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ジュニア時代から高い壁 仁井優花が狙う先輩・山下美夢有への「恩返しV」

後輩・仁井優花(左)と先輩・山下美夢有。仲良しのふたりが優勝争いに挑む(撮影:佐々木啓)

<樋口久子 三菱電機レディス 2日目◇28日◇武蔵丘ゴルフコース(埼玉県)◇6650ヤード・パー72>

勝つのは先輩か、後輩か。ともに大阪出身でジュニア時代から仲良しの山下美夢有と仁井優花が、そろって優勝圏内で最終日を迎える。2季連続の年間女王がかかる山下は「66」の猛チャージでトータル7アンダーとし、18位タイから2位タイにジャンプアップ。一方、首位タイから出た仁井は「71」のラウンドでトータル6アンダーの5位タイに踏みとどまった。

1つ年下の仁井は8番パー3でプロ初のホールインワンを達成。「ちょっと右に行ったかなと思ったんですけど、距離が合っていたので良かったです」。傾斜に乗って左に転がったボールはきれいにカップに吸い込まれた。「プライベートでは中学2年生ぐらいで一度あるんですけど、試合では初めてです」。後半に入って、3ボギー(1バーディ)と苦しんだだけに、ホールインワンの貯金が大きかった。

対する山下は6バーディ・ボギーなしとほぼ完ぺきな内容。「比較的ショットが安定していて、手前につけることが出来たので、上りのパットを打てたのが良かった。今週ぐらいから自分らしいゴルフを出来ているかなと思います」。9月中旬からショットの調子を落とし、そこからショットに練習時間を費やしたことで、今度はショートゲームが思うようにいかないという悪循環に陥っていたが、ここに来て、プレー全体のバランスが整い始めた。

今週も一緒に食事をしたというほど、仲のいい二人。「美夢有ちゃんは成績的にもすごく上に行っちゃった感じなんですけど、結構よく食事に行っていて、相談すると、すごく親身になってくれます」(仁井)。技術的なことから、ラウンド中に何を考えているのかまで、仁井にとって山下はなんでも答えてくれる優しい先輩だ。

仁井という名前ゆえにジュニア時代には「『仁井が2位』ってよくいじられました(笑)」。そんなとき、よく上にいたのが山下だった。「プレーオフで負けたこともありますし、私が2位で、美夢有ちゃんが優勝という思い出はたくさんありますね」。優しい先輩であると同時に、超えるべき高い壁でもある。

通算11勝目を狙う山下が「優勝したい気持ちはあるんですけど、それよりも私が考えているのは同じミスを繰り返さないこと」と話したのに対し、初優勝がかかる仁井は「バーディを取らないと優勝はないので、チャンスをたくさん作れるようにショットを頑張ります。恩返しじゃないですけど、勝ちたいですね」。最終組の山下と、ひとつ前の仁井。組は分かれたが、最終日はこの先輩・後輩対決に注目だ。(文・田中宏治)

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