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2番アイアンを多用、330ヤードでワンオン 米ツアー1の飛ばし屋、ポリー・マックのスケールがハンパない!

米ツアー1の飛ばし屋、ポリー・マックのスケールがハンパない!(撮影:ALBA)

<クローガー・クイーンシティ選手権 事前情報◇5日◇ケンウッドCC(オハイオ州)◇6515ヤード・パー72>

「80%で振るより、95%で振ったほうが曲がらないの」。笑顔でそう話すのはポリー・マック(ドイツ)。現在、米国女子ツアーのドライビングディスタンスは279.05ヤードで堂々の1位。これも、すべてドライバーで打った際の飛距離ではないから驚きだ。

24歳の新鋭。昨年から下部ツアーに参戦し、12月の「Qシリーズ」を突破し今季の出場権を獲得した。荒削りな面もあり、成績はこれからに期待というルーキーだが、その飛距離は今やツアーでも知らない者がいないほどの有名人だ。

バッグの中身を見てみるとアイアンは2番から。「コースによっては3番ウッドも抜いてドライバーとアイアンだけにすることもあるの。だって必要ないから(笑)」と、男子ツアーでもあまり見かけることのないクラブセッティングで米ツアーを戦っている。「ドライバーのキャリーは245メートル(約268ヤード)で2番アイアンは215メートル(約235ヤード)くらい。もちろん条件によっても違うけど」とこれにランを加えれば、ドライバーでは280~290ヤードをコンスタントにキープする。

ドイツ出身でナショナルチームにも在籍。その後は米国の大学に進学。ネバダ大ラスベガス校では1年生ながらタイトルを獲得、そしてアラバマ大に転校した。昨年6月にプロ転向してからは『とんでもない飛ばし屋がいる』とうわさになった。毎週のように豪打を放つロングヒッターは、先週のポートランド大会で勝みなみ、渋野日向子、古江彩佳と3人の日本人選手とラウンド。渋野は口を開いて、その圧倒的な飛距離に驚いた。

「7歳のときから14年間見てもらったコーチが、最初からわたしの飛びの才能を見いだしてくれたの。腰の動きやスイングの形を見て、飛ばしのポテンシャルがあると気づいてくれて、とにかく曲がってもいいから速く振ることを教えられた」。まずは飛距離を優先して“振る”ことを覚え、すると「16歳か17歳のときには、距離も出て曲がらなくなっていた」と、最強ドライブを身につけた。「同年代の選手はまっすぐ飛ばすことを練習したけど、わたしはとにかく遠くに飛ばせるだけ飛ばすことを意識していた」。

「クローガー・クイーンシティ選手権」火曜日の練習ラウンドでは330ヤードの10番パー4でドライバーを強振。「グリーン手前10ヤードにキャリーしたと思う」と花道に着弾するとこれが転がりグリーンオン。セカンド地点からやや下り傾斜になっているとはいえ、さらにアゲンストの風のなかで、ティにいたほかの選手、LPGAスタッフも驚く一打を見せる。

それだけではない。13番のパー4は398ヤード。こちらはフォロー風でティショットからやや打ち下ろしだが、これまた豪快に振り抜いた一撃はフェアウェイの遥か先、ヤーデージブックをのぞくと、なんと327ヤード地点に止まった。フロントエッジまで55ヤード地点という距離は、同組で回る選手の60ヤードほど先。地元キャディが「今週はドライバーと2番アイアンとウェッジだけあればいいね(笑)」というほど、とにかく規格外のショットにジョークも飛び出す。

「人と違う選手がいてもおもしろいでしょ?」と笑顔で自身の飛距離について語る。「いつも冷静にプレーをするようにしているし、スマイルを忘れないようにしている」とコース上での心構えを教えてくれた。ポートランドでは日本人選手についたギャラリーからの拍手や声援にも手を振って笑顔で答え、「とっても楽しかった」と振り返る。飛距離というアドバンテージでプレーを組み立て、それがファンを魅了する。見ていて飽きのこない選手なのは間違いない。

現在のポイントランキングは116位で「当面は来季のツアーカード(シード)を守ることが目標」とまずは残りの試合でポイントランキングを上げることを命題に挙げるが、将来的には大きな夢がある。「メジャーで勝つことかな」と、いつかは女子ゴルフの頂点に立つことを掲げている。

「小さい頃からレクシー・トンプソンやミシェル・ウィー(ともに米国)、ローリー・マキロイ(北アイルランド)らを見て憧れていた。遠くに飛ばす選手が好きだった」と、飛ばしの要素はそんなところからも養われた。「わたしも若い子たちのアイドルになりたい」。チャーミングなスマイルからは想像もできないほどのドライバーショットを武器に「今週は調子も上がっているのでトップ10を目指したい」と意気込む。初日は朝7時半のトップスタート。華やかで豪快なショットが、オハイオの青空に放たれる。(文・高桑均)

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