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六角彩子。女子野球W杯連覇の立役者は、なぜ選手兼監督を務めるのか

今回は女子野球・六角彩子選手にお話を伺います。六角選手は小学生の時に野球を始め、現在はクラブチーム・NPO法人女子硬式野球サムライの選手兼任監督を務められています。日本代表としては初選出となった2010年第4回女子野球W杯で大会MVPと首位打者を獲得するなど、3大会連続で出場。日本の連覇継続に大きく貢献しました。日本代表は昨年宮崎で行われたW杯で4連覇を達成しています。

選手兼監督という立場

――まず始めにスポーツの経歴を教えてください。

小学校2年生の時に少しだけスイミングスクールに通っていました。野球は小学4年生の時からリトルリーグ(硬式)で始めました。中学は野球部(軟式)でプレーをし、高校は埼玉栄高校に進学して女子硬式野球部に所属していました。大学からは今所属しているサムライというクラブチームでやっています。

――野球を始めるきっかけは何だったのでしょうか。

兄が野球をやっていたからです。3人兄弟で1番上は7歳、2番目は5歳離れています。でも2人とも私ほど長く続けませんでしたね。

――高校卒業後はどのような道に進んだのでしょうか。

怪我をして、理学療法士の方にお世話になったこともあったので、自分もその資格を取ることに決めました。引退した後もケアやリハビリという形で選手をサポートしていければいいなと思っています。それで資格の勉強をしながらクラブチームでプレーする選択をしたんです。

――今は理学療法士としての仕事はされていないのですか。

そうですね。メインは野球スクールで子供達に指導をしています。所属先が運営する加圧トレーニングジムで資格を取って、教えたりもしています。加圧トレーニングは怪我やリハビリとも関連性があるので、幅が広がると思ってやっています。

六角彩子

教えることで子供達に野球の魅力を伝えている(一番右)

――クラブチームでは今年から選手兼任監督を務められています。監督就任の経緯を教えてください。

前監督(矢尾倫紀さん)が社会人野球・ホンダのOBで、今回そのチームからコーチ就任要請があったんです。それで直接サムライの次の監督の話が私のところに来ました。どうなるかは分かりませんが指導者ということに興味もあったので、ぜひやらせてくださいと引き受けました。

――どういったところを監督として期待されていると思いますか。

前の監督から、私は考えて動ける選手だから、その考えをみんなに伝えることがチームや自身のレベルアップに繋がると言われたので、そういったところだと思います。

――監督という立場になったことで意識していること、変化したことはありますか。

私は子供の頃からありがたいことに比較的試合にも出してもらえる機会が多かったのですが、その分試合に出られない選手の気持ちを分かっていない部分があったと思います。監督になってからはより周りを見て、そういった選手の気持ちもしっかりと汲み取れるように心がけています。

あとはチームのみんなと意見を交わしながらも自分の思っていることを言えるようになりましたね。

大変なのは試合に際して忙しいということです。試合前にはオーダーを組まないといけないので、自分のアップの時間が短くなってしまいますし、試合中はランナーに出てもサインを出さないといけません。それでもチームメイトが協力してくれてだいぶ楽にやらせてもらっています。

――六角さんにしか出せない色は何だと思いますか。

自分自身も監督として分からないことばかりなので、全員でチームをつくっていく必要があると思っています。なので若い選手や今までなかなか発言できなかった選手も意見を言いやすい環境をつくろうと心がけています。実際そういう雰囲気になってきていると感じているので、まだまだではありますが、少しずつ私の色を出せてきていると思います。

六角彩子

選手として、監督として、指導者として、挑戦を続ける六角選手

選択した道を正解にできるかは自分次第

――選手としては日本代表に選出され、W杯に出場し、日本の世界一にも貢献されています。過去3回の大会で成長を感じられた部分を教えてください。

1回目は本当によくも分からず行った感じでしたが2回目、3回目となっていくにつれて馴れていき、余裕ができるようになりました。緊張もしなくなりました。立場としても1回目はチーム最年少だったので、とにかく他の選手に付いていくことに必死でした。今でも中堅くらいですが、求められる役割は変化していったと思います。

――その中でも初出場で結果を残されています。

何も分からず、必死だったからこそ出せたのかもしれませんね。やることをやるだけという感じでしたから。

――日本代表として活躍する中で周囲のリアクションは変わりましたか。

特に変化はないですが、家族が喜んでくれているので、それは嬉しいですし今も続けられる原動力になっています。

――日本代表は世界的に見てもすごく強いですが、他の国にない部分はどこなのでしょうか。

繋ぐ野球ができることです。バントなどの細かい技術もありますし、みんながそれを分かっています。どういった勝ち方を日本代表がしていこうとしているのか、全員が理解しているのでチームが一つになれるのだと考えています。

――六角さんのプレーにおけるアピールポイントを教えてください。

「攻める守備」です。受け身にならない積極的な守りだと思います。私はプレッシャーを楽しめるタイプなので、それも強みです。緊張も試合中というよりは大きな大会の1週間前くらいが一番しますね。試合の場面をイメージトレーニングしたりするのですが、いざ試合になってしまえば大丈夫です。

――座右の銘はありますか。

「Where there’s a will, there’s a way.(意志あるところに道はある)」という言葉が好きです。自分が進んだ道を正解にしていくということですね。私もプロに挑戦するかどうか、など選択に迷ったこともありましたが、今振り返ってみても自分が選択した道は正解だったと思えています。選択した道を正解にできるかは自分次第です。

――試合の時に行っているルーティーンはありますか。

精神面を落ち着かせるために音楽を聴きます。Def Techさんの「My Way」という曲が好きで、初めてのW杯の時からずっと聴くようにしています。緊張すると地に足が付いていない状態になるといいますが、これを聴くことでどっしり構えることができる気がしています。

――女子野球の魅力を教えてください。

女子野球は男子のようにプロまでの環境や道筋、プレーできる場が整っているわけではありません。プレーを続けるためにはわざわざ地方から出てこないといけなかったりもしますし、社会人野球もプロ野球もまだまだチームが少ないです。なのでもしかしたら男子選手よりも女子選手の方が野球をする喜びを感じているかもしれません。当たり前にできるわけではないですからね。練習もみんなやりたくてしょうないです。嫌々やる人は1人もいません。その姿が魅力だと思いますし、見ていても楽しい気持ちになれるのではないでしょうか。

――今まで一番嬉しかった出来事を教えてください。

やはり大会で優勝した時ですかね。一緒にやってきた仲間とその瞬間を迎えられることは嬉しいですし、家族も喜んでくれます。

――反対に苦しかったことは何ですか。

怪我した時です。野球ができなくなる期間は辛いですし、悔しいです。大きな怪我としては右肘を疲労骨折したことがあります。高校最後の大会の初戦でのことです。それまでもずっと肘は痛かったのですが、もう最後だったので無理をして続けていました。その試合ではショートを守っていたのですが、深めのゴロを捕っておもいきり投げた時に「バキッ」と音がして、それ以降は出られなくなってしまいました。

六角彩子

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