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キャロウェイの1Wが補正能力を手に。【Aiスマートフェース】ならミスしても大丈夫

AIがついにリアルスイングを学習

生成AIの進化で、仕事の効率化を実感する昨今。キャロウェイのAI活用はゴルフ業界で最先端をいく。2009年からスーパーコンピュータを導入した同社は、2016年からAIによるアイアンの試作を開始。そして、AIデザインで業界初の市販化が2019年。AIにボールスピード向上を司令したAIフェースの『エピックフラッシュ』を発売して大ヒットした。
 
2018、2020年にはスーパーコンピュータを大増強し、今作『PARADYM Ai SMOKE』でAI設計は6代目だが、ついに我々のリアルなスイングデータを機械学習させた。その数25万スイング分でデータポイントは104万、そして、なんとAIが5万回もフェースを試作。スイング軌道も様々で打点がバラつく我々を、新しい『Aiスマートフェース』が補正してくれる時代がついに来た。

もちろん、そのスイングデータは、モデル毎に最適化したゴルファーサンプルを抽出して設計されている。最も打点がバラつくサンプルは『PARADYM Ai SMOKE MAX DMAX FASTに、次に打点がバラつく人へ『PARADYM Ai SMOKE MAX、そして、ある程度打点がまとまる中・上級者やプロに近い人は『PARADYM Ai SMOKE ◆◆◆といった形だ。
 
シャウフェレの新『◆◆◆』が+1.42mph!

今季のPGAツアー開幕戦「ザ・セントリー」でもザンダー・シャウフェレ(10位T)、アダム・ハドウィン(14位T)、エリック・ヴァンローエン(22位T)、キム・シウー(25位T)、エミリアーノ・グリジョ(43位T)の5名がいきなり『PARADYM Ai SMOKE ◆◆◆』を投入して活躍。グリジョは42回/60H捉えてFWキープ率70%(全体2位)を記録した。(シウーは全体14位、ハドウィンは同24位)
 
また、ボールストライカーであるシャウフェレのボール初速の伸びも特筆だ。昨季平均の179.02mph(全体34位)➡180.45mph(全体4位)と+1.43mph上がっており、限られた選手しか出場できないエリート大会を終えて「SG:オフ・ザ・ティ」で1位となり、新ドライバーがいきなり威力を見せつけた形。
 
大ヒットの前作よりも飛んで曲がらない

実際、完成した4機種は、AI設計5万回のシミュレーション通りの結果になっているとか。キャロウェイ本国のロボットテストデータでは、今作『MAX D』『MAX FAST』は前作『パラダイムX』より分散の円が10㍎左につかまって+2㍎伸びた他、『MAX』は前作『パラダイム』より13 %も曲がりを抑え、+3・3㍎を達成。
 
そして、『◆◆◆』に至っては、前作『パラダイム◆◆◆』より+2・5㍎タテ距離の安定が増すだけでなく、契約フリー女子プロたちに大人気だった1Wよりも、34%も曲がりが減って分散の円が小さくなったとか。前作『パラダイム』と『MAX』を打点ズラしで試打した、4Plus Fitting Labo & Golf Salonの吉川仁プロも驚きを隠せない。
 
「前作よりソフト打感でトウ打点で曲がらず飛ぶ」

「まず、一番最初に感じたことは、前作『パラダイム』よりも打感がソフトで、『PARADYM Ai SMOKE MAX』の方が、インパクトでフェースに乗ること。絶妙にAIフェースが捉えてくれるというか、トウにズレてもヒール打点でもミスに強くフェアウェイに残る傾向は明らかです。ボクもお客様の大半もトウ側に打点を外すミスが多いので、先っぽに当たってもすっぽ抜けずに飛ぶのは本当に有難い。
 
データで見ると、そこまで深重心になったわけでもないのですが、『パラダイム』より『MAX』の方が少し打出角が上がって、スピン量のブレが少ない。フェースの下っ面に当たるようなミスでも、球が浮いてくれてキャリーも伸ばせるし、若干インパクトロフトが付きやすく、打点がバラついても助けてくれる感じです。初速もトウやヒールに外してもしっかり出てますね」(吉川プロ)

その他のモデルの印象はどうか。特に、今作は純正シャフトが全て三菱ケミカル製の『TENSEI for Callaway』へと移行しているが、その辺りのマッチングはどうだろう。何しろ、契約選手のシャウフェレ、ハドウィン、グリジョの3人が三菱ケミカル『ディアマナPD』で、ヴァンローエンも『ディアマナDF』を使用するなど、今作は三菱製シャフトとの相性にも注目したくなる
 
「三菱の純正シャフトの完成度も高い!」

「めちゃくちゃ好印象ですね。特に『◆◆◆』の黒い『テンセイ60』は、ニッケルチタンファイバーの効果か、全体が締まって復元もかなりいい。だから、打点を外そうとしても、芯を外させてくれないくらい、完成度の高さとヘッドとの相性の良さを感じます。『MAX/MAX D』の『テンセイ50』もクセがない中調子で、球の上がりづらい人にしっかり仕事をしてくれるタイプで良かったですね。
 
最近の大手のヘッドは、真ん中打点の初速差がほぼ無い中、キャロウェイは真ん中打点だけ抜けていた印象。反面、外すとじゃじゃ馬でしたが、今回のAIの進化でミスしても助けてくれる感が増してます。だから、合うシャフトが尚更威力を発揮しそう。純正の完成度も高いですが、自分のエースの三菱『テンセイProブルー1K』の60Sで打つと、本当に『スモーク』のAI設計の進化を実感しました。

やっぱり、AIがゴルファーの入射角や打点ブレを計算してくれたおかげか、いろんな打ち方で打点をブレさせても、スピンの入り方が一定しやすい印象です。特に、『◆◆◆』はじゃじゃ馬な印象が消えて、フェース向きもスピン量も一定しやすく、ミスしても距離の落ち込みが少なくなりました」(同)
 
これまで打点ブレは、合うシャフトを見つけて対応してきた人も多いだろう。吉川フィッターもそこを担ってきたが、AIフェース自体がその役割も果たすことが判明した、今年の新作『PARADYM Ai SMOKE』。学習データが多いほど精度を増すAIは、人間の想像を越える計算力で、今年こそ我々の頑固なミスを減らしてくれそうだ。
 
✦取材協力/4Plus Fitting Labo & Golf Salon
✦撮影/山代厚男、GettyImages

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