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昔の「糸巻バラタ」ボールは良かったって聞くけど何が良かった?今でも使える?

糸巻バラタボールとして一世を風靡した「ロイヤルマックスフライ」写真提供:ダンロップスポーツマーケティング

糸巻バラタボールが販売されなくなって、20年以上が経過します。糸巻バラタを使っている人は皆無になりました。プロの世界でも糸巻バラタではなく、ウレタンカバーの3ピース、4ピースなどのソリッドボールが使われています。しかし、開発されてから100年近くゴルファーに愛された糸巻バラタは何が良かったのか、その疑問に答えます。

1990年代までは、プロや上級者が使用するボールは糸巻バラタでした。糸巻ボールは、液体を封入したゴム袋または固体のゴムでできた球がボールの中心にあり、そのセンター球に10倍程度に引き伸ばした糸ゴムを巻き付け、その外側にカバーを被せた構造です。
 
このカバー材がバラタと呼ばれる材料だったので、糸巻バラタと呼ばれていました。バラタはもともと天然のゴム系の材料でしたが、供給と品質の安定の為に合成品に変わりました。タイトリストのツアーバラタ、ダンロップのロイヤルマックスフライ、ブリヂストンのザ・レクスターなどの商品でプロが使用。1個800円程度の価格で販売されていました。
 
糸巻バラタの良さは、そのカバー材のバラタがゴム質なので、適度な硬さがありながらソフトな打感があり、変形しやすいためスピンをかけやすく、硬いグリーンでもボールを止めることが容易でした。特に、コースセッティングが厳しい米国ツアーで、フィーリングがよく、スピンコントロ―ルが容易なことから、圧倒的な人気がありました。

日本ツアーでもアイアン名手と呼ばれた選手は、巧みなスピンコントロールで左右、高低など球筋の打ち分けや、強烈なスピンで止めたりなど、様々なテクニックを駆使しやすい糸巻バラタを好んで使っていたのです。
 
しかし、バラタカバーはフィーリング、コントロール性を重視しているため、耐久性や耐カット性が悪く、傷つきやすいという欠点がありました。プロやトップアマがホールごとにボールをかえるのが普通で、アイアンのミスショットでトップするとカバーが切れて、その時点で使用不可使に。よく「パックリ割れる」との表現が使われていました。
 
糸巻バラタは現在生産されていませんが、ネット通販などで、昔のボールが販売されています。これらのボールは使えますが、残念ながら時間が経過して反発性能が落ちて飛ばなくなっています。テストでは10~20ヤード飛距離が落ちるとのデータもあります。
 
2000年以降、プロが使用しているウレタンカバーのソリッドボールは飛距離性能のアップとバラタ同様のフィーリングとスピン性能を持っており、更に耐久性も上がっているので、糸巻バラタに変わったのは当然の成り行きではないでしょうか。

(取材/文・嶋崎平人)

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