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ジョコビッチが複雑な状況の中で声を挙げた選手に感謝「キリオスは私を驚かせた」<SMASH>

自分の考えをしっかり主張するキリオス(左)。批判されることもあるが、今回はジョコビッチ(右)が感謝した。(C)Getty Images
オーストラリア入国問題で世界規模の騒動を巻き起こした男子テニスのノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界ランク1位)が、このほど母国セルビアの放送局『RTS』のテレビ番組に出演。同騒動で自身を支持してくれたニック・キリオス(オーストラリア/同122位)へ感謝の言葉を送ったと明かした。

キリオスと言えば、これまで度々ジョコビッチを揶揄し、テニス界きっての“犬猿の仲”と言われてきたのは周知の事実だ。そのため、先の豪入国問題で世界中から大バッシングを受けていたジョコビッチに対し、オーストラリア国籍のキリオスも同様に非難の言葉を浴びせるのではないかと予想されていた。

ところがどういう風の吹き回しなのか、キリオスはあれほど仲の悪かったジョコビッチを一貫して擁護する姿勢を見せたのだ。1月7日には自身のSNSで「ノバク(ジョコビッチ)への(母国やメディアの)対応は非常にまずい。もっといいやり方があるだろう」と投稿。

その直後に応じた豪メディアのインタビューでも「人々はノバクが自分のためだけにオーストラリアに来たと思っているが、それは違う。彼は最高レベルのテニスを披露し、それを喜んでくれる大勢のファンのためにオーストラリアに来たんだ」と主張していた。

ジョコビッチは、「僕は仲間を尊敬している。彼らの中には声を上げたがらなかったり、僕を批判したり、僕がオーストラリアに入国するのを嫌がったりした人がいることは理解している」と、複雑な胸の内を説明。「(そんな中で)ニック・キリオスは私を驚かせた」と、長年確執があったとされるキリオスが味方になってくれたことは全く予想していなかったようだ。
その一方でジョコビッチは「私は彼(キリオス)と、私のために立ち上がってくれた他の全ての人たち、例えば(女子テニスの)アリーゼ・コルネにも感謝の言葉を述べました」とコメント。

さらに「何人かの選手からは、個人的に多くのメッセージを受け取りました」と明かした34歳は「彼らは公の場では話したがりませんでしたが、私はそれを理解しています。状況は複雑だったのです」と締めくくった。

そんな渦中の世界王者は2月21日から開催される「ドバイ選手権」(2月21日~26日/アラブ首長国連邦・ドバイ/ハードコート/ATP500)で今季初戦を迎える予定だ。ちなみに同大会では選手に事前のワクチン接種を義務付けておらず、現在もワクチン接種を完了していないジョコビッチも問題なく出場できる見込みとなっている。

なお、第1シードとして出場するジョコビッチは1回戦で19歳のロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/世界57位)と対戦することが決まった。

文●中村光佑

【連続写真】股関節の柔軟性がパワーを生む、ジョコビッチのバックハンド

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