【記者会見】逆転劇で首位奪還。名古屋・篠田龍馬「一番大事な試合だった」

7月30日、Fリーグ2023-2024ディビジョン1の第10節、ペスカドーラ町田vs名古屋オーシャンズが行われた。

前節、バサジィ大分戦を4-4で引き分け、8連勝の町田に首位の座を奪われた名古屋。3位という立ち位置で迎えた直接対決では、“絶対王者”としてのプライドを見せた。

試合開始からわずか6秒、ダルランのファー詰めで先制点を奪い、名古屋は幸先よくゲームをスタート。しかし、GKのジオヴァンニの好セーブで追加点を奪うことができず。一瞬の隙から2点を奪われ、名古屋は1点を追う展開に。第2ピリオドの30分、甲斐稜人の恩返し弾で同点に追いつくと、最後はパワープレーに踏み切り、残り4秒で鬼塚祥慶が決勝弾を決め、逆転に成功。勝ち点1差で首位に返り咲いた。

試合を終え、フエンテス監督とキャプテンの篠田龍馬が記者会見に出席した。

首位になることは簡単ではない

●名古屋オーシャンズ|フエンテス監督

──試合を振り返って。

まず首位の相手のホームゲームというところで、すごく難しいゲームになりました。町田は素晴らしいシーズンを過ごしていますが、この試合では自分たちもしっかりと戦えていたと思います。一番いいかたちで試合に入ることができて、先制ゴールを決めました。試合開始早々から、自分たちがやるべきフットサルが体現できました。

この1週間素晴らしいトレーニングを重ねてきましたし、パワープレーの準備もしてきました。前半も自分たちの戦い方をキープできました。そのなかで相手は少ないチャンスで得点を決めてきたと思います。

前半と後半はまた全く違うゲームになったと思います。後半は焦らずに、試合を構築しながらプレーすることを意識しようという話をしました。前半は少し焦りが出た部分もあったので、この先改善して試合のなかで成長していかなければいけません。少ない時間のなか落ち着いて、パワープレーで点を返すことができました。

──1位のチームを追いかけることは、あまり経験のないことだと思います。どんな準備をしてきましたか。

名古屋の歴史上では慣れないことではありました。ただ、毎シーズンどおり勝ち点は取れてきていたので焦りはなかったです。その点については、自分たちの調子が悪いというのではなく、ほかの2チームが素晴らしい戦いをしていたから、自分たちは3位という立場になったと考えています。相手のチーム状況は僕たちがコントロールできる部分ではないので、この直接対決という勝たなければいけない試合で勝つことが重要です。なのでこのスコアで勝てて良かったです。

自分たちは3位でしたが、リーグ戦は長いので首位になることは難しいことです。今日の試合は、より自然な気持ちで試合に臨めるようにということを心がけていました。選手も入れ替わり、去年とは違ったシーズンになりることは理解していました。そういう状況で不安があることもありますが、自分たちは高いパフォーマンスでプレーできているので、ここからまた成長していきたいです。

──甲斐選手は今日が古巣戦でしたが、試合前になにか声をかけたことがあるかと、今日のプレーの評価をお願いします。

試合の前に特別に彼に声をかけたことはないです。金澤空が立川で試合をした時もそれは一緒でした。なぜかというと、より自然にプレーをしてほしいという思いがあったからです。今日の試合に関しては、少し焦りながら試合に入って、2つファウルをしてしまった場面もあったので、交代でベンチに来た時に「落ち着いて」という声かけはしました。後半に得点をしてから、少しずついいプレーが増えて焦らずプレーができていました。

──ともに5ファウルで、残り3分で名古屋はパワープレーを仕掛けました。その選択のタイミングと、タイムアウトでどんな指示をしたかを教えてください。

5ファウルも溜まっていて、リスクも欠けない状況だと判断してパワープレーを選択しました。

タイムアウトでは、自分たちが練習してきた部分の具体的な話にはなりますが、いろんなシステムがあるなかで相手がどういうことをしてくるか、そのうえでどうやるかの確認をしました。

