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一発逆転の可能性は“ゼロ”じゃない! 優勝目指す井上りこが最終ステージへ“気合”注入【大和笑莉奈の突撃ステップ・アップ便り】

井上りこは最終戦でステップ2勝目を狙う(撮影:上山敬太)

<京都レディースオープン 事前情報◇14日◇城陽カントリー倶楽部(京都府)◇6444ヤード・パー72>

全23試合が行われる今季のステップ・アップ・ツアーが、いよいよ最終戦を迎える。今週は例年通り、2022年の「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」を開催したチャンピオンコースが舞台。賞金ランキング2位までが来季のレギュラーツアー前半戦出場権を獲得するため、最後の切符をかけた大一番。自身も同ツアーに出場する大和笑莉奈が注目選手から聞き出した生の情報をお届け! 今週は一発逆転を狙うステップ1勝のあの人!

■最終戦にかかっているものとは?

1年間の締めくくりがまもなく開幕する。そこで気になるのはランキング争い。今季3勝を挙げて約2500万円を稼いだルーキーのウー・チャイェン(台湾)が賞金女王をすでに決めているが、2位争いも白熱。賞金ランキング2位までが来季のレギュラーツアー前半戦の出場権を獲得するとあって、当事者にとっては負けられない戦いとなること必至だ。

現在ランキング2位にはルーキーの大須賀望。10月に連勝を果たし、一気にランクアップ。なんとしてもこの位置を死守したいところだ。それを追うのが同じくルーキーの小林光希で、その差は約131万円。4位の鬼頭さくらは今大会の優勝賞金360万円を加算しても2位の大須賀におよばないことから、大須賀、小林の二人がレギュラー行き最後のひと枠をかけた1戦に挑む。

また、賞金ランキング10以内に入れば、来季出場権をかけたQT(予選会)の1次(ファースト)が免除され、最終(ファイナル)から参戦可能。この争いも熱を帯びそうだ。

■一発大逆転なるか!?

ランキング上位10人に加え今年度の優勝者もファイナルQTからの出場。そんななかで、ランキング10位の吉本ここねを数字上で抜けるのは同31位の李知姫(韓国)まで。とはいえ、知姫は今季優勝を遂げており、ファイナルQTからの参戦を決めている。となると、一発逆転の目があるのは同30位の井上りこまで。優勝して360万円を獲得すれば、現在の吉本の賞金額を上回ることになる。

これはあくまでも今の額に賞金を加算した場合。吉本含め、ほかの選手の今大会での獲得額を加味しないものだが、とはいえチャンスがあることには変わりない。「あわよくば優勝したいです!」と井上自身も明るく抱負を語る。

「今季はどうでしたか?」と大和が振り返りを促すと、「そんなに悪いわけではないのに、もったいないミスが出て、最終順位は上位ではないことが多かったです」と反省点が残るという。9月に2位タイが一度あるものの、直近6試合では3試合連続を含む予選落ちが4回。「後半戦になってガタガタしてしまった」と悔いが残る。

大和が持つ井上の印象は、「元気なイメージ」。これに対して井上は「いつになったら落ち着くのか」と失笑。そんな元気な面がゴルフで裏目に出ることもあって、「ムリに攻めたりしてボギーがかさむことがありました」と分析。「ここ狙うところじゃないでしょ!というのがあったり」と、攻める気持ちから崩してしまうことが今後の課題でもある。

■ベテランの域に達し、若手をどう見る?

「最近の若手を見てどう思う?」。ランキングトップのチャイェンは19歳。大須賀、小林は21歳。若手が上位を占めるなかで、そんな質問をぶつけてみる。「アプローチ、パターの技術が私たちの若いときと違ってできあがっています」と感心の一言。ベテランみたいなゴルフをするんです。とんでもないミスをしないですし、動じることもないんです。いい意味で堂々としています」とツアー全体のレベルアップを感じている。

各試合での予選通過ラインについても「今までだったら『これくらいかな?』と思っていたカットラインが、最後には上がっている。うかうか落としていられない」とスコアの伸ばしあいが毎週続き、攻める姿勢を崩すわけにはいかない。「ホントに落ち着きがない(笑)」という井上のスタイルも、はまればビッグスコアが出るだけに、最後の最後で一発決める可能性も十分にありそうだ。

「りこちゃんはいつも明るくていいよね」と大和が言うほど、底抜けに明るいキャラクターはツアーでも有名。オフには大きな声でカラオケを歌いながらストレスも発散するという一面も持つ。

泣いても笑っても最後の戦い。「QTに向けていい気持ちで臨めるように気合を入れます!」と意気込むが、優勝してミラクルを引き起こす姿も見たいところだ。

解説:大和笑莉奈(やまと・えりな)
1990年2月13日生まれ、山形県出身。中学時代にはアルペンスキーで全国大会出場経験も持つ。宮里藍らを輩出してきた名門の東北高校ゴルフ部に進み腕を磨くと、2009年のプロテストに合格。13年には「エディオンレディースカップ」でステップ・アップ・ツアー優勝。レギュラーツアーでも優勝争いを経験してきた。現在はテレビでの解説なども務め、21年にはゴルフ業界活性化、女子プロゴルファーの新たな可能性追求のため、「LPGA女子プロゴルファーズ連盟」を立ち上げた。

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