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しながわシティは、打倒・王者の“最強の挑戦者”となれるか? 元日本代表のクラブGM岸本武志氏が語る、F1昇格までの苦悩と覚悟「容易ではないが、優勝を目指す」

F1昇格後、大型補強はなぜ行われなかったのか

──F1初年度の開幕戦の相手は名古屋オーシャンズです。昇格後は、規格外の資金力でこれまで以上の大型補強をすると思ったのですが、今シーズンの補強にはどんな狙いがあったのでしょうか?

そこはなにを目指しているかというのもあります。先ほどお伝えしたインパクトだけを考えれば、この1シーズン目で大型補強をして、名古屋に対抗できる一番手として戦うことも一つだと思います。でも、F1に参入してからは、より地域に根づかせて、地域の方に応援してもらうという、競技以外のことも重要視しなければいけません。何年か先を見据えて、しっかり戦える若手選手を育てることも大事だと考えています。

──初年度にインパクトを残すよりも、クラブとして中長期的スパンで打倒・名古屋を目指していく。

Fリーグ参入時に掲げた「最短でF1チャンピオンになる」という目標は変わっていません。ただ、理想と現実のバランスをうまく取りながら、最短で目標に向かわなければいけないと感じています。トルエーラ柏時代に選手権で優勝した時とは違って、今は研究されています。F2でも、簡単な試合は1試合もありませんでした。F1になって強度が高まって、試合数が増えるなか、自分たちがどこまで戦えるのか。クラブとしてどういう持っていき方をすれば、自分たちが目指す場所へ最短でたどり着けるのかは、リーグ戦を1シーズン戦ってみないとわかりません。もちろん1年目から優勝を狙いますけど、現実的にF1でどこまで通用するか、なにが必要なのか精査しなければいけないという気持ちが自分のなかにはあります。

──闇雲に選手を揃えるのではなく、適材適所で補強を考えていく。

はい。勝負を仕掛けるタイミングはいつなのか、見極めなければいけないと思っています。今シーズンは基本的に(昨シーズンの)中心選手を残して、若手や大学でプレーしていたポテンシャルのある選手、サッカーの栃木シティからフットサルに転向してきた選手、そこにF1でしっかりプレーしていた黒本ギレルメ、笠篤史を肉づけしました。プラスアルファ、外国籍枠が一つ空いているので、そこをうまく活用して、F1でどこまでいけるかチャレンジしていきたいです。

──長い目で見て、これからの選手がどれだけブレイクするか期待している部分もある。

そうですね。チームは生き物なので、評価の高い選手を集めたからと言って、そのままいいチームになるとは限りません。岡山監督のフットサルは、全員がハードワークをして一定の規律を守りながら、各々が持っているポテンシャルを最大限発揮していくというもの。F1で一緒に仕事をするのは初めてになるので、挑戦しながら見ていく必要があると思っています。でも、しっかりとまとまって戦っていけば、いい戦いができると信じています。3シーズン同じ監督、同じ選手で戦えば安定感はあるかもしれないですけど、そこで新しい選手を加えて、思い切って挑戦できるチャンスを与えられれば、なにかが生まれるはずです。その上で、1試合1試合勝って優勝を目指していきますけど、容易ではないことはわかっています。チャレンジャーとして、どこまで戦えるか探っていく1シーズンになると思います。

──中心選手としてプレーしてきた白方秀和や中村友亮は30代半ばになり、ベテランの域に差し掛かっています。新陳代謝を図っていかなければいけない側面もあると思います。

彼らはパフォーマンスを落とさず、チームに貢献し続けてくれています。ただ、彼らを脅かすような日本人選手がクラブから出てこないと、組織は良くなっていきません。Fリーグ選抜の選手やバルドラール浦安の若手選手は、F1での出場機会をもらってすごく伸びていきました。当たり前のことですけど、若い選手には可能性がすごくあるし「試合を経験してこんなに伸びるんだ」と感じています。僕たちも若くてポテンシャルがあるけれど、チャンスを生かしきれていない選手に「一緒に戦っていこう」という環境を提供することで、彼らの責任感も増しますし、違った形でチーム力を上げてくれると期待しています。理想を言い出したらキリがないですけど、現実とのバランスを取りながら、どこで勝負をかけるかの見極めをしていかなければいけません。

──新加入の黒本は日本代表やFリーグでも実績のある選手ですけど、笠についてはどんなところを評価して獲得したのでしょうか?

一番はマインドですね。常にゴールを目指していて、「俺がやってやるんだ」というメンタリティをプレーから感じています。我々は気持ちの強い選手を欲しています。結果を出して(翌シーズンの)条件が変わっていくスタンスのクラブになるので、与えられた環境で普通にプレーして1シーズン終わるのではなく、イチ個人がクラブにどれだけ貢献できるかを僕は重視しています。決してFリーグでプレーしているだけで満足している選手はいないと思っていますけど、なにもないところから結果を出して、つかみ取っていくマインドを持った選手たちが我々と共に成長できると思っています。笠は岡山監督の下でプレーして幅が広がると思う。そういったことにも期待を込めてオファーを出しましたし、伸び代のある選手と共に上を目指して、近いうちにリーグ優勝を成し遂げたいです。

──F1初年度に目標としている順位を教えてください。

今シーズンはレギュラーシーズンが終わった後、上位リーグと下位リーグに分かれるので、上位リーグには絶対に入りたいですね。いい方向に転がれば「2位、3位にいけそうだな」と思う一方で、全然うまくいかず下位を争ってしまうかもしれない。とにかく、入替戦だけは絶対にしたくない……。二度としたくないです(苦笑)。今シーズンは未知数なところはありますけど、スタッフや選手たちはやってくれると信じています。

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