──決勝点を決めた、隣にいる鬼塚選手に対して、何かメッセージはありますか。

とてもいい、成長してきている選手です。身長はこれ以上伸びないので、選手として成長してほしいし、どんどんと良くなってきているので、このまま継続をしていってもらえたらうれしいです。とても大事な場面でプレーすることも多いので、その責任感も今後彼の糧になると思います。決して嫌な顔をせず、どんなシチュエーションでも、選手たちを鼓舞してくれています。通訳としても働き、難しいこともあると思いますがそこもきちんと役目を全うしてくれています。今日は10点満点中の10点です。

一番大事な試合で勝ちきれた

●名古屋オーシャンズ|篠田龍馬

──試合を振り返って。

監督からあったように、相手の町田は素晴らしいシーズンを送っています。実際に対戦してみて全員ハードワークをして、最後には能力の高いキーパーもいて、その力で勝ってきているという試合前のイメージどおりの相手でした。

僕たちは前半は良かったですが、町田に少ないチャンスを決められてしまったことは、僕にも責任があると思っています。こういう展開になると、名古屋にとっては難しい試合になることは昔からわかっていましたが、その流れをつくってしまったのは反省しなければいけません。

先ほど監督からハーフタイムの修正について話がありましたが、スコアに執着しすぎて前に急ぎすぎるのではなく、自分たちのペースでボールを回してやっていこうという話があありました。それからは、いいリズムで焦らずに相手の隙を見極めながら攻撃ができました。終盤は相手も少し疲れが見えていたのも感じていたのでそこをしっかり突けたし、最後はみんなが信じ続けた結果がゴールにつながったと思うので、苦しい試合でしたけど勝てて良かったです。

──1位のチームを追いかけることは、あまり経験のないことだと思います。どんな準備をしてきましたか。

監督の言葉と同じ内容になりますが、3位という順位に関しては決して僕たちが悪いのではなく、横浜や町田がいい試合を継続していて、自分たちがこの順位になったと認識しています。そのなかで今日が分岐点だと思っていたので、しっかり結果を出せて良かったです。今シーズンの僕たちにとって、一番大事と言っても過言でない試合だと全員が理解していましたし、その気持ちを体現できました。名古屋の強さを見せられた試合になったと思います。

──会場の蒸し暑さに加え、これだけお客さんが入ってアウェイな環境での試合でした。なにか工夫したことはありますか。

会場が暑いというのは事前に聞いていたので、練習でも暑い環境を再現して対策はしました。ピッチは34度くらいあると聞いていましたが、そこまでではありませんでした。ロッカーやアップ用のサブアリーナがかなり暑かったです。

町田でのアウェイゲームは、お客さんも多く苦しいゲームを経験した記憶もあります。立川アスレティック戦と同様、ホームチーム側の圧をすごく感じる相手です。ただ、ホームにしろアウェイにしろ、こういう環境でゲームができるのは選手として幸せなことですし、モチベーションにも大きく影響します。そういう意味でも大一番の試合だったので、勝ちきれて良かったです。

──今日は2点目をアシストしましたが、あのシーンは何を考えていましたか。

町田が前からプレスに来ることはわかっていたので、うちにいいピヴォもいますし、当てれるところは全部当てるつもりでした。若い選手も走ってくれるので、練習のなかでも狙っていたかたちではありました。(甲斐)稜人は考えるよりも感覚でプレーするタイプで、あそこに走るのも好きな選手だとわかっていたのでスローを出しました。ただ決めてくれないと意味がないので、稜人を褒めてあげてほしいです。

──2019年に200試合を達成して、今日が通算300試合出場の試合でした。ここまで大きな怪我もなく高いパフォーマンスを発揮できている理由と、今なにが自分を一番突き動かしているか教えてください。

今日の300試合は先週、次のホームゲームをする話をしていた時に知ったので、あまり意識していませんでした。僕のデビューは2009年で、今年が2023年なので300試合に到達するまでにかなり時間がかかりました。これまで苦い経験もしてきて、今ここにいれるというのはすごく大きなことですが、チームのために何ができるかを常に考えて行動しています。それが結果として、自分の成長にもつながっていると思います。この年齢になって、若い選手も増えてベテランの域に入っていますが、プレーだけではなく姿勢でもいい影響を与えられるように意識しています。

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