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「ジャンボさんのおかげです」 悩める佐久間朱莉の不振を一発解決した師匠・尾崎将司からの一言

ジャンボのアドバイスを受けて首位発進(撮影:鈴木祥)

<明治安田生命レディス ヨコハマタイヤ 初日◇9日◇土佐CC(高知県)◇6228ヤード・パー72>

「プライベートではあるけど、ツアーでは初めてです」。ツアー本格参戦2年目の20歳、佐久間朱莉(さくま・しゅり)がトーナメントコースレコードタイの「63」で初日を終えた。「自分でもビックリするくらい、いいゴルフができました」。暫定ながら、9アンダーでプロ転向後初となる“首位発進”を決めた。

スタート直後の11番パー4。残り95ヤードの2打目を1メートルにつけてバーディを奪うと、これがラッシュの号砲になった。12番も2メートル、13番も4メートルと連続でチャンスをものにする。ハーフターン時点で6つのバーディ。後半も終盤の8番で寄らず入らずのボギーこそ叩いたが、スコアを落としたのはこのホールだけ。“ビックリ”するのも無理はない。

決めたなかで一番長いバーディパットが18番の6メートルだったように、とにかくショットがキレた。自身のプレースタイルと語る「ショットメーカー」らしいスコアメイクに、表情も明るい。先週の開幕戦も18位タイとまずまずの成績を残しており、順調なシーズンの滑り出しともいえそうだ。ただ、オフを過ごしていた1月下旬は、そのショット面が不調だったことを明かす。「ボールがつかまらず、飛距離も落ちていました。薄い当たりのショットも多くなっていて」。その改善のため試行錯誤を重ねる佐久間を救ったのが、師匠・尾崎将司からのアドバイスだった。

『縦振りになってるな』。この一言で視界が開けた。「ショットが噛みやすくて、(インパクト時にクラブヘッドを)『上から入れよう、上から入れよう』と考えていたら縦振りになっていました」。本人も気づかないうちに変わっていたスイング時の軌道を指摘され、不振の理由が明確になった。「ジャンボさんのおかげです。いいと思ってやっていたことが良くないことだと気づけた」と感謝する。

原因が分かれば、あとは修正するのみ。その言葉を受けて臨んだ宮崎、沖縄での合宿では動画でスイングチェックもしながら、徹底的に振り込んで修正ポイントを体に染み込ませた。「トップの位置がクロスに入っていた部分を、シャロー(浅く)にするイメージに」。そのスイング固めのため、300球ほどの打ち込み練習を重ねる日々。こうして徐々に悪癖を正していった。

2021年6月のプロテストでトップ合格を果たし、ツアー本格参戦初年度だった昨年はメルセデス・ランキング33位で初シードも獲得した。ただ自己評価は「点数でいったら60点くらい」と辛口。「同期や年下も優勝していたので、悔しい思いのほうが強かった」と勝てなかったことがその理由になる。もちろん今季の目標には「初優勝」を掲げる。そこに向けても「開幕までに少しずつ(状態が)戻って、まだ足りないけどいい感じです」と悩みを払拭できたのは大きい。

高校入学前からジャンボのもとで腕を磨いてきた。「口数は少なくて、あまり話すことはないんですけど一言一言に重みがある。励ましてもらいながら、いつも力を送ってくださっている」と信頼する。シーズン開幕前には、その師匠に「初優勝してきます!」と宣言もしてきた。「うなずいてくれただけで、言葉はなかったですけど、ジャンボさんらしいなと思いました」。今度は、そんな“無言のエール”にしっかりと応えたい。(文・間宮輝憲)

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