待ってろ、なにわ男子! 鈴木愛が兵庫で描く最高のシナリオ

優勝に王手をかけた鈴木愛。最終日も笑顔の締めくくりで、大阪城ホールに向かいたい。(撮影:鈴木祥)

<楽天スーパーレディース 3日目◇29日◇東急グランドオークゴルフクラブ(兵庫県)◇6636ヤード・パー72>

最終ホールをイーグルで締めた鈴木愛が混戦を抜け出し、トータル17アンダーで単独首位に立った。首位タイでスタートしたこの日は1イーグル・5バーディ・1ボギーの「66」。最終日の夜は大ファンの「なにわ男子」のコンサートに行く予定だが、2年ぶりの優勝を果たし、気持ち良く大阪城ホールに向かうつもりだ。

最終18番パー5の3打目は残り44ヤード。「ほぼ同じ位置から先に(吉田)優利ちゃんが打って、想像以上に風に乗った感じだったので、手前からでも惰性で転がっていくイメージができました。まさか入るとは思いませんでしたけど」。スピンの効いたボールが静かにカップに消えると、鈴木は両手を上げて飛び跳ねた。

このプレーの前までは櫻井心那と15アンダーで並ぶ首位だったが、このイーグルで2ストロークのリード。次々にビッグスコアが飛び出しているコースだけにまだまだ油断はできないが、最終日を前に優位に立ったのは間違いない。

6月に新型コロナウイルスに感染し、大会を途中棄権した。2週後に復帰したものの、体調が万全ではなく、再びトーナメントを欠場。先週は3週間の休養を挟んでの復帰戦だった。

「先週も暑かったんですけど、今週はさら暑いので、これが復帰戦だったら耐えられなかったと思います」。今週はラウンド後の練習を一切行わず、体力を温存。それがここまでの結果につながっている。ラウンド中も「ずっと集中していると疲れてしまうので、ショットの直前までは何も考えず、打つ時だけ集中するようにしています」。メリハリをつけるのはいつものことだが、それをより徹底するのが鈴木の暑さ対策だ。

今大会は暑さ対策でスタート時間を早めに設定しており、この日は午後1時過ぎに全組がホールアウト。「今日は風があって、時々雲もかかったので、3日間の中では楽でしたけど、早く終わるのはありがたいですね。最高です」。最終日も同じタイムスケジュール。優勝して、表彰式、記者会見などをこなしても、十分にコンサートへは間に合う。鈴木にとってこの上ない話だ。

「優勝争いの中でも今日は淡々とプレーできました。スコアを考え過ぎずに、目の前のプレーだけに集中して、明日も同じような感じで回ろうと思います。優勝してコンサートに行きたいです」。今回の遠征にはコンサートで使う応援グッズも持参。元女王の頭の中では最高のシナリオがすでに出来上がっている。(文・田中宏治)

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