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コロナ禍で新規スポンサーが3倍増。アルビレックス新潟を支えるデータの力

コロナ禍での営業を助けたあるデータ

ー様々な業種に対して多様な提案をしている中、2020年からのコロナ禍において影響はあったのでしょうか。

野崎:コロナの影響はそこまで受けていないんです。新規顧客の数でいうと、2018年が4社、2019年が5社、2020年が14社。今年2021年は現時点で10社です。先に話した3つの部分を意識しはじめたり、とにかく電話をかけまくるという営業スタイルをとったりして、良い方向に動き出しました。

昨春にリーグ戦が止まって、試合ができない時期がありました。各クラブが代替となるスポンサー向けの施策に困っていて、Jリーグでも会議をしてアイデアを出し合っていたんです。結果として、アクティベーションの種類や、オンラインの施策の種類がだいぶ増えてきました。この期間を経て、より柔軟なアイデアが出せるようになりました。新規の数が増えた要因のひとつだと思います。

ー実際の商談における“術”に変化もあったのかなと。

野崎:これまでは「新潟のサポーターはロイヤリティが高く、パートナー企業に対してのロイヤリティも高い」という抽象的な言葉を使って企業を惹き付けようとしていたのですが、数字的根拠が足りないという課題がありました。企業の認知がどれくらい上がった、売上にどう直結したかという部分を数字で出さなければいけない、と。

そんな中、ニールセンスポーツさんのインパクト調査というものに出会い、2020年から取り扱い始めました。以前から活用していたメディア露出価値と併用することで、説得力が増しました。スポンサーになっていただくことで売上や企業認知、企業イメージなどにどれほどの効果を与えるかも数字で示せるんです。この資料があるかないかで全く違います。特に経営者の方は数字が大好きなので資料を渡すとずっと見ていましたね。

アルビファンの9割が、プロスポーツの発展にパートナーが必要だと考えている

<資料提供:ニールセンスポーツジャパン株式会社>

多くのファンが試合観戦やニュースのチェックをしており、パートナー活動が浸透しやすい。

パートナー商品への購買意欲も高い

<資料提供:ニールセンスポーツジャパン株式会社>

ーこういった数字があると、説得力がだいぶ高まりますよね。

野崎:今までは費用対効果の説明が曖昧なところがありましたが、インパクト調査の数字を根拠に説明できるようになってからは、経営者の方の納得感も違いますし、経営者ではない担当部署の方としても数字が明確なので上に話を持っていきやすいですよね。

ー認知度の拡大というところだと、スタジアムの命名権を持っている**デンカさんはまさに知らなかった企業でした。**

野崎:デンカさんはゴムの素材や、半導体向けの製品、インフルエンザのワクチンやコロナの検査キットの製造など、様々な事業をやられている企業です。デンカさんと共にユニフォームパートナーになっていただいているナミックスさんもBtoB企業なので、BtoC企業と比べるとまだ知らない方もいらっしゃると思います。そういったところは、僕たちと相性はいいんじゃないかと思います。

株式会社越後薬草さんのデータでは、コアファンにおいて95%の認知を獲得

<資料提供:ニールセンスポーツジャパン株式会社>

ーこういった資料があるとスポンサー営業の形も変わりますね。

野崎:これまでは「新潟のスポーツや子どもたちのために」と訴えかけていました。もちろんそれは重要なのですが、これを土台にしながら、数字や事業への貢献している事例を見せないといけないかなと。昨今の情勢下で多くの企業が広告費を削っている中で生きてく上には、ニールセンスポーツさんのデータは必要不可欠ですね。

ー最後に、新潟という地方ならではの特徴や、今後の展開について教えていただけますでしょうか。

野崎:県内での情報伝達が早いことはパートナーの知名度拡大に寄与しているかなと思います。新潟県民の皆さん、パートナー企業の皆さんは新潟日報さんを読まれているのですが、新潟日報さんで取り上げていただき県内に情報が広がっていく流れがあります。

NEXT MEATSさんと契約を結んだ際は、どのパートナー企業に挨拶へ行っても「新規パートナーの記事を見たよ、良かったね」と言われ、新規営業の訪問をした際も「この前新聞で見たよ」と言われたほど。ここでは情報の伝達が速いんです。

東京では多くの情報で埋もれてしまうものが、新潟ではそうはならない。それは強みかなと思います。また、横の繋がりも非常に強いです。様々なところに顔を出す中で、紹介を通じて新たなパートナー候補となり得る企業さんにお話しにいくことができます。スタートアップ系の企業さんで新たに進行中の話もあります。

我々としてもスタートアップ系の企業さんを多く巻き込みたいという思いがあり、創業5年以内の企業さんには特別プランを作っています。

こうやって企業との連携を深めて新たな価値を生み出していければ、新潟自体のイメージも変えていけるかなと。今年の初めに、サポーターの方が「アルビレックスが若手の経営者や企業を繋ぐハブになっている」とツイートしているのを見ました。まさに、そういうクラブになりたいですね。昔は観客動員数がありましたけど、今はそこで勝負ができない。

だからこそ、これからは県外の企業などにも「新潟に繋がりは全くないけど、アルビと取組んだら面白そうだな、新潟盛り上がっているな」と思ってもらいたいですし、パートナーを増やししっかりとパートナーへ価値を返すことが我々の価値向上にも繋がるのではないかと思います。

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