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スタッツ改善も愚直にテーマを守り続ける 「不器用な」渋野日向子の現在地

ラウンド中にも体の動きをチェック。こんな姿がよく見られる(撮影:ALBA)

<Danaオープン 初日◇13日◇ハイランド・メドウズGC(米オハイオ州)◇6555ヤード・パー71>

日米ツアー4試合連続で予選落ちを喫している渋野日向子だが、確かな復調を見せている。「Danaオープン」初日は2バーディ・5ボギーの「74」。3オーバーに終わったが、それぞれのショットを切り出せば、際立って悪いものはせいぜい数回だ。渋野はいま、結果よりも理想とする体の動きを考え、愚直にそれを求め続けている。

「不器用なので」と、それ以外のことは考えない。考えないようにしても、結果は出てしまうもので、ミスが出れば、またスコアが悪ければそれはそれで気分はよくない。とはいっても、一歩ずつ改善をしなければ、前には進めない。そのことを分かっているから、ミスをしたとしても視線は次を、そして前を向き続ける。

自身のことを「オールマイティにできないキャラなので」と表現する。ひとつのことに集中すれば、ほかがおざなりになるかもしれない。そんなことは渋野自身が一番よく分かっている。少しでも別のことを考え出せば、体の動きがおろそかになる。いまは耐える時間と自分に言い聞かせる。

追い求める体の動きはショット間の移動時も、常に頭から離さない。できなければ次打に向かうあいだに両腕を胸にあててボディターンの動きを確認。うまくいけばうなずき、素直に喜びを表情に出す。日本での連続予選落ちを経て迎えた海外メジャー2連戦ではショット面で苦労したが、この日は出だしの2ホール、中盤の数回を除いては“大きな”ミスはなかった。

「自分の中で『今のはいいショット、いい動きができた気がする』っていうのが何カ所かあったので、そこはちょっと前向きに捉えたいかなって思います」。フェアウェイキープは14ホールで11回。フェアウェイを外した3回はいずれもボギーだが、ティショットがうまくいけば、スコアメイクはできている。気になるのはパーオン率で、18ホールで11回。2打目以降のスイング、つまり体の動きが次の改善ポイントになる。

決して高いとはいえないパーオン率だが、それでも渋野自身は改善傾向を実感している。前戦は初日、2日目ともに6回で合計12回。「先週は2日間で12回しか乗っていないので、それが1日で11個だったので」。コースの難易度が違うとはいえ、こちらも一歩前進を口にする。

クリアすべき課題として、ショートゲームの改善にも向きたいところだが、それはまた次の段階。この日は3パットもゼロでパット数は「31」。4メートル以内のパットをいくつも外したことを考えれば、どこかでひとつ入れて“流れ”を引き寄せていれば、事態を好転させることはできたはず。逆に言えば、それぞれのピースがはまれば、ビッグスコアが出てもおかしくない内容だ。

大きく出遅れ、予選通過にはビッグスコアが不可欠。「攻めるしかない」という言葉とは裏腹に、やり続けてきたことを壊したくもない。この後は1週空いて、欧州3連戦が待つ。気持ちが揺れ動くなかでの第2ラウンドで、今後に向けての現在地を探ることになる。(文・高桑均)

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