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3日間でバーディはたったの“1つ” 東京よみうりCC名物・難関18番で今年もドラマが起きる⁉

今季の終着点・18番パー3。優勝の行方を左右する超難関ホールだ(撮影:鈴木祥)

<ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日◇3日◇東京よみうりCC(東京都)◇7023ヤード・パー70>

シーズン最終戦となる「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は、最終ラウンドが始まっている。優勝争うのは今季の賞金王・23歳の中島啓太に、同級生の蝉川泰果。さらに、2015、19年の大会覇者・石川遼が3日目に「62」をマークし、優勝争いに参戦。男子ゴルフ界の千両役者たちがそろった。この勝負の分かれ目となるのは、東京よみうりCC名物・最終18番パー3だろう。

まず、227ヤードの設定とパー3のなかでも距離が長い。そして最終組が18番のティショットを打つ時間帯は太陽が逆光となり、体が起き上がりやすいといわれる。それらに加えて、選手たちを一番苦しめているのがグリーンの傾斜だ。

奥行34ヤードのグリーンは奥から手前に傾斜がきつく、奥に乗るとファーストパットのボールがコロコロ転がり出し、加速してグリーンの外へ出てしまうことも珍しくない。

初日は左手前、2日目は右奥、3日目も初日とほぼ同じ左手前、最終日は例年通り右手前にカップが切られた。ここで、3日目までの18番のスタッツを見てみよう。

【今大会の18番パー3の記録】
■初日 平均スコア3.333 難易度2位(左手前ピン、実測221y)
バーディ1人、パー18人、ボギー11人
■2日目 平均スコア3.467 難易度1位(右奥ピン、実測234y)
バーディ0人、パー18人、ボギー10人、ダブルボギー2人、
■3日目 平均スコア3.300 難易度2位(左手前ピン、実測218y)
バーディ0人、パー22人、ボギー7人、ダブルボギー1人
■最終日 (右手前ピン、実測214y)

※3日間トータル 平均スコア 3.367 難易度1位
バーディ1人、パー58人、ボギー28人、ダブルボギー3人

今年、18番でバーディを獲得したのは、初日の米澤蓮“ただ1人”。ツアー屈指の難関パー3として、トッププロたちに立ちはだかっている。その要因について、今大会のコースセッティングアドバイザーを務める細川和彦に話を聞くと、「パーを獲りに行くと難しくはないですけど、無理にバーディを獲りに行ってティショットが曲がると、すぐボギー、ダブルボギーになってしまうホール。やっぱりゴルフの基本じゃないですけど、手前のエッジにつけて、アプローチで寄せるのが大切です」と、“乗せない”マネジメントを推奨する。

ピンを狙って痛い目にあったのが3日目の蝉川泰果だ。

1つ前の17番でイーグルを奪取した蝉川。しかし、ティショットは当たりが薄くスピンがかからず、ピンの奥10メートルに乗った。その下りのファーストパットはコロコロと転がり、グリーンからこぼれてしまう。3打目は2メートルと寄せきれず、ボギーパットもカップすれすれを通過。無念のダブルボギーを喫した。「あのピンに対してあまり警戒せずに狙ったせいで、上の段につけてしまった。手前からいくっていう考えを忘れていました。すごくもったいなかった…」と反省。最終日は「手前から攻めていこうかなと思います」と、同じ失敗を繰り返さないように徹底する。

2015、19年に今大会を制し、このコースを熟知している石川遼は、「普段あまり経験ができないグリーンなので、一発で結果を出すというのは、結構難しいホールですね。なので、アプローチとパットの勝負になるのかなと思う。最終日はパーでいけたら、4日間でトータル2オーバーなので、良い方だなと思いますね」。初日、2日目とボギーを叩いたホールで、パーを狙いに行く方針を示した。

10年前の2013年大会では3打差の首位で迎えた宮里優作が、右手前のラフからの3打目のアプローチを、直接カップにねじ込みミラクルパー。涙のツアー初優勝を飾った。今年は18番でどんなドラマが生まれるのか、最後の最後まで見逃せない。(文・神吉孝昌)

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