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初心者以外にも効果的な壁打ち 4つのメリットとは?|頭で勝つ!卓球戦術

卓球ライター若槻軸足がお送りする「頭で勝つ!卓球戦術」。今回は「壁打ちの4つのメリット」というテーマでお伝えしていく。
そう、あなたも卓球を始めたての頃にやったであろう、壁に向かってひたすらにボールを打つあれだ。

筆者も中学の部活動で初めてラケットを握ったのだが、すぐに卓球台を使っての練習などはさせてもらえなかった。まずは素振り、そして壁打ちを習うのだが、100回連続で続けることができなければ卓球台での練習はさせてもらえないという決まりであった。

そのため仲間達は必死に壁打ちを練習し、我先にここから脱出するぞという気概で壁打ちスキルの上達に勤しんだものである。

当時は、壁打ちは新入りが先輩達と同じように台を使って練習するための登竜門、くらいにしか思っていなかった。しかし今改めて考えると、壁打ちには数多くのメリットが隠されていたことに気付く。やはり壁打ちを真面目にやっていたからこそ、その後も比較的スムーズに上達することができたと思っている。

今回はそんな壁打ちについてのお話だ。

壁打ちのメリット

①ボールを打つ感覚が身に付く

まず卓球を始めたばかりの人にとって大切なのが、ボールを打つ感覚を養うことである。もっと言うと、台に収める感覚だ。強く打ってボールを遠くまで飛ばすことは簡単だ。だがしかし、卓球台にうまく着地させるということがとても難しいのである。

ラケットの力、ラバーの力、そして相手が打ったボールの力、そして自身が加える力。それぞれをプラスして、うまく卓球台に収まるように力加減をコントロールするというのが、まずなによりも難しいのである。しかもボールは毎回どこに来るのか分からないのだ。

松平健太
写真:松平健太(ファースト)/撮影:ラリーズ編集部

壁打ちを続けようと思うと、打つ力が強すぎても弱すぎてもうまくいかないはずだ。ちょうどいい距離感と力加減を見つけ出し、常に一定のボールを打てるようになって初めて10回20回と続けることができる。

もし仮にそういった力加減の感覚が未熟なままでも、上手な先輩が相手をしてくれたらともすればラリーが続くかもしれない。そして自分が上達したと錯覚してしまうのだ。しかし壁打ちとなると、力加減の差によってボールの跳ね返り具合がまるで違うことに気付くであろう。そういった感覚やコントロールを養うのに壁打ちはうってつけだ。

②足を動かす習慣が身に付く

続いてはこちらも非常に重要と言える、足の動きについてだ。特に卓球を始めたての選手は、どうしても来たボールに対して手だけで合わせてしまい、「足を使って最適なポジションに身体を運ぶ」という意識が薄い。そこで壁打ちの効果が出てくる。

当然壁打ちであっても、毎回来るボールの位置は違う。たとえば身体から少し遠い位置に返ってきたボールに手だけで合わせてしまうと、次も取りにくいボールになって返ってくるのだ。

写真:濵田一輝(早稲田大)/撮影:ラリーズ編集部
写真:濵田一輝(早稲田大)/撮影:ラリーズ編集部

そこを横着せずにしっかりと毎回足を動かし、最適な位置に身体を運んでから打つということができれば、自ずと毎回取りやすい綺麗なボールとなり、何十回と連続して行えるようになる。足を止めたままで壁打ちを何十回と続けることはできないだろう。このようにしてボールに対して足を動かす習慣を身に付けることができるのだ。

③ドライブをかける習慣が身につく

ボールに回転をかけない、ミート系の打ち方で壁打ちを続けるのは相当難しい。しっかりボールを擦り上げて前進回転をかけることではじめて、ボールが壁を登り打ちやすい場所に跳ね返ってくるわけである。叩きつける打法ではなかなかこうはいかないはずだ。

基本的にはボールに上回転をかけて打つことが当たり前、ということをここで身に付けておけば、その後の技術の習得もスムーズにいくだろう。

写真:大島祐哉(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
写真:大島祐哉(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部

④常に一定のボールが返ってくる

初心者あるあるなのだが、下手なもの同士で練習していては一向に上達しない。初心者はなるべく同じコースで一定のボールを何度も打つことで、打球の感覚やスイングといったものを身体に染み込ませていく必要がある。

初心者同士で打っていては、コースの狙いを定めることもままならないので、基本的には先輩などの経験者と上級者で練習する必要がある。

しかしそういった相手がいないときであっても、「壁」はいつも決まったボールを返してくれる。あなたの打つボールが強ければ跳ね返ってくるボールも強く、逆に弱ければ弱く、ダイレクトに返ってくる。そしてミスをすることもない。壁はどんなときでもあなたの練習相手をしてくれる頼れる存在だ。

まとめ

今回は初心に立ち返って、壁打ちについて考えてみた。おそらく始めたてのときはさほど面白みはないだろうが、20回30回と続くようになると楽しさが出てくるはずである。そうやって上達を目に見えて実感できるのも壁打ちの魅力である。

さらには、大きく距離をとってやってみたり、バックハンドでやってみたり、あるいはツッツキでやってみたりと、工夫の仕方は様々だ。こういったことを楽しみながらできる選手が、その後の上達も早い傾向にある。ぜひ楽しみながら壁打ちを極め、そしてそこで得たものを卓球台を使ったときに活かして欲しい。指導者や監督の方は、ぜひ参考にしてみてはいかがだろうか。

文:若槻軸足(卓球ライター)

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