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スズメバチの恐怖! 秋のゴルフ場で刺される事故、林の中でのボール探しは特に注意

巨大なスズメバチには恐怖を感じる(撮影:GettyImages)

2023年の夏は記録的に熱い夏でした。と、過去形で書きたくなるほど、9月の残暑も厳しくて困ってしまいます。ちなみに、東京の最高気温が30℃を超える真夏日の日数は、2010年の71日間がこれまでの最高。当時は、2ヶ月以上も真夏日ということことで、とんでもない記録だと話題になりました。そして2023年の今年、ついにその記録を更新。9月になっても連日のように30℃超えで、71日どころか80日を越えて新記録を更新中です。(執筆2023.9.14時点)これも地球温暖化の影響なのか? など考えさせられますよね。

9月も下旬に近くなれば、やっと涼しくなって秋のゴルフシーズンが始まります。秋ゴルフは気候が良くなるだけではなく、食べ物も美味しいですし、季節の移ろいを見て楽しめます。最高の仲間と、楽しい秋ゴルフができました、というシンプルな話になるのが理想なのですが、実は心配なことも。日本全国でスズメバチに刺される事故が多発しているように、この最高の季節はスズメバチが一番活発に活動する時期でもあるのです。

ゴルフコースで一番多いのは、ボールを探して林に入り、知らずにスズメバチの巣の近くに侵入して襲われるというパターン。そもそも巣は地中や木の中にあり見えないことが多く、スズメバチは攻撃前に、カチカチとアゴを鳴らすのですが、そんなことも意識していないとわかりません。巣から3メートル以内に入ったことが理由で、一気に数匹が襲ってくる恐怖と刺された痛みと後遺症…。それらがトラウマとなりゴルフをやめてしまう人もいるそうです。

また、同じように林でボール探しをしていて、巣に近づいていないのにいきなり1匹のスズメバチに襲われ刺されてしまうパターンも。香水などの成分の一部が、スズメバチが攻撃の合図として出すフェロモンの一種に似ているのが原因と言われています。匂いの成分に刺激されて攻撃してくるのです。

スズメバチの事故で、毎年数十名が命を失っています。統計がないのでその内の何名がゴルフコースでの事故かはわかりませんが、甘く見て油断してはいけません。

みなさんもご存知かとは思いますが、スズメバチは毒が強くかつミツバチのように一刺しではなく、何度も刺すことができます。刺されたところは、激痛があるだけでなく大きく腫れます。更に、過去に刺された経験がある場合には、アナフィラキシーショック(命にかかわるショック状態を招くアレルギー反応)を起こすこともあります。刺すだけではなく、毒液を飛ばすこともあり、目に入ると最悪の場合、失明してしまうこともあるのです。

スズメバチの巣に近づかないことが一番。
ゴルフコースでは巣が見つかると、駆除するか駆除が難しい場合は、ロープなどで囲って危険だから入るな、という張り紙などをします。また、ラウンド中に巣を見つけた場合は携帯電話などでコースに電話をして場所などを通報しましょう。後から来るプレーヤーが被害に遭わないようにするためです。

今回取材をして知ったのですが、スズメバチに効く殺虫剤というのは複数あって、ゴルフコース用に販売されているものもあるそうです。駆除業者に頼むケースもあるようですが、多くのゴルフ場ではコース管理スタッフが殺虫剤を始めとする駆除用品を使い、1時間程度で駆除してしまうそうです。

ゴルフ場にアレルギーがあるスタッフがいる場合は、『アドレナリン自己注射キット』を医師に処方してもらって準備している例もあるようです。処方された人以外が使用するのは、法律上問題があるらしいのですけど、スズメバチの毒のアナフィラキシーショックは刺されてから30分ぐらいが勝負らしいので、ちょっとだけ安心します。

スズメバチに刺されたら、まずは毒抜き。多くのゴルフ場には『ポイズンリムーバー』という注射器のような形状で、毒を吸い出す機材を常備していますが、その場で爪で挟んで血を出すのも、毒抜きになるようです。その際に指先に傷があると、そこから毒が身体に入ってしまうので注意が必要。刺されたところから出てきた血を拭くのではなく、きれいな水でジャーと流します。口で吸って血抜きする映画などのシーンがありますが、口内に傷があるとそこから毒が回ってしまうのでやめたほうが無難。そして当たり前ですが、とにかく病院に行き治療を受けること。

以下は、ゴルフコースでスズメバチに刺されないための注意点。わかっているつもりでも今一度確認しておいてください。

・黒い服を避けて、白い服にする
・強い香水は避ける(成分によってはスズメバチの攻撃性が上がる)
・近くに飛んできても、ゆっくりと屈むようにして広い場所に逃げる
・手やタオルではたくと、逆襲されるので絶対にダメ

過剰にスズメバチにビビるのは本末転倒ですが、秋のプレーを楽しいものにするために、ゴルファーなら少しだけ覚えておくことをオススメします。もしもの時に、知識という準備が強力なお守り効果を発揮することもあるのです。

(取材/文・篠原嗣典)

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