?
信田旺介:ヘレスというスペインの端っこに行っていました。環境は工藤とは全然違いましたね。
――どう違ったんですか?
信田旺介:工藤は2部で自分は3部のチームでした。

練習は夕方の5時から10時まででしたが、基本相手は小学生か大学生くらいの女子選手で、大人の男子選手と打てるのは2週間に1回ぐらいでした。

――もっとスペイン人のプロ選手とがっつりやる感じなのかと思っていました(笑)。
信田旺介:チームメートも普段は仕事をしていて、なかなか練習に来れないので仕方なかったです。

アウェーの洗礼を浴びた工藤、3部で全勝の信田

――試合の成績自体はどうだったんですか?
工藤大全:いやぁ~(笑)。
信田旺介:僕は3部で16勝0敗でした(笑)。
工藤大全:2部で8勝4敗です…。

ホーム戦では上手く戦えたんですけど、アウェーの試合では煽られたりブーイングされたりで結構メンタルを揺さぶられて、試合に上手く集中できず負けてしまいました。

――学生の大会ではそこまでの応援はないですもんね。

3部も一緒のような雰囲気ですか?

信田旺介:ブーイングはなかったですね。

7割くらいがホーム戦で、3部だったのでお客さんも6、7人とかでした(笑)。

――海外リーグは移動も大変と聞きますが。
信田旺介:監督が運転する車で2~3時間かけて会場に行ってましたね。

ちなみに会場も基本全部雨漏りしていました。なかなか過酷な環境でした。

写真:現地のトーナメントで優勝した信田旺介/提供:北陸大学卓球部
写真:現地のトーナメントで優勝した信田旺介/提供:北陸大学卓球部

信田旺介:現地で出た個人戦の大会でも体育館が小さく光が差し込んでいて、日本とは違った環境でした。

スペインの大会で優勝して名を残す事を目標にし、環境を言い訳にすることなく集中して試合ができ、無事そちらでも優勝することができました。

食事に苦しむも観光は満喫

――2か月程度過ごすとなると、卓球以外の時間も多くあったと思います。どう過ごしてましたか?
工藤大全:クラブのマネージャーの友達の家にホームステイをしてました。

その人が 元々テコンドーのオリンピックで2位になった人らしくて、メダリストでした。

最初に行ったとき「そのだらしない体では卓球はできない」と言われて、かなり食事制限されました(笑)。朝は基本フルーツ、昼夜はチキンと炭水化物でした。

――それはそれできついですね。
工藤大全:その人の作るご飯があんまり僕の口に合わなくて。 日本帰ってきたら5キロくらい痩せてました(笑)。

家以外のレストランの食事はすごく美味しかったんですが…(笑)。

レストラン
写真:レストランのおいしそうな食事/提供:北陸大学卓球部

――外食も少しは行けたようで良かったです(笑)。
工藤大全:外食や観光もよく行きました。

中央大に入った髙橋慶太(育英高出身)が同じくスペインリーグに参戦していて、3日くらい僕のホームステイ先に泊まりに来て、一緒にサクラダファミリア観に行ったり、日本食一緒に食べに行ったりしました。

写真:サクラダファミリアも観光/撮影:工藤大全
写真:サクラダファミリアも観光/撮影:工藤大全

――家の食事以外は満喫された感じですね。
工藤大全:そうですね、満足でした。

写真:サッカーのバルセロナ戦もクラブメンバーで観戦したとのこと/提供:北陸大学卓球部
写真:サッカーのバルセロナ戦もクラブメンバーで観戦したとのこと/提供:北陸大学卓球部

女子選手2人とルームシェア

――信田選手はどうだったんですか?
信田旺介:まず家は19歳の女性のスペイン選手と17歳の女性のカザフスタン選手と3人でルームシェアしてました。

写真:奥2人が同居人とのこと/提供:北陸大学卓球部
写真:奥2人が同居人とのこと/提供:北陸大学卓球部

――さっきから環境が全然工藤選手と違いますね(笑)。
信田旺介:正直めちゃくちゃ暮らしにくかったです。

1人1部屋はあったんですけど、リビングやキッチンだけではなく、お風呂も共用なので時間を決めてきちんと管理してました。

――どういう風に普段過ごすんですか?
信田旺介:基本英語で会話して、3人で交代で自炊したり、リビングで映画見ながらご飯食べたりしてました。

ご飯のときは「この次どうなると思う?」など映画の感想を話して、普通の友達と過ごすような感じでしたね。

写真:持ち前のコミュニケーション力でしっかり馴染んだようです/提供:北陸大学卓球部
写真:持ち前のコミュニケーション力でしっかり馴染んだようです/提供:北陸大学卓球部

海外で得た物怖じしない心と挑戦するマインド

――お二人は様々な経験をして、多少のことでは物怖じしなくなってそうですね。
工藤大全:まず卓球は、海外のボールの質やスピード、変化などを経験して対応力が上がったと思います。

最初は「日本でも無名の自分が…」と少し弱気で4敗してしまったので、練習もめちゃくちゃ多球練習しましたし、最後の方は自信を持って戦えました。

――自信を得られたのは大きいですね。

信田選手はどうですか?

信田旺介:メンタルが鍛えられたとは思います。

海外は何もわからないことだらけで、自分から行動を起こさないといけない。何かに挑戦するっていうマインドは、日本に帰ってきても身についたなと感じてます。

――スペインではどういう行動を起こしたんですか?
信田旺介:チームから「日本人の練習はどんな感じなの?」という話がよく出てました。

そこでコーチや監督に「明日、ストレッチ、練習メニュー、卓球の技術、考え方など日本のことをすべて伝えるから1日コーチやらせてくれ」と言って、1日練習仕切りましたね。

スペイン語と英語で指示出して。

――指導者みたいになったんですね(笑)。
信田旺介:一応試合全勝だったので、「教えてくれ、教えてくれ」と途中から崇められてました(笑)。
――さすがです(笑)。

この経験を糧に今後の抱負もお願いします。

工藤大全:スペインでの2か月の生活や外国語でのコミュニケーションの経験は、今後も活きてくると思いますし、卓球としても幅が広がりました。

僕はまだ北信越で個人タイトルとってないので、そこを目指して、全日学にも出場して、全国の名の売れている選手に勝って名前を売っていきたいです。

信田旺介:チームとしてはインカレ8を目指しています。自分から行動するという意識で日本でも成長できると思うので、コツコツ努力していきます。

個人としては、全国で3回は勝ちたいです。マグレじゃなくて実力がないといけないと思うので。そうすれば今までやってきたことは間違ってなかったんだと自信を持てると思います。

取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)

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