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「新しい一日が始まってほしくなかった」 比嘉真美子、予選通過2試合からの復活へ

どん底から這い上がってきた比嘉真美子。久々のV争いへ意気込みを見せた。(撮影:福田文平)

<アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI 2日目◇25日◇UMKカントリークラブ(宮崎県)◇6565ヤード・パー72>

昨年は33試合に出場し予選通過はわずかに2試合。ツアー通算5勝の比嘉真美子にとって、2022年は「コロナ禍ということもあって気持ちが上がっていかなかった。しんどかった」と暗闇のなかを進む一年になった。メルセデス・ランキングも7.49ポイントの142位と低迷し、シードも喪失。年末のQTも82位と振るわず出場権もままならない状態で迎えた新シーズンだが、ようやく息を吹き返そうとしている。

今季はここまで推薦で出場した「ダイキンオーキッドレディス」、「Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」でともに予選を通過。そして3試合目として出場した今週、優勝争いに名乗りを挙げた。首位と1打差の2位タイで2日目を終え、21年4月の「ヤマハレディースオープン葛城」以来、約2年ぶりとなる最終日最終組入り。「朝一からティショットも気持ちよく振れていた。何球かは曲げたけど、トータルで考えるといいリズムでプレーできました」。昨年は右に左にと飛んでいったドライバーも安定している。

3つ伸ばして折り返した直後の後半10番パー5。ドライバーショットをフェアウェイに置くと、残り226ヤードから5番ウッドで放った2打目をグリーンに乗せ、左からの12メートルをねじ込んだ。このイーグルで一時単独首位にも躍り出る。その後はスコアを伸ばせなかったが、「無事に18ホールを回れるのかなというくらい悪かった。試合になると、『新しい一日が始まってほしくない』と思っていた」という昨年とは別人のようなプレーを続けている。

「頭のなかをシンプルに」。これが今のキーワードになっている。昨年から井上忠久コーチの指導を受け始めた狙いも、技術面というよりは「井上プロと話をして、頭をクリアにし、悪いところを良くするための練習方法もシンプルにしていきたかったから」と話す。これまで自分ひとりでゴチャゴチャと考えてしまっていたことを言葉にして吐き出し、それに対してアドバイスをもらう。「理想や目指すスイングを相談しながら練習していく」という作業を繰り返してきた。

アマチュア時代から注目を集め、12年にプロテスト合格。翌年には2勝を挙げたものの、15年に不調に陥り賞金ランク95位に終わった苦い思い出がある。しかし、昨年はその時とは違った苦しみがあったことを打ち明ける。「前は調子が悪くても毎日良くなりたいという気持ちが強かった。でも、去年は一生懸命頑張ることに疲れてしまった。ニュアンスは違う。優勝を目指して毎日勝負し続けることに心が追いつかなくなってしまった」。それでも再び苦難を乗り越えようとしている。

「できばえは50%くらい。まだとんでもないミスが出ることもある。でも手ごたえは感じています。今の状況とマネジメントでカバーできると前向きにとらえたいです」。地元でトロフィーを掲げた19年の「ダイキンオーキッドレディス」以来となる勝利を挙げ、復活を遂げたい。(文・間宮輝憲)

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