「シード獲ったね…ではさみしい」 藤田寛之、24季連続シードに黄信号、“落ち”なら来季は別枠出場で | ゴルフのポータルサイトALBA.Net
シード獲得…だけではやっぱりさみしい(撮影:鈴木祥)
<カシオワールドオープン 事前情報◇23日◇Kochi黒潮カントリークラブ(高知県)◇7335ヤード・パー72>
52歳の大ベテラン、藤田寛之が崖っぷちに立たされている。来週の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は今季の優勝者やランキング上位選手に出場が限られるため、来季の出場権をかけたシード争いは、今週の「カシオワールドオープン」が実質の最終戦となる。
毎年、初シード、シード落ち、シード復活というニュースが流れるのがこの大会。今年はシード喪失危機選手の中に、藤田の名前も入っている。ツアー通算18勝で23年連続シード権を獲得してきたが、現在の賞金ランキングは70位。同65位までに与えられる賞金シード入りに「ラストチャンスですね」と、苦境に立たされた。
それでも表情が暗いわけではない。仕方ないという気持ちがまずは胸を去来する。40代を過ぎてから全盛期を迎え、2012年には賞金王にも輝いた。最後の優勝は14年9月。そこからランキングは落ちる一方だったが、「集中力は落ちていない」と、常に最終戦行きを目標にやってきたが、「体、目が悪くなる。テンションが下がりますよね」と、今年はついにシード争いまで追い込まれた。
「賞金王を獲ったときと同じことをやっている」。練習もトレーニングも変わらずストイックに取り組んできたが、52歳という年齢もあって、不安要素がどうしても重くのしかかってくる。だからこそ集中力はキープしているが、やる気や思いだけではこの世界では戦っていけない。
中年の星と呼ばれた40代も過ぎ去り、シニア世代に入ったこの2年間はコロナに翻弄されながらも、いつも通りに戦ってきた。「先週終わったあとの移動中に、『いま70位か』とか、『誰が(シード付近に)いるのかな』とか考えてみたけど、結局分からなかった」と、あえて意識することはせず、シード死守のための詳細な条件などは計算を諦めた。
前週の「ダンロップフェニックス」は首位と3打差の5位タイで決勝ラウンドに進んだ。ところが、「40代を超えると、そこかからが…」と、週末で一気にスコアを崩した。少しでも賞金の上積みが必要とされたが、逆にランキングを落とす結果になった。では、あらためておさらいをしてみよう。同65位の小鯛竜也の賞金が1290万7436円。対して藤田は1120万47円で、その差は170万7389円。単純計算で今週、単独21位の賞金額177万円以上を獲得すれば、65位の数字を抜くことになる。
ただし、これは机上の計算で、他選手の動向次第で変わってくるのが現実。そんなことに頭を悩ませるより、「1打1打集中してやるだけ」と、腹はくくった。追い込まれた状況で「冷静に考えれば厳しい。でも、こんな自分でも応援してくださる方がまだいるので、頑張りたい。『シード獲ったね』ではさみしいですけど…」と気持ちは複雑だ。
特にプレッシャーもないと話し、今週が終われば結果が自ずと出るが、藤田はすでに賞金シード落ちを喫したとしても、来季は『生涯獲得賞金25位以内』の資格で出場する予定。「ファイナルQTはいきません」と、心は決まっている。
これまで何度も同世代を勇気づけてきた藤田の2021年最後の戦い。もちろん優勝して最終戦へという道がないとはいえないが、シード確保という窮地に追い込まれた藤田のプレーに注目が集まるのは間違いない。(文・高桑均)
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