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史上3人目の“レフティ全英王者” ブライアン・ハーマンが36歳で味わった美酒「ずっと信じていた」

36歳がクラレットジャグという大きなトロフィーを手に入れた(撮影:福田文平)

序盤のミスを乗り越えたブライアン・ハーマン(米国)が、ロイヤルリバプールでの151回目を迎えた大会を制し、新王者に輝いた。終ってみれば2位以下に6打差と、まさに完勝といえる。だが最終日は1番ホールのティオフから18番ホールのパーパットまで、リンクスコースの洗礼を受け続けた。

激しい雨風にさらされる厳しいコンディションの中、ハーマンは要所で好ショットを繰り出し「70」でホールアウト。トータル13アンダーでライバルたちを圧倒した。

大会開幕前にイングランド北西部に乗り込んだ時点で世界ランキングは26位。順位を見れば、今大会での36歳のパフォーマンスが決してまぐれではないのは一目瞭然だ。しかしPGAツアーで最後に勝利の美酒を味わったのは2017年。6年前まで遡る。

加えて、この日クラレットジャグに手を届かせる以前に、キャリアを通じても通算2勝しか挙げておらず、“勝ちグセがない”などの経験不足を理由に、ハーマンが崩れる可能性を示唆する識者も少なくなった。

そんな懐疑的な目を跳ねのけて、レフティは頂点に上り詰め自身初のメジャータイトルを獲得した。ちなみに全英オープン史上、レフティーの優勝は1963年のボブ・チャールズ(ニュージーランド)、2013年のフィル・ミケルソン(米国)に続いて3人目だ。

今大会のハーマンは何より安定感が際立った。まず4日間を通してバンカーに落としたのはわずか2回のみ。また3メートル以内のショートパットを外したのは驚きの1度のみで、3パットは一度もない。フェアウエイキープとパッティングの両部門で、毎ラウンド後必ず上位に名前があることからも、ショットとパット両方の精度が高かったことがうかがえる。

「ホイレークに来てからほぼ最初から最後まで、しっかりと自分のゴルフをコントロールできたからとても良いパフォーマンスを出せた。今週なぜそうなったのかは分からないが、今週すべてが良い形になって本当に良かった」

とはいえ、戴冠までの道のりは2位以下のストローク差ほど平たんではなかった。まず3日目には序盤にスコアを2つ落として、調子を崩すかと思われた。だが最終的には、逆に2つスコアを伸ばして最終日に臨んでいる。

こうして迎えたファイナルラウンドも、またもや序盤の2番ホールでスコアを1つ落とし、さらに5番ではティショットを引っ掛けてゴースに打ち込み、アンプレヤブルを宣告。ここもボギーとする。そんな流れが悪かったなか、次の6番ではこの日1つ目のバーディを奪い負の連鎖を断ち切った。「あのパー3の6番は、5番アイアンで本当にいい球が打てて、グリーンではバーディパットを決めるだけだった」と自分を褒める。

さらに7番でも連続バーディで再びリードを広げると、あとは後方を振り向くこともなく、ひたすら自身のゴルフに集中し続けて前へと進んだ。そして迎えたウィンニングパット。6年ぶりに挙げた勝利の瞬間、ハーマンは軽くこぶしを握ってガッツポーズを繰り出した。

「いつか必ずこういったことが起こるとずっと信じていた」と喜びを爆発させた。

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