【日本一探検隊】最も到達困難なアウトドア店!?千葉の秘境で営む「NOWEST CAMP」

日本一“秘境”のアウトドアショップ「NOWEST CAMP」

日本一「秘境にある」アウトドアショップは、千葉県長生郡長柄町の「NOWEST CAMP(ナウエスト キャンプ)」。東京方面から向かう場合、蘇我ICを降りて一般道を進むこと約30分。うっそうと茂る森の道をクネクネと曲がった先に姿を現します。

NOWEST CAMP
住所:千葉県長生郡長柄町山之郷233-25 G棟
電話:0475-44-6554
営業時間:11:00~19:00
定休日:毎週火曜日・第四水曜日(※祝日の場合は翌日に振替休)
公式サイト:NOWEST CAMP

見上げればまるで森の一部かのように、温かい雰囲気を放つログハウスが。店名を掲げた手作りの看板が、長旅を終えた訪問客を迎えてくれます。1階は日々オリジナルのギアが生まれる工房になっており、2階がショップ「NOWEST CAMP」です。

「なぜ秘境の地にショップがあるのか。」そんな素朴な疑問に始まる数々の謎を解くべく、NOWEST CAMPを経営する今西さんにお話を伺いました。

「NOWEST CAMP」代表、今西さん

――早速ですが、自己紹介をお願いいたします…!

今西さん:1978年生まれの天秤座、現在44歳の中年男です。幼少期より外で遊ぶことが大好きでした。
町内会などの催しでキャンプなどにも参加しましたが、本格的にキャンプの楽しさに気付いたのは中学生のころ。気の合う友人8人と夏休みを利用し、伊豆七島の三宅島で一週間キャンプをしながら自給自足したことがきっかけです。それ以降、学生時代の夏休みは欠かさず伊豆七島に訪れ、キャンプをしていました。

今西さん:現在、個人的にはキャンプは目的ではなく、手段の一つです。主にサーフィンやカヤック、釣りなどを目的に、アクティビティに付随した宿泊手段として楽しんでいます。


偶然をきっかけに、長年の想いがかたちに。

デザイナーの「LOCK」氏が手掛けるNOWEST CAMPのオリジナルアウトドアモンスター、「WEST-HUNTER」
西の方角から目には見えない矢を放ち、人々をアウトドアの沼に引きずり込むのだとか…

――アウトドアショップを開くきっかけは何だったのでしょう?

今西さん:「NOWEST CAMP」はもともと、2017年に始まったアイアン製品ブランドです。当時ショップを開く予定はなく、あくまでアイアン製品を製作するための工房として物件を探していました。

今西さん:ところが、いざ不動産屋に紹介された物件はログハウスで雰囲気もよく、これは工房だけで使うにはもったいないなと。そんな想いから、1階に工房、2階にショップを設けることにしたんです。仲間たちの手を借りてDIYでの改修改築工事を進め、2019年12月にショップをオープンさせました。

アウトドアショップが街にあることへの“違和感”

――素敵な巡り合わせだったんですね!しかし「秘境」の地でショップを開くというのは、なかなかできない決断です。

今西さん:実は20代後半のころから、漠然とアウトドアショップをやりたいという願望があったんです。当時、アウトドアショップが街中にあることに違和感を覚えていました。例えばサーフショップは、海沿いにある方が都合が良いですよね。

今西さん:アウトドアショップも、自然に囲まれてキャンプに行くような雰囲気のなかで商品を見ていただく、それこそが自然ではないのか。この物件はそんな長年の想いともシンクロしており、ショップを開くことを決意しました。

今西さん:実際、仲間には「こんなところで店をやっても、3カ月ももたないで潰れるのでは?」とも言われるほど辺境の地ではありますが、巷では「秘境のアウトドアショップ」として少しずつ認知され、おかげ様で今年(2023年)の12月には4周年を迎えることができそうです。


都会のショップでは得られない、「秘境」ならではの体験

店内の様子

――「NOWEST CAMP」でしか購入できないギアがたくさんあるんだとか!

