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【編集長コラム】金沢ポートホームマッチ最終戦 中止判断までの経緯

石川県内開催の葛藤

地域密着を掲げる一年目のプロ卓球チームができることは何なのか、ただ、その思いでした。
復興支援の一助となるべく、もしホームマッチを開催できるならばチャリティ開催として入場料収入やグッズ売上の寄付を計画していました。

関係する自治体のみなさんとも意見交換をしました。

語弊を恐れずに言えば、試合会場の小松市や金沢市だけを見れば、そしてその場所への交通ライン等だけ考えれば、開催不可という状況ではなかったからです。

しかし、日を追う毎に、とりわけ能登地方の甚大な被害の状況が判明していきました。余震も続きました。

一方、北陸の他県では、多くのプロスポーツチームが検討を重ねた結果、試合再開の判断をしていきました。しかし、いまだ石川県内では、9日時点で、どのプロスポーツチームも試合開催はありません。

非常事態宣言の発出

6日。石川県から非常事態宣言が出されました。
県庁全職員の皆さんが災害対応に当たる体制にシフトしました。

被災地以外の公共の体育館が、避難所に指定されます。ホームマッチ会場も、先の見通しについてはわかりません。1.5次・2次避難施設として、いまはスポーツが体育館を独占使用する時期ではなく、被災地以外の宿泊施設も、順次受け入れ先に活用していくことになりました。

6日以降、自治体の皆さんと連絡を取れる状況ではなくなりました。金沢ポートのホームマッチを支えてくれるボランティアの皆さんの参加も、辞退が増えていきました。今は、他の場所でもっと手伝うべきものがあります。

私たちの「地域の役に立ちたい、スポーツの力で復興支援をしたい」という思いは、もう少し後に出番があるのです。

また石川に観光をよびかけるときに

既にチケットをご購入していただいていたお客様、対戦チームのみなさま、ホームマッチ運営に関わる多くの関係者のみなさま、中止の判断が遅くなり、申し訳ありません。

難しい判断でしたが、その間に考え、葛藤し、話し合ったことが、今後の金沢ポートを精神的に強くしてくれると感じています。

金沢ポートの選手・スタッフは今後も、被災地域にできることを着実にひとつずつ行っていきます。

そしてまた、石川県に観光を呼びかける準備が整ったとき、金沢ポートの大盛況のホームマッチを県外からも観に来てください。石川県にはおすすめスポット、たくさんあります。

あと、もうひとつ。

私たちは、まだ今季のプレーオフ進出をまったく諦めていません。地元にひとつでも明るい話題を届けるために、県外で石川の誇りを胸に戦います。

残りレギュラーシーズン6試合(代替2試合が実現すれば)、被災地のみなさん、温かいご支援をいただいている全国のみなさんに、私たちの戦う姿をお見せしたいと思います。

松平健太
写真:松平健太(金沢ポート)/撮影:ラリーズ編集部

文:槌谷昭人(ラリーズ編集長 兼 金沢ポート取締役)

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