今西さん:当店オリジナルはもちろん、他社とのコラボアイテムや、NOWEST CAMP限定の「アウトドアモンスター」グッズ、個人の作家さんのアイテムなどはここでしか手に入りません。オンラインショップもありますが、店頭限定にしている商品も多くあります。

――「秘境」だからこその魅力は何でしょうか。

今西さん:やはりキャンプに行くようなシチュエーションを味わえるので、わくわくしながらお買い物を楽しんでいただけるということではないでしょうか。こんな場所ですが頻繁に通ってくださる常連さんもいて、一緒に焚火や調理をしたり、おしゃべりをしたり…。都会のアウトドアショップではなかなかできないようなことが楽しめるのも、秘境の魅力だと思います。

今西さん:珍しいアイテムや、当店オリジナルのギアをお求めにご来店いただくのはもちろんですが、なにより、私や名物店長とのコミュニケーションを楽しみに来てくださるお客様が圧倒的に多いと感じています。

ショップのコンセプトは、西部開拓時代

毎年恒例となっている、NOWEST CAMPオリジナルTシャツ
2023年バージョンのバックプリントには、ショップの世界観を代表する「ネイティブアメリカン」と「スカル」をモチーフにしたデザインが!

――ショップが持つ世界観も、キャンパーを惹きつける魅力の1つです。どんなこだわりがあるのですか?

今西さん:ショップづくりのコンセプトにしているのは、「アメリカ西部開拓時代」です。個人的にアメリカンカルチャーが大好きで、特にカウボーイやネイティブアメリカンたちが主役だった西部開拓時代からは強い影響を受けています。

――ロケーションとも相まって、まるで異世界を冒険しているようです。でも都市とは違い、秘境で営業する苦労も多いのではないでしょうか?

今西さん:やはり通勤には苦労します。さすがにショップに住んでいるわけではないので、片道1時間半ほどかけて毎日通勤するのは少々こたえます。もう慣れましたが…。あとは自然に囲まれているので、当然虫が多いです。特に夏の夕方は照明に集まってくるので大変ですよ(笑)。


「鉄」への想いが詰まったイチオシのギア

ショップのコンセプトでもある「ネイティブアメリカン」。オリジナルのアイアンアイテムのネーミングからも、彼らへのリスペクトが伝わってきます

――NOWEST CAMPのオリジナルアイテムからは、「鉄」への熱い想いが感じられます。

今西さん:私は19歳のころより建築架設鍛冶業(アーク溶接やガス溶接、金属加工など)の職人をやっており、実は現在でも建設会社を営んでいます。鉄の加工は奥が深く、技術にくわえ、当然専門的な知識も必要です。

今西さん:キャンプが好きだった私は、「どうにか自分の技術と知識をキャンプギアへも活用できないか?」と考え、NOWEST CAMPがスタートしたわけですが、お客様へはしっかりしたアイテムをお届けしたい。そんな想いからいまでも日々勉強しています。また、溶接個所には絶対的な自信を誇っており、当店のオリジナルギアの溶接個所については永久保証とさせていただいています。

――たくさんのオリジナルギアの中で、イチオシのものはありますか?

今西さん:どれも個人的にはオススメ、と言いたいところなのですが、やはり人気とも比例してオススメなのは以下の3商品になります。

ランプハングスタンド ナジャ

ランプハングスタンド ナジャ

今西さん:真鍮製のランタンスタンド。「ナジャ」とは、ネイティブの言葉で三日月や女性の子宮を表します。三日月をモチーフに、先端にぶら下がったフックは子宮のなかにいる胎児をイメージしています。

ブラスハングレール ウンセギラ

ブラスハングレール「ウンセギラ」

今西さん:真鍮製のハンガースタンド。主に焚き火まわりの道具をつるすことを想定しています。「ウンセギラ」とは、ネイティブ部族・スー族の神話に現れる水蛇の魔物を指し、そんな空想上の魔物をモチーフに具現化したものです。

キャンププレイヤ シャーマンテーブル

キャンププレイヤ「シャーマンテーブル」

今西さん:鉄のフレームに、真鍮プレートの天板を組み合わせたキャンプテーブル。古代ネイティブアメリカンに実在した、精霊の声が聞けるというシャーマンが祈りを捧げる際に儀式で使用したテーブルを、私なりの解釈で製作したものです。


世間でどんなに人気でも、「取り扱わない」ギアも。

オリジナルのアイテムを製作・販売する一方で、他のガレージブランドのコアな希少品も扱うNOWEST CAMP。今西さんがセレクトするギアとの出会いを求めて、遠方から訪れるファンも多くいます。

セレクトショップとしてのこだわり

店内の様子

――ここだけの商品展開が魅力のNOWEST CAMP。取り扱うアイテムを選ぶ基準はあるのですか?

今西さん:できる限り大手のアウトドアショップでは取り扱いのないものや、少ないものを選ぶように心がけています。昨今のガレージブランド人気もあり、有名ガレージブランドよりもさらにマイナーな、個人の作家さんなどのアイテムに着目して仕入れることも検討していますね。

今西さん:また、アウトドアショップとしての本質を見失わぬよう、キャンプや災害時にしっかり使えるナショナルブランドの「質実剛健なアイテム」も常備するよう心掛けています。「ショップは大切にしてくれるメーカー様を、メーカーは大切にしてくれるショップ様を。」と、この業界はそんな関係がより一層重要になる時期に差し掛かっていると思うので、取り扱う商品も厳選するようにしています。


ショップを超えて、「遊び場」をつくりたい

NOWEST CAMPでは、春夏秋冬と、年に4回の「交流会」を開催しています。2023年7月には、福島県でSUPやカヌーを楽しむキャンプを開催。NOWEST CAMPに集うキャンパー同士が交流を深める、素敵な時間だったんだとか!

年に4回開催される「交流会」の様子

――どうして「交流会」を始めたのですか?

今西さん:理由は一つではないのですが、何より私自身が仕事を忘れて遊びたいという気持ちが一番かもしれません。なので、交流会ではゲストの招致や物販などは一切行わず、ただ「みんなでキャンプやって楽しもうぜ!」といったスタンスです。

今西さん:また、別の理由として、今後小売り業というのは必ず厳しくなると思います。キャンプ人気が続くうちに、いろいろなショップ巡りを楽しまれていた方もやがてショップを一つに絞り、そこで買い足しや買い替え、メンテナンスなどを行うようになると考えています。そうなったとき、友達感覚で遊べるショップスタッフ、気楽に遊びにいけるショップ、きっとそういう店が重宝されるようになるのでは?そんな想いももっています。


NOWEST CAMPは、いつもここに。

今西さんのキャンプ風景

――NOWEST CAMPを、どんなキャンパーにオススメしたいですか?

今西さん:正直、スタイルは何でも構いません。おしゃれキャンパー、ブッシュクラフター、車中泊、ガレージマニア…。いろいろな方がいるからこそ我々も楽しめますし、なにより商品の開発や仕入れにも大変参考になります。

――今後の抱負、キャンパーへの想いを教えてください。

今西さん:NOWEST CAMPは、爆発的ヒットもなければ、飽きもなく、業界に細く長く根付いていければと思っています。お客様が迷わないよう、探さないよう、常にNOWEST CAMPは千葉の秘境にあるよ。そんな存在でいられればと、切に願っています。

――ありがとうございました!

千葉県の秘境には、唯一無二の世界観に惹かれ、キャンプを愛する者たちが集うアウトドアショップがありました。人との出会いも、ギアとの出会いも一期一会。ここにしかない発見を求めて、ぜひ「NOWEST CAMP」に訪れてみてはいかがでしょう。

NOWEST CAMP